デイリー・アップデート

2024年6月21日 (金)

[ペルー] ペルーは徴税が減少し、歳出面でも圧力がかかり始めていることから、財政悪化が加速している。2024年の財政赤字の目標はGDP比2%だが、市場は4%近くまで拡大を見込む。財政目標が一貫して達成されていないため、信頼性が損なわれ、信用格付けへの圧力も高まっている。

[タンザニア] 6月20日、国際通貨基金(IMF)理事会はタンザニアの気候変動対策向けに7億8,620万ドルの新規融資を決定した。同国は2023年11月以降、エル・ニーニョの影響による洪水により200名以上が死亡し、主要産業の農業やインフラに被害が生じたことを受け、5月にIMFに追加の支援を要請していた。IMFは同国の経済プログラムの進行は順調で、財政再建により経常赤字が縮小(対GDP比4.3%)していると政府の取り組みを評価した。アフリカ開発銀行(AfDB)の5月の発表によると、同国の実質GDP成長率は農業、製造業、観光業がけん引し、2024年は+5.7%、2025年は+6.0%に上昇するとしている。

[米国/中国/インド] 6月19日、インド訪問中のマコール米下院外交委員長(共和党)率いる超党派の米下院議員代表団はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と面会した。今月中にもダライ・ラマ14世は膝の治療のために訪米する計画であり、同氏を反中分離主義者と見做している中国政府の反発は必至と見られる。米下院議員代表団には中国に厳しい姿勢を示している元下院議長のペロシ下院議員(民主党)ら合計7人で構成されている。

[世界] 6月20日、国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した「世界投資報告書2024」によると、2023年の世界の海外直接投資額(FDI)が前年比▲2%の1兆3,318億ドルだった。世界経済の減速や貿易摩擦、地政学的な緊張が要因で、2024年もFDIは厳しい状況が続くと予測した。インフラおよびデジタル分野での投資は減少した一方、自動車、半導体などの製造業や重要鉱物を含むグローバルバリューチェーン主導型の分野では増加した。発展途上国へのFDIは▲7%の8,670億ドルとなったが、地域ごとに減少幅は大きく異なった。発展途上国における新規プロジェクトの発表数は1,000件以上増加したが、その分布は不均一で、東南アジアが約半分、西アジアが約4分の1を占めた。

[日本] 総務省によると、5月の消費者物価指数(総合)は前年同月比+2.8%となった。 上昇率は4月(同+2.5%)から拡大、2月(同+2.8%)以来の大きさだった。物価を押し上げたのは、同+14.7%と4月(同▲1.1%)から上昇に転じた電気代だった。再生可能エネルギー賦課金が引き上げられたため。また、今後、電気・ガス価格激変緩和対策事業による物価押し下げ効果も剥落するため、エネルギー価格を通じた物価上昇圧力が、当面かかりやすいと予想されている。

[北朝鮮/ロシア] 6月19日の首脳会談後に、ロシアと北朝鮮は両国が「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したと発表していた中、その全文を北朝鮮の朝鮮中央通信が報じた。それによれば「いずれかが、(中略)武力侵攻によって戦争状態に陥った場合、他方は(中略)遅滞なく、保有するあらゆる手段を用いて軍事的およびその他の支援を提供する」となっており、冷戦時代の両国の軍事同盟を復活させるような文言となっている。米国の識者らの中には、7月開催されるNATOサミットで、日米韓は集団安保体制の枠組みを検討すべきだと主張する声がある。

[ニュージーランド] 6月20日、2024年1~3月期の実質GDP成長率は前期比+0.2%、前年同期比+0.3%だったと発表された。前期(前期比▲0.1%、前年同期比▲0.2%)からプラス成長に転じ、2期連続のマイナス成長(テクニカル・リセッション)から脱却した。しかしインフレ(2024年1~3月期のCPI上昇率は前年同期比+3.6%)と高金利(政策金利は5.5%)により内需の弱さが続き、今後も停滞が続く見通し。

[イスラエル] 6月19日、イスラエル軍(IDF)のハガリ報道官は、イスラエルの民放テレビ局のインタビューで、ハマスというのはイデオロギー(思想)でありハマスを壊滅できると考えるのは誤りである、と語った。ハマスの壊滅は、ネタニヤフ首相が今回のガザ攻撃の当初から一貫して主張してきた戦争目的の一つであり、これに異を唱える形となった。6月に入り、元IDF参謀総長のガンツ氏とアイゼンコット氏が戦時内閣から抜け、さらにIDFが発表したラファハの一部における戦闘停止をネタニヤフ首相や閣僚が「寝耳に水」と批判するなど、政権と軍の間での意見の齟齬(そご)が表立ってきている。

[米国] 6月20日、米財務省は、半期に一度の為替政策報告書を発表した。為替操作の監視対象国として挙げられたのは、日本、中国、台湾、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ドイツの7か国。日本は2023年11月に公表された前回の報告書では監視リストには載らなかったが、今回は二つの判断基準を満たしたため(対米貿易黒字と経常収支黒字)、監視対象とされた。為替操作国の認定を受けた国は無かった。中国は三つの判断基準のうち一条件を満たしたのみだが、為替介入に関する不透明性、そして巨額の対米貿易黒字がゆえに、監視リスト先とされている。

[ロシア/ベトナム] 6月20日、プーチン大統領は、ベトナムの首都ハノイを訪れ、トー・ラム国家主席らと会談し、貿易やエネルギーなどの分野で協力関係をさらに深めていくことで合意した。会談でプーチン氏は「ベトナムが主要加盟国である東南アジア諸国連合(ASEAN)との対話促進を重視している」と強調し、伝統的友好国であるベトナムとの安全保障や経済面での関係強化を図った。

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