デイリー・アップデート

2024年6月26日 (水)

[マレーシア] 6月25日にマレーシア統計局が発表した2024年5月の消費者物価指数は、前年同月比で+2.0%と、上昇率は前月の+1.8%から3か月ぶりに拡大した。特に飲食店・ホテル(+3.2%)、住宅・水道・燃料(+3.2%)、パーソナルケア・社会保障・雑貨・サービス(+3.0%)の伸び率が高かったが、幅広い項目での拡大が見られた。政府は、ディーゼル油(軽油)の補助金削減を6月10日から実施しているが、2024年のインフレ率や実質GDP成長率の目標(それぞれ2~3.5%、4~5%に設定)は達成できると見込んでいる。

[カナダ] カナダ統計局によると、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.9%だった。上昇率は4月(+2.7%)から拡大した。内訳をみると、財は4月と同じ+1.0%の伸び率だった一方で、サービスは+4.6%と、4月(+4.2%)から上昇率を拡大させた。カナダ中央銀行は6月に利下げを決定したものの、足元の物価上昇率の拡大を踏まえると、追加利下げに慎重にならざるを得ないとみられる。

[モザンビーク] 6月24日、憲法評議会は、10月9日に実施される大統領選の候補者4名の資格の有効性を発表した。4名は、与党・モザンビーク解放戦線(FRELIMO)のダニエル・シャポ氏(47歳)、最大野党・モザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)のオスフォ・モマデ党首(63歳)、第二野党・モザンビーク民主運動(MDM)のルテロ・シマンゴ党首(64歳)、元RENAMO党員のベナンシオ・モンドラーネ氏(50歳)。国民議会の議席の7割強を占め、2023年10月の地方選でも地すべり的勝利をおさめたFRELIMOから推薦を受けたシャポ氏が、フィリペ・ニュシ現大統領の後任として勝利する可能性が高いとみられる。

[フィリピン] 6月25日、ドゥテルテ前大統領、その長男のパオロ・ドゥテルテ下院議員、次男であるセバスチャン・ドゥテルテ・ダバオ市長が、2025年の上院選に出馬すると、サラ・ドゥテルテ副大統領が表明した。上院は法案審議の過程で強い権限をもつ。ドゥテルテ一族とマルコス大統領の関係は最近急激に悪化しており、ドゥテルテ前大統領らが上院議員になれば、マルコス政権の政権運営に影響を及ぼす可能性がある。

[イスラエル] 6月25日、イスラエルの高等裁判所は、超正統派ユダヤ教徒のイスラエル人に対し、軍に徴兵されなければならなく、生徒が軍に入隊しないユダヤ教神学校は政府からの資金援助を受けられないとの判決を下した。この判決を受けて検事総長は国防当局に対し、超正統派ユダヤ教徒の学生3,000人をただちに軍に採用するよう命じた。8か月半にわたって続くガザ戦争で、イスラエル兵の死亡者は既に600人を超えており、世俗派のイスラエル人による超正統派ユダヤ教徒の徴兵免除に対する不満が高まっていた。

[米国/ロシア] 6月25日、オースティン国防長官は、ロシアのベロウソフ国防相との電話会談に応じた。5月に同氏が国防相に就任して以来初の米ロ国防相会談となった。会談の詳細は明らかにされていないが、国防総省によれば、米ロ間で対話を維持することの重要性を国防長官がロシア側に伝えた模様。前回は2023年3月、当時のショイグ国防相に対し、米国の偵察用無人機が墜落した事態について、米国側が抗議している。米ロ軍事当局間の対話チャンネルはこのほかにも複数存在するが、対話の頻度は低下していることが伝えられている。

[米国] 女性の人工妊娠中絶の米合衆国憲法上の権利を、約半世紀に渡り認めてきた「ロー対ウェイド判決」を米連邦最高裁判所が覆し、一転違法とされてから6月24日で2年が経過した。CBS News/YouGovは、6月17~21日までの5日間、全米の成人2,460人を対象に本件についての最新世論調査を実施し、結果を6月24日に公表した。回答者の60%がすべての州・ほとんどの州で人工妊娠中絶を合法とすべきと回答し、「ロー対ウェイド判決」が覆されてから2年が経過しても、米国民の多数は同権利を支持していることが判明。

[EU] 6月24日に開かれたEU外相会合で、7月中にウクライナに対して14億ユーロ程度を軍事支援および復興支援として支払うことで合意された。EU域内にあるロシアの凍結資産から得られる利益が活用される。加盟国の全会一致が必要なところ、ハンガリーの拒否権を回避した形。

[米国/中国] WSJ紙のインタビューで、駐中国バーンズ米大使は、2023年11月の米中首脳会談で両国国民の交流を強化すると合意したにも関わらず、中国当局は反米感情を煽り、米大使館主催行事への中国人の参加を妨げていると批判した。中国政府は中国人留学生が米国で不当な扱いを受けていると批判するが、99%以上の学生は問題なく米国の入国審査を通過しており、2023年度には中国人に対して過去最高となる約10万5,000件の学生ビザが新たに発給されたと述べた。6月、吉林省でアイオワ州の大学教員4名が刺された事件についても、十分な情報を得ていないと苦言を呈している。

[ロシア] 6月25日、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は、ロシアのショイグ前国防相とゲラシモフ参謀総長に対して、戦争犯罪などの疑いで逮捕状を発行した。理由について、少なくとも2022年10月から2023年3月にかけて、ロシア軍が相次いでウクライナの電力インフラをミサイルで攻撃したことが、軍事的な標的以外のものを故意に攻撃した戦争犯罪にあたる可能性があること、などとしている。

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