デイリー・アップデート

2024年6月20日 (木)

[英国] 国立統計局(ONS)によると、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.0%と4月(同+2.3%)から上昇率を縮小させ、中銀目標の2%に達した。しかし、持家の帰属家賃を含めたCPI(CPIH)は同+2.8%と高かった。食品やエネルギーを除くコアCPIは+3.5%、コアCPIHは+4.2%と、依然として高い伸びを維持している。物価の基調の強さから、英中銀が20日の会合で政策金利を据え置くと、市場では予想されている。

[エネルギー] Energy Instituteが年次の世界エネルギー統計を公表。英BPが長年、集計・公表してきた統計を2023年から引き継いだもの。これによると、2023年の世界の一次エネルギー消費量は過去最高の620EJ。前年比+2%と高い伸びとなり、再生可能エネルギー・化石燃料消費ともに拡大したため、エネルギーミックスに占める化石燃料の割合は81.5%と微減にとどまる。CO2排出量は初の40ギガトン超えとなった。化石燃料の消費量も過去最高となったが地域差が大きい。欧州では化石燃料の割合が70%を切ったが、インドは需要増加の大半を化石燃料が占め、石炭消費量は北米と欧州の合計を上回る。中国もエネルギー需要は拡大し、一人当たりエネルギー消費量は初めて欧州を超える一方、炭素強度は低下。

[ブラジル] 金融政策委員会(Copom)は全会一致で政策金利であるSelic金利を10.50%に据え置いた。2023年8月に開始した緩和サイクルを中断したことになる。中銀はインフレ見通しを再び上方修正しており、年内にさらなる利下げを実施する余地はないとみられる。

[南アフリカ] 6月19日、首都プレトリアでシリル・ラマポーザ大統領の2期目となる大統領就任式が行われた。5月29日に実施された総選挙の結果、同氏が率いるアフリカ民族会議(ANC)や白人を支持基盤とする民主同盟(DA)らから構成される「国民統一政府(GNU)」が樹立したことに関し、大統領は「新しい時代の始まりだ」と述べた。DAの加入により、親ビジネス路線が期待される新政権を金融市場は歓迎しており、株価や通貨ランドの上昇がみられる。一方で「イデオロギーの異なる政党同士の連立は容易ではない」として新政権の安定性に疑問を呈する見方も多い。目下、新内閣の顔ぶれの発表に注目が集まっている。

[タイ] 6月18日、タイ検察当局は、タクシン元首相が2015年に韓国メディア「朝鮮日報」のインタビューで枢密院は2014年のクーデターを支援していたと述べたことが不敬罪にあたるとの容疑で同元首相を起訴した。同元首相は刑事裁判所で50万バーツの保釈金を支払って仮保釈された。また同日、憲法裁判所は、前進党の解党の訴えに関する審議を7月3日、セター首相の解職の訴えに関する審議を7月10日に行うと発表した。

[米国/日本] 6月17日、国務省は、日米間で拡大抑止協議を6月13~14日にウィスコンシン州の米空軍基地で実施したと発表した。同協議は2010年に設立され、拡大抑止の維持、強化を日米の政策担当者が議論することを目的としている。空軍基地を訪問した代表団は、大陸間弾道ミサイル発射施設も見学した。類似の枠組みとしては米韓核協議グループもあるが、日米、米韓間では、北大西洋条約機構(NATO)における核に係る政策決定を行う機能は無い。

[米国] 6月17日からバイデン政権の主要閣僚やホワイトハウス高官はバイデン政権の経済実績を訴える目的で大統領選挙の帰趨を決する「激戦州」を中心に合計15州で24以上のイベントを主催して有権者と議論する全米ツアーを開始した。6月27日に第1回大統領候補テレビ討論会がジョージア州アトランタで開催されてバイデン氏とトランプ氏が討議を行うが、バイデン政権の主要閣僚らの全米ツアーは6月27日まで行われ、政権の経済重視姿勢を有権者に訴えるのが狙い。

[NATO] 7月のNATOサミット開催に向け、ストルテンベルグ事務総長の後任人事が大詰めを迎えているが、6月18日にハンガリーとスロバキアが有力候補のオランダのルッテ首相を支持することを発表。ハンガリーは、NATOの対ウクライナ支援参加拒否をルッテ首相が尊重すること、スロバキアはルッテ首相がスロバキア防空支援を考慮することを条件と提示した。現在、ルーマニアのみが支持を表明していない。

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