デイリー・アップデート

2024年6月13日 (木)

[ブラジル] 5月のインフレ率が前年同月比3.9%となり、4月の3.7%から上昇、7か月連続で続いていた下落トレンドが止まった。インフレ率は中央銀行の目標である3.0%を大幅に上回っており、基調的なコア・サービス・インフレが再加速していることから、来週の金融政策決定委員会においての利下げが見送られる可能性が強まった。

[南アフリカ] 6月12日、第5党・インカタ自由党(IFP)のヴェレンコシニ・フラビサ党首は、第1党・アフリカ民族会議(ANC)と第2党・民主同盟(DA)を含む「国民統一政府(GNU)」に参加すると述べた。5月29日に実施された総選挙で過半議席を失ったANCは全政党の政権参加をよびかけるGNUの樹立を発表し、各政党との交渉を続けているが、6月14日の国会召集を控え、協議が具体化しているとみられる。第3党の民族の槍(MK)は選挙に不正があったとして国会初日のボイコットを表明している。第4党の経済的開放の闘志(EFF)は以前からDAが含まれるGNUには参加しないとの意向を示している。

[パキスタン] 6月10日、中央銀行(SBP)は、150bpの利下げを行い、緩和サイクルを開始した。今後さらなる利下げが予想されるが、IMFとの新たな長期ローン契約交渉が続いているため、追加緩和のペースは比較的緩やかになると見られている。今回の利下げは、中央銀行が2023年6月に政策金利を過去最高の22.0%に引き上げて以来初めてだったが、この変更は大方の予想通りであった。5月の消費者物価指数(CPI)は、2023年5月の前年同月比+38.0%のピークから+11.8%と29か月ぶりの低水準となった。

[米国] 連邦準備理事会(FRB)は6月11~12日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催、政策金利(FF金利の誘導目標レンジ)を5.25~5.50%に据え置くことを決定した。FOMC参加者の経済見通し(中央値)によると、2024年末の利下げ回数(1回あたり0.25%)は1回と、前回3月時点の3回から下方修正された。ただし、2025年は4回利下げ見通しと前回から1回増加し、長期の政策金利水準も2.8%へと0.2pt上方修正された。

[米国] 銅価格の上昇につれ、EV充電ケーブルの銅配線を狙う窃盗犯が全米で急増しているという。ケーブル盗難により、充電ステーション全体が使用不可になることが多く、電気の購入希望者に、常に充電が可能だと納得させることが難しくなる。EV所有者は、走行中に機能している充電器を必死に探さなければならなくなることも考えられ、ガソリン車やハイブリッド車に比べてストレスを感じることにもつながるため、EVの普及が想定よりも遅れることが懸念される。自動車メーカーはEVへの転換を促すべく努めているが、その懸念が最新で最大の障害となっている。充電器メーカーによれば、ケーブルには銅が大量に含まれている訳ではなく、またスクラップの受け入れが厳格化されつつあるため、窃盗に遭うリスクの割には「たいした金額を稼げていない」。

[タイ/BRICS] 6月11日、タイのマーリット外相がロシアのニジニーノブゴロドで開かれたBRICS関連会合に出席した際、BRICSに加盟する意思を表明した。タイでは5月28日の閣議でBRICS加盟に向けた意向書が承認されていた。BRICSには1月からエジプト、イラン、エチオピア、UAE、サウジアラビアが加盟し、加盟国は計10か国となっている。タイが参加すれば東南アジアでは初めての加盟となる。

[イスラエル] 6月12日、国連人権理事会の独立国際調査委員会は、10月7日とそれ以降に、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの双方が戦争犯罪と人道に対する罪を犯したとする報告書を発表した。報告書では、イスラエルがガザへの食料や医薬品の搬入を妨げたことで、飢餓を戦争の手段に使ったと糾弾。また、ハマスに対してはイスラエル人や外国人を意図的に死傷させ拉致したと非難した。報告書は、国連安全保障理事会に向けてイスラエル政府に対する即時停戦を求めるよう勧告し、ハマスには人質の即時解放を求めた。

[米国/G7] 6月13日からイタリアで始まる主要7か国首脳会議(G7)に向けて、バイデン政権はメディアに対して事前ブリーフィングを行った。在外ロシア凍結資産の扱い、対ロシア経済制裁の強化、中国のロシア防衛産業支援や非市場主義的政策への対応、国際的なインフラ整備、債務問題、人工知能(AI)技術などを、バイデン政権にとっての主要アジェンダとして挙げた。現地では、バイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、二国間安全保障合意を交わす予定。ロシアの凍結資産については、総額500億ドル相当の資金をウクライナ支援に充てることでG7合意が成るのではないかとの観測がある。

[米国] 6月13日、トランプ前大統領はワシントンで、共和党上院議員らとホワイトハウス奪還や上院での多数党復帰に焦点を当てた非公式協議を行う。6月10日、上院共和党会議の議長に就任しているバラッソ上院議員は、同僚の共和党上院議員らに発信した電子メールで、トランプ氏の選挙キャンペーン計画について説明を受け、上院共和党の2025年の戦略的統治アジェンダ共有の有益性を示している。トランプ氏と上院共和党の協力強化が見込まれる。

[ハンガリー/NATO] 6月12日、ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長がオルバン首相(ハンガリー)と会談を行った。ハンガリーはNATO同盟国による対ウクライナ軍事支援に反対しており、オルバン首相はNATO内のハンガリーの立場を再考していると発言していた。会談の結果、今後ハンガリーが、コンセンサスが必要となるNATOのウクライナへの取り組み合意に拒否権を発動しないと保証した。

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