デイリー・アップデート

2024年6月11日 (火)

[ユーロ圏] 利下げを決定した6月6日の理事会以降、ECB高官から次回以降の会合に向けて、慎重な意見が表明されている。ラガルドECB総裁は、物価抑制に向けてなお長い道のりがあるとして、1回以上の理事会で政策金利を据え置く可能性があると述べた。ナーゲル独連銀総裁からは、利下げが自動運転ではないこと、ビルロワドガロー仏中銀総裁からは、急がず、先送りせず、適切なペースで利下げを実施することなどの考えが明らかにされた。

[メキシコ] ロペス=オブラドール(AMLO)大統領は、6月初めの選挙を受けて9月に連立与党が議会で大多数になることから、司法改革を推し進める意向を示した。司法改革は、権力分立を弱め、行政の力を強めるとして市場は動揺し、メキシコペソは対ドルで約10%下落している。AMLO大統領は、市場の動揺にかかわらず改革を進めるとしている。

[イスラエル] 6月9日、イスラエルのガンツ元国防相は、2023年10月から参加してきたネタニヤフ首相主導の戦時内閣から離脱することを発表した。ガンツ氏は、2023年10月のハマスによるイスラエル奇襲を受けて、挙国一致体制を示すためにネタニヤフ首相に協力し戦時内閣に参加してきたが、戦闘終了後のガザに関する計画を一向に示さない同首相に対し、6月8日までに戦後のガザに関する具体的な計画を示さなければ戦時内閣から離脱するという意思を表明していた。今後ネタニヤフ政権に対する圧力がさらに強まるとみられる。

[米国/中東] 6月10日、ブリンケン国務長官は中東歴訪を開始し、エジプト、そしてイスラエルを訪問した。エジプトでは記者会見に臨み、バイデン大統領がガザ停戦案を提示してから既に10日が経過しており、ハマスは受け入れを決断すべきと発言。また、停戦後を見据えて、ガザの安全保障、統治、そして復興をめぐる案を準備しておくことも不可欠であるとの考えを示した。またブリンケン氏は、イスラエルでは、ネタニヤフ首相、ガンツ国防相とそれぞれ会談し、停戦合意はイスラエルと中東諸国とのさらなる統合にも道を開くとイスラエル側に伝えた。メディアで取り沙汰されているイスラエルとサウジアラビアの国交正常化交渉などを示唆するものと思われる。

[米国/イスラエル] 7月24日に米議会上下両院合同本会議で、イスラエルのネタニヤフ首相が外国指導者として最多の4度目の演説を行うことが確定した。前回ネタニヤフ氏が米議会上下両院合同本会議で演説したのは2015年3月3日であり、当時のオバマ政権が推進したイランのロウハニ政権との核協議を批判していたネタニヤフ氏の米議会演説に反発した民主党議員ら58人が欠席した。ガザ危機を巡りネタニヤフ氏に対する批判が米国内でも高まる中、前回よりも多くの議員の欠席が見込まれる。

[スーダン] 世界食糧計画(WFP)のマケイン事務局長は、スーダンの人道危機が悪化していると警告。アフリカ北東部・西側に紅海を望むスーダンでは、約1,800万人が深刻な飢餓に直面し、500万人が緊急レベルの飢餓状態にあるとしている。 WFPは食糧と栄養支援の拡大を発表したが、止まない紛争により現地へのアクセスは非常に困難な状況となっている。ダルフール地方では、唯一稼働中の病院が攻撃され、閉鎖に追い込まれた。米国は紛争当事者への外部からの介入に反対し、人道支援へのアクセス改善を求めている。スーダンの危機はメディアや国際社会に十分に報道されておらず、ほかの地域の紛争に比べて注目度が低い。こうした事態に国境なき医師団は、国際社会の無関心に衝撃を受けているとコメントしている。

[マレーシア] 政府は、ディーゼル燃料価格を6月10日から約50%値上げした。政府が一律補助金制度を見直し、貧困層支援に焦点を当てる政策に転換したことが背景にある。また、政府は燃料や食用油など生活必需品に多額の補助金を出していることに加え、近年の商品価格高騰によりこれらの補助金が財政を圧迫しているため今回の措置に踏み切った。ディーゼル補助金の歳出だけでも2019年の14億リンギ(2億9,640万ドル)から2023年には143億リンギ(約30億3,674万ドル)に増えていた。政府は、2024年のディーゼル補助金は、約40億リンギ(約8億472万ドル)の歳出減が見込まれるとし、その分を低所得層に配分すると発表した。

[ハンガリー] 6月9日に行われた欧州議会選挙の結果、フィデス・キリスト教民主国民党が、得票率44.8%で11議席を獲得した。新興政党の「尊敬と自由」が結成から間もないにもかかわらず、得票率29.6%で7議席を獲得しており、フィデス・キリスト教民主国民党の支持にやや陰りがみられる。なお、欧州議会選挙におけるハンガリーの投票率は58.5%と、2014年の28.9%、2019年の43.6%から大きく伸びた。

[中国] 広州汽車集団の曽慶洪会長は、「2024中国自動車重慶フォーラム」でのスピーチで、「燃料車と電気自動車(EV)の平等な権利」を主張し、新エネルギー車の市場シェアが50%に達した際には、当局は双方を等しく扱う対策を推進するよう提言した。新エネルギー車は政府の優遇措置により政府目標を10年前倒しして、早ければ2025年に市場シェア50%に達することが予測されている。また睿藍汽車・海外事業部の鄧暁丹総経理は、中国製EVが欧州で直面するリスクに言及し、奇瑞国際の束学明副総経理は、海外市場では依然として燃料車が主力で、燃料車ビジネスを無視することはできないと述べた。

[インド] 6月9日、モディ首相が宣誓式に臨み、3期目の政権を発足させた。同日、大統領府は政権の閣僚を発表した。シャー内相、シン国防相、ジャイシャンカル外相、シタラマン財務相、ゴヤル商工相といった主要閣僚は、2期目から留任となった。与党BJP以外にも、連立政党であるテルグ・デサム党、ジャナタ・ダル統一派らも、民間航空相などのポストを得た。

[ロシア/北朝鮮/ベトナム] プーチン大統領が今後数週間のうちに、北朝鮮とベトナムを訪問する予定と現地メディアが報じた。ウクライナ侵攻を巡って欧米と対立を深めるロシアは、軍事面を含めて北朝鮮との関係を強化しており、日米欧は懸念を深めている。

[南アフリカ] 6月10日、最高裁長官は5月29日に実施された総選挙後初となる国民議会を6月14日に召集すると発表した。国会初日に議員らによる選挙により議長、副議長を選出したあと、大統領の選出が行われる予定。今回の選挙で総議席400議席のうち過半数を下回る159議席の獲得にとどまった与党・アフリカ民族会議は、6月6日に「国民統合政府(GNU)」の樹立を発表し、野党の政権参画を呼びかけているが、野党間での対立も生じており、どのような合意に至るか見通しは不透明な状況が続く。ANC党首のシリル・ラマポーザ大統領は、6月13~15日にイタリアで開かれるG7サミットに招待されていたが、国内の優先事項に集中する必要があるため出席をキャンセルしたと報じられている。

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