デイリー・アップデート

2024年6月12日 (水)

[インドネシア/EEU] 6月10日、インドネシアのアイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は、ロシアなど5か国が加盟するユーラシア経済連合(EEU)のアンドレイ・スレプネフ貿易相と会談後、EEUと自由貿易協定(FTA)に関する協議を7月に終了する見通しを示した。EUは、パーム油生産が森林破壊をもたらしているとの理由から、インドネシア産パーム油の輸入を禁止している中、インドネシアはEUの代わりにEEUへの輸出を強化したい意向がある。EEUはインドネシアにとって最大のパーム油の輸出先の一つであり、2023年には5億4,464万ドル相当のパーム油が輸出された。一方、EEUは、鉱物や化学物質から作られる肥料やフェロアロイなどを、主にインドネシア向けに輸出している。第5回目となるFTA協議は、7月にインドネシアで開催される予定。

[日本] 日本銀行の「企業物価指数」によると、5月の国内企業物価指数は前年同月比+2.4%と、4月(+1.1%)から上昇率を拡大させた。拡大は4か月連続。前月比の上昇率は+0.7%となり、4月(+0.6%)から加速している。また、輸入物価指数は契約通貨ベースで▲3.0%とマイナスを継続している一方、円ベースは+6.9%と4か月連続のプラスだった。円安効果などのコスト増によって輸入物価指数が上昇しており、それが国内企業物価指数に波及し、いずれ消費者物指数に転嫁されていくと考えられる。

[ケニア] 6月11日、国際通貨基金(IMF)はケニアの経済プログラムに関する第7次レビューの結果、約9億7,600万ドルの融資実行に関し事務レベルで合意に至ったと発表した。IMFは6月に償還期限を迎えた総額20億ドルのユーロ債の返済リスクは、ケニア政府が総額15億ドルの国債を新規に発行したことで解消されたと評価した一方で、引き続き国内の借入ニーズは高く、財政収支が悪化していることから、大規模な財政調整が必要だと指摘した。世界銀行は5月30日にケニアの財政支援のため12億ドルの融資を承認しており、うち5億ドルが6月のユーロ債返済に充てられる見込み。

[米国] 米NBCによる住宅データ分析によると、ある地域の世帯収入の中央値と、その支払いに必要な収入の差は10年ぶりの高水準に近づいているという。この最新の数字は、多くの人々にとって、住宅市場へのアクセスがますます困難になりつつあることを示している。5年前には地域で平均所得を稼ぐ世帯であれば、94%が住宅を購入できたが、いまでは63%へと低下した。特に収入と住宅の差の拡大は米国西部で顕著となっている。 価格上昇圧力は、建材価格高騰や建設従事者不足、高金利などによるコスト高が考えられているが、全国の住宅在庫は2019年以降30%以上減少していることから、需給ひっ迫が最大の要因だと研究者は指摘している。

[米国/中国] 5月20日、米議会上院財政委員会は、スタッフが2年かけて調査してきた中国・新疆ウイグル自治区のウイグル族などの少数民族の強制労働により中国企業が生産した自動車部品に関する報告書を公表した。同報告書では、独BMW、独VW、英ジャガー・ランドローバーの欧州自動車メーカー大手3社がウイグル族などの少数民族の強制労働で生産された中国企業の部品を利用していると指摘されている。6月10日、ワイデン上院財政委員長は独BMWへの調査拡大を指示した。

[米国/中国] ブルームバーグ紙は、バイデン米政権が人工知能(AI)に使用される「ゲート・オール・アラウンド(GAA)」とよばれる半導体高性能化技術への中国のアクセスをさらに規制することを検討していると報じている。米政府は11月の大統領選挙前の発令を目指しているが、輸出規制を監督する商務省産業安全保障局(BIS)が作成した当初の草案は業界から範囲が広すぎると批判が出たとしている。GAAチップの輸出を全面的に禁止するには至らないとみられるが、製造に必要な技術に焦点が当てられるだろうという専門家の声が紹介されている。

[イラン] 6月28日に実施予定の第14期大統領選挙の候補者6人が発表された。登録受付期間に計80人が立候補登録をしたが、イランのハメネイ最高指導者が任命するイスラム法学者などから成る護憲評議会の事前資格審査によって、74人は失格となった。候補者6人のうち4人は保守強硬派と目される人物で、残る2人は保守中道派と改革派の人物。今後約2週間にわたって、テレビ討論会なども含む選挙戦が繰り広げられる。6月28日の選挙で過半数の票を獲得する候補がいない場合は、7月5日に上位2人による決選投票が行われる。

[米国] 6月11日、デラウェア州連邦裁判所は、バイデン大統領の次男、ハンター・バイデン氏(54歳)が不法に銃を購入、所持をしていたとして、有罪判決を下した。2018年に同氏が銃を購入する際に、違法薬物を使用していないと虚偽の申告をしたことが罪に問われた。現職大統領の子供が有罪判決を受けることは米政治史上初。従来共和党は、ハンター氏の海外ビジネスは父親の影響力を背景に展開されたものであり、汚職に相当すると批判している。トランプ前大統領は、バイデン一家による壮大な犯罪がまだ暴かれていないとの声明を発表した。

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