デイリー・アップデート

2024年6月18日 (火)

[中国] 6月17日、国家統計局は主要経済指標を発表した。5月の小売売上高は前年同月比+3.7%となり、4月の+2.3%から拡大した。しかし、コロナ禍以前の2019年は全ての月が+7%以上の伸びを記録していたため停滞感がある。そのうち、自動車売上高は3か月連続のマイナスで、前年同月比▲4.4%だった。一方、スポーツ・娯楽用品類は+20.2%、化粧品類は+18.7%と好調だった。5月の鉱工業生産額は前年同月比+5.6%と4月の+6.7%から減速した。そのうち、太陽電池が+14.8%、集積回路(IC)が+17.3%など大幅に増加した。1~5月の固定資産投資は前年同期比+4.0%となり、1~4月の+4.2%から減速した。そのうち、不動産開発投資は▲10.1%だった。不動産市場の低迷が続いている。5月の全国都市部調査失業率は5.0%と、前月から横ばいであった。

[アラブ首長国連邦(UAE)/アフリカ] 政府系港湾運営企業のDPワールドは、2029年までにアフリカの港湾・物流開発向けに30億ドルを投資する計画だと報じられている。同社はセネガル、モザンビーク、ソマリア等で港湾運営・開発を行っており、2023年10月にはタンザニアのダルエスサラーム港の30年間の運営権を取得するなど、特にアフリカからの重要鉱物の輸出に戦略的に乗り出している。ほかにもUAEの再エネ大手・マスダールが2030年までにアフリカのクリーンエネルギー向けに100億ドルを動員すると発表するなど、UAE企業のアフリカへの積極展開が続く。世界経済フォーラムによると、UAEは過去10年間でアフリカに594億ドルを投資しており、中国、EU、米国に次いで4位とのこと。

[中国/フィリピン/米国] 6月17日、南シナ海スプラトリー諸島のアユンギン礁で、中国海警船とフィリピンの補給船が衝突した。フィリピン側に重傷者が出たとの報道もある。中国海警局の新規則が6月15日から実施され、中国側は外国人に対する拘留審査期間の延長や船舶への立ち入り検査強化の方針を示しているほか、新たに中国海軍の水陸両用強襲揚陸艦も投入するようになっている。6月17日、フィリピンのラザロ外務次官とキャンベル米国務副長官は、南シナ海におけるフィリピンに対する武力攻撃には米比相互防衛条約が適用されると確認した。緊張状態のエスカレーションが懸念される。

[オーストラリア/中国] 6月17日、李強首相がオーストラリアの首都キャンベラでアルバニージー首相と会談した。中国首相の同国訪問は7年ぶり。両首脳は二国間対話の進展を歓迎し、両政府は経済、気候変動、教育・研究、文化交流、戦略的経済対話の協力に関する覚書に署名した。アルバニージー首相は、中国軍の豪海軍への危険行為を取り上げ、両国軍が意思疎通を改善し事故を防ぐことで合意したと述べた。太平洋諸島、豪州人作家楊恒均(ヤン・ヘンジュン)氏が執行猶予付き死刑判決を言い渡された件、ロシアのウクライナ侵攻についても話し合ったと述べた。李強首相は、両国の関係は全面的な好転を実現したこと、中国は貿易、EV、再エネ、人的交流等の分野で積極的に協力すること、鉱業協力の拡大についても話し合ったと述べた。アルバニージー首相は、鉱業協力について具体的な合意はなかったとしつつ、両国には鉱業において多くの利害関係があると述べた。

[イスラエル] ネタニヤフ首相は6月16日の会合で、戦時内閣の解散を発表した。戦時内閣とは、10月7日のハマスによるイスラエル奇襲を受けて、野党国民統一党のリーダーであるガンツ前国防相などを含めて、戦争遂行に関する決定を迅速に下すために設置されたもの。しかし、6月9日にガンツ氏はネタニヤフ首相らとの確執が原因で戦時内閣から離脱しており、このことが戦時内閣の解散に繋がった。連立内閣は保たれるのでネタニヤフ政権に直接影響を与えるものではないが、今後連立内の極右政党の発言力が増すことが考えられる。

[米国/イスラエル] 7月24日、イスラエルのネタニヤフ首相は、外国の指導者としてはチャーチル英首相を上回る最多の4度目の米議会上下両院合同本会議演説を行うことが決まった。だが、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラム組織ハマスの殲滅(せんめつ)作戦が展開される中、パレスチナ人犠牲者は民間人を中心に3万7,000人以上に達し、民主党議員の間からはネタニヤフ氏の米議会演説をボイコットする動きも出ている。ペロシ元下院議長は、ネタニヤフ氏の米議会演説招待を批判した。

[ロシア/北朝鮮/ベトナム] プーチン大統領は、6月18~19日に北朝鮮、続いて19~20日にベトナムを訪問する。北朝鮮訪問は2000年以来。ウクライナ侵攻が長期化し、欧米諸国からの制裁が強まる中、外交の孤立を回避し、軍事・経済面での協力を求めることが狙い。北朝鮮はロシアから衛星に関する技術支援などを求め、ロ朝の相互関係が一段と深まるとみられる。

[EU/中国] 6月12日に欧州委員会が、中国製バッテリー電気自動車(BEV)に対して暫定的に17.4%~38.1%の追加関税を課すことを発表。欧州委員会は、この暫定的な関税の目的を、中国政府の不公正な補助金制度によって、EU市場において中国のBEVメーカーが享受している不公平な競争上の優位性を排除するためと説明。現在、欧州委員会と中国当局が協議を行っており、最終的な関税率は2024年秋に発表される見込み。

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