デイリー・アップデート

2023年5月31日 (水)

[ウクライナ/ロシア] 5月30日、米ウォールストリートジャーナル紙によると、現在ウクライナ戦争を巡る国際平和会議の開催が検討されているもよう。ウクライナ・欧州外交筋の情報として伝えるところでは、西側諸国のみならず、中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなどを招き、ウクライナによる10項目提案を軸に、和平に向けた国際機運を高めたい意向。しかし、ロシアによるウクライナの領土占拠が続く限り、ウクライナの姿勢軟化は見込めず、ロシアの会議参加は無い。7月11日から始まるNATO首脳会議の直前のタイミングでの開催が模索されており、現在北欧を訪問しているブリンケン米国務長官がヘルシンキ演説で言及するか否かが、直近の注目点となる。

[ブラジル/ベネズエラ] 親米政権であったボルソナロ前政権は、2019年にベネズエラのマドゥロ大統領のブラジル入国禁止措置を決定していたが、左派のルーラ大統領は5月29日、8年振りとなるマドゥロ氏のブラジル訪問を歓迎して首脳会談を実施した。首脳会談でルーラ大統領とマドゥロ大統領は、対ベネズエラ制裁措置を発動している米国を批判するとともに、ベネズエラが国際的孤立状態から脱却するために協力することでも一致した。ルーラ大統領は、南米地域でのさらなる役割増大を図りつつある。

[日本] 経済産業省によると、4月の鉱工業生産指数は前月比▲0.4%となり、3か月ぶりに低下した。生産は全15業種中5業種が減少、9業種が増加だった。半導体製造装置など生産用機械、鉄鋼・非鉄金属、輸送機械などの減産が目立った。先行きについて、製造工業生産予測調査によると、5月は+1.9%、6月は+1.2%と増産見込みであるものの、上方バイアスを修正すると、5月は▲2.6%となり、5月の生産も減少となった可能性がある。

[チリ] チリ中央銀行は、カウンタークリシカルバッファ(CCyB:バーゼル規制において、与信の過熱感などに応じて、政府の判断により、金融機関に追加的に資本の積み増しを求めることで景気後退時の取崩し余地を確保することを目的とする)を0.5%に引き上げ、資本規制を強化することを決めた。規制の強化により需給ギャップが早期に縮小すれば、利下げの前倒しの可能性も出てくると考えられる。

[中国/フランス] 5月30日、中国の滴滴自動運転は、フランスの自動車部品メーカーValeoと戦略的提携および投資意向書に調印したと発表した。Valeoは滴滴自動運転に戦略的投資を行い、レベル4の無人自動運転タクシー用のセーフティ・リダンダントシステムと関連技術を共同で研究開発する。この技術は、自動運転のメインシステムが突発的な故障に遭遇した場合、独立した感知機能により、セーフティ・リダンダントシステムが制御を引き継ぎ、走行の安全を確保するもの。

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