デイリー・アップデート

2024年6月28日 (金)

[ザンビア] 6月26日、国際通貨基金(IMF)理事会は、ザンビアの財政支援向けに3億8,570万ドルの融資の増額を承認した。IMFは政府のマクロ経済安定化に向けた取り組みを評価しながらも、深刻な干ばつが農業および電力部門に大きな影響を及ぼし、経済成長の足かせになっているとした。同国の電力の約83%が水力発電により賄われているが、降雨不足によりジンバブエとの国境にあるカリバダムの水位は満水時の10%台に低下。6月から全国で12時間の計画停電が実施されている。また、干ばつは主要穀物のトウモロコシ等の大規模な作物被害を招いており、5月のインフレ率は前年比で+14.7%に上昇した。

[フィリピン] 6月27日、フィリピン中央銀行(BSP)は、主要政策金利である翌日物借入金利を6.50%で据え置いたが、8月の次回会合の際、0.25%pt利下げする可能性を示唆した。そうなれば、2020年11月以来の利下げとなる。利下げの可能性を示唆したのは、6月に主食のコメの関税率の引き下げ(35%から15%)が決定され、今後物価上昇圧力が緩和することが織り込まれたためだ。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.9%に達しており、中央銀行の2~4%の目標レンジの上限付近になっている。

[日本] 経済産業省「鉱工業指数」によると、5月の鉱工業生産指数は前月比+2.8%と、2か月ぶりに増加した。基調判断は5か月連続で「一進一退ながら弱含み」だった。自動車など15業種中13業種の生産が増加した。総務省「消費者物価指数」によると、6月の東京都区部の消費者物価指数(総合)は前年同月比+2.3だった。電気代の上昇などから、上昇率は5月から拡大、2か月連続で2%を上回った。同「労働力調査」によると、5月の完全失業率は2月以降横ばいの2.6%だった。一方、厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、5月の有効求人倍率は1.24倍と、前月から小幅に低下し、2022年末から2023年初を直近ピークに低下傾向にある。

[メキシコ] メキシコ中銀は、6月27日の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定した。今回は全会一致ではなく、5人の理事のうち1人が利下げを主張したことや、経済成長の下振れリスクに言及するなど、ハト派に少し傾いた。ただし、足元のインフレ率への警戒や、憲法改正動向なども踏まえ利下げ再開は2024年後半以降になるとの見方が強い。

[オーストラリア] 豪州ではEV中古市場で需給状況に大きなミスマッチが生じていると現地紙が伝えている。オーストラリア自動車ディーラー協会と自動車情報会社オートグラブのデータによると、5月に売りに出されていた中古EVは4,013台だったのに対し、実際の販売台数は1,647台。売り出しに対する販売比率は約4割で、ガソリン車、HV車が6~7割であるのと比較すると需給バランスが崩れていると言える。これは古いEVが市場に残っていること、消費者が電池寿命を懸念していることなどの指摘もあるが、EVの資産価値の低下も原因になっているという。例えば、2?4年前のEVは購入価格の57.6%に急落し、5年以上経過したEVは4分の1未満の価値しかない。かつてHVにもこうした問題はあったことから、普及することで資産価値は高まっていくとの楽観的な見方もある。

[米国] 6月26日、下院共和党のトランプ前大統領批判の急先鋒であったキンジンガー元下院議員は、現職バイデン大統領の再選に対する支持を表明した。バイデン氏とトランプ氏との第1回大統領候補テレビ討論会の前日にキンジンガー氏がバイデン支持を表明した背景として、大統領選挙の本選挙キャンペーンが本格化する中で、トランプ氏に反発している穏健派共和党員や無党派層の支持を獲得したいとのバイデン再選委員会の狙いがある。

[イラン] 6月28日、5月にヘリの墜落事故で無くなったライーシ大統領の後任大統領を選ぶ選挙が実施される。当初大統領候補となった6人のうち2人が選挙戦から撤退したため、最終的に4人の争いとなり、実質的にはそのうち世論調査で20%以上の支持率のある3人(改革派候補1人と保守派候補2人)の争いとなる。選挙戦後半で改革派候補が支持率を上げてきており、それに伴い投票率も前回より上昇する可能性が高いとみられている。過半数の票を取る候補がいなければ、7月5日に上位2名による決選投票が行われる。

[ベトナム] 6月25日、米国のフェルナンデス国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)とベトナムのズン計画投資相がハノイで「包括的戦略パートナーシップ経済対話」を初めて開催した。両国の関係は2023年9月にバイデン大統領がベトナムを訪問した際、包括的戦略パートナーシップに格上げされていた。両国は半導体サプライチェーン強靭化等の協力について議論した。次回会合は2025年春に行うとした。なお米商務省は2023年10月からベトナムを「市場経済国」と認めるための調査を行っている。

[EU] 6月27日のEUサミットで、コスタ元ポルトガル首相を大統領、カラス現エストニア首相を上級代表とし、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の再任することを決定した。ただし、7月18日の欧州議会本会議での秘密投票によって、欧州議会議員の信任を得る必要がある。

[中国] 6月27日に中国共産党中央政治局会議が開催され、第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)の日程が7月15~18日になることが発表された。また同会議は、重大な規律・法律違反により、李尚福前国防相とその前任の魏鳳和元国防相の党籍をはく奪すると発表した。中国共産党新聞によると、2名の元国防相は巨額の賄賂を受け取り、人民解放軍内の昇進や、兵器を生産する企業を含めて汚職を広げ、また李氏については、自身に対する捜査を妨害するために他人に賄賂を渡したとされている。

[アルメニア/ロシア] 旧ソ連アルメニアは、ロシアとの関係が悪化する中、欧米諸国との関係強化に動いている。ロシア主導の軍事同盟(CSTO)やユーラシア経済連合(EEU)から離脱し、欧州連合(EU)への加盟を検討している。同国の政府高官らが最近、欧米諸国を頻繁に訪問し、欧州から武器購入も行っている。アルメニア国内では、親EU世論も拡大し、同国を「勢力圏」と位置づけてきたロシアから強い反発が出ている。

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