デイリー・アップデート

2023年5月29日 (月)

[ベトナム] 同国の鉄鋼協会によると、建材用鋼材の4月の販売量は前年同月比▲15%の73万5,000トンと落ち込んだ。前月比でも▲17%だった。2022年以降では2番目の低水準。販売量の落ち込みを受け生産量も前年同月比▲37%の71万トンと大幅に下落した。鋼材価格は下落し、鉄鋼各社による値下げは4月初旬以降6回にわたる。ベトコムバンクセキュリティによると、鉄鋼石、鉄スクラップ、コークスといった原材料の価格が下落した4月後半から鉄鋼価格が下落し始めた。主力の不動産民間部門では、経済減速・高金利を背景にデベロッパーの開発意欲や消費者の購買意欲が減退している。

[米国] 商務省によると、4月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+4.4%となり、3月の+4.2%から上昇率を拡大させた。2022年6月の+7.0%から上昇率はならしてみて縮小しつつあるものの、インフレ目標の+2%を大幅に上回っている。また、食品とエネルギーを除くコア指数は+4.7%となり、3月の+4.6%から小幅拡大した。また、2か月連続でコア指数が総合指数よりも高い伸びになっており、物価の基調の強さがうかがえる。

[南アフリカ] 5月に入り、ランドは対ドルで7%以上下落し、現地通貨建て10年債利回りは約100bpも急上昇するなど、カントリーリスクの高まりを受けて投資家が南アフリカを敬遠する動きが強まっている。電力供給不足や、ロシアへの武器供給疑惑、財政の持続可能性の懸念も高まっており、今後も状況の改善は見込めないもよう。

[米国] 連邦政府の法定債務上限引き上げ問題については、5月上旬から与野党間で協議が継続されていたが、5月27日、バイデン大統領とマッカーシー下院議長により基本合意に達したことから、米国史上初の債務不履行は回避されることになる。今後2年間、非国防関連予算の歳出抑制を図ることを条件として債務上限を引き上げることに基本合意した。今後米議会の承認を得るべく立法化に取り組まれることとなっており、上下両院での可決を受けてバイデン大統領が署名することになる。

[中国] 5月25日、中国自動車メーカー長城汽車が声明を発表し、生態環境部などに対し、BYD(比亜迪)のPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)は蒸発汚染物質の排出において基準不適合の疑いがあると報告したことを明らかにした。同日、BYDは声明を発表し、「長城汽車の検査報告書は無効で、関係機関による調査を歓迎する」とした。燃料系部品メーカーによると、PHVは高圧燃料タンクを使用する必要があるとしている。BYDの声明は燃料タンクについて触れておらず、BYDは「財新網」の取材に対し「声明で説明した通り」と回答した。

[米国] 5月27日、商務省は、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚会合を経て、IPEFサプライチェーン協定をめぐる交渉が実質的に妥結したと発表した。IPEFに参加する14か国間で、サプライチェーン評議会、サプライチェーン危機対応ネットワーク、労働権利諮問理事会といった枠組みを立ち上げ、サプライチェーンの強靭性確保に向けた情報共有や政策調整を進める方針。「貿易」、「クリーン経済」、「公正な経済」分野におけるIPEF交渉は進行中で、2023年11月に米国で開催されるAPEC首脳会議のタイミングで一定の合意に達することが期待されている。市場アクセス交渉を含まないIPEFについては、既に米経済界からは失望の声が上がっている。

[中国] 5月28日、国産大型旅客機としては中国初となるC919が、初の商業運行を行った。この初便は上海から北京へ2時間ほどのフライト、招待制で一般顧客へのチケットは販売されていない。5月29日より、上海~成都の定期路線に導入される。2023年2月、試験飛行中にトラブルが発生し、本来3月末に予定されていた商業就航を延期し、より長期間の試験飛行を続けていた。中国初のジェット小型旅客機ARJ21は2016年に商業運行を開始しており、C919に繋がる基礎を固めた。

[中国]  5月24日、清華大学戦略安全保障研究センターは、「中国人の国際安全保障観」という世論調査結果を発表した。調査は2022年11月に中国本土の18歳以上を対象にオンラインで実施され、2,662サンプルが集まった。それによると、中国人は◆国際安全保障への関心が高い、◆グローバル化と国際協力に前向きな姿勢、◆中国の国際安全保障状況を楽観視、◆中国の世界への影響力に強い自信、などの傾向がみられた。調査結果は、年齢や教育レベルが高くなるにつれより慎重な姿勢であり、また若い人ほどより楽観的な見方をする傾向があることも示している。

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