デイリー・アップデート

2024年6月14日 (金)

[G7/アフリカ] 6月13日、G7プーリア・サミットにおいてメローニ首相とバイデン大統領は、両国の民間セクターを交えた会談を実施し、イタリアの対アフリカ外交戦略である「マッティ・プラン」と、2022年にG7が立ち上げた「グローバル・インフラ投資イニシアティブ(PGII)」との連携を約束した。それに基づき、イタリアは米国・EUらが推進するアンゴラと内陸国とを結ぶロビト回廊プロジェクトに正式に参加し、鉄道新設向けに3億2,000万ドルを供与すると発表した。米国もまた、輸出入銀行(EXIM)を通じたアンゴラの500メガワット(MW)規模の太陽光発電事業向け融資や、ザンビアの銅鉱山向けの電力供給支援等を発表している。

[ミャンマー] 6月13日、世界銀行は「ミャンマー経済モニター」を発表し、ミャンマーの経済は引き続き重大な課題に直面しており、紛争、不安定な経済が生産を制約しているため、成長は依然として弱いままであると指摘した。2024年度(2024年4月~2025年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは+1%と、前年度から横ばいだが、2023年12月時点の+2%からは下方修正された。2019年の水準より約9%低い状態にとどまる見通し。インフレと失業率は依然として高水準にあり、貧困が増えている。生計に対する直接的な影響に加えて、紛争は国境貿易や国内の物流も妨げている。2023年10月から2024年3月までの6か月間で、輸出は前年同期比▲13%、輸入は▲20%と大幅に落ち込んだ。一方、農業セクターは回復の兆しを見せており、コメやそのほかの作物の収量が改善し、農家の販売価格も上昇している。

[米国] 労働省によると、5月の卸売物価指数(PPI)は前月比▲0.2%と、市場予想(+0.1%)を下回った。低下は3月(▲0.1%)以来、2か月ぶりだった。内訳をみると、サービス価格が横ばいだったの対して、財価格は▲0.8%と低下した。食品(▲0.1%)に加えて、エネルギー(▲4.8%)の下落が目立った。一方、6月8日までの1週間の新規失業保険申請件数は24.2万件(前週比1.3万件増)となり、10か月ぶりの高水準だった。これらは、物価上昇率の縮小や雇用環境の悪化を示唆する内容だった。

[レバノン/イスラエル] イスラエル北部のレバノン国境で、イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間で攻撃の応酬が激化している。ヒズボラは2023年10月8日以降、ガザのハマスを支援するためにイスラエル北部への攻撃を続けてきたが、6月12日には200発以上のロケット弾で、13日には150発のロケット弾と30機のドローンを使用して、過去8か月間で最大規模の攻撃をイスラエルに対して行った。その前日の11日に行われたイスラエル軍の空爆で、ヒズボラの幹部司令官が殺害されたことに対する報復とのこと。

[米国/G7] 6月13日、バイデン政権は、主要7か国(G7)首脳会議にて、ウクライナ支援のためにロシアの在外凍結資産を活用することで合意したと発表した。まずは米国がウクライナに対して500億ドルを貸し付ける形をとるが、ほかのG7各国も融資に加わる予定。その融資返済の原資には、ロシア中央銀行の在外凍結資産の運用益を充てる。6月15日に発表される首脳宣言に、具体的な合意内容が盛り込まれる。

[アルゼンチン] 6月12日、ミレイ大統領が成立を目指す包括的経済改革法案の採決が上院(定数72議席)の本会議で行われ、賛否が36票と同数になったが、上院議長を兼務するビヤルエル副大統領が賛成票を投じ、賛成多数で可決され、下院へ送付された。下院での本会議では可決が見込まれ、ミレイ氏にとり最初の立法上の成果となる。反対勢力は連邦議会周辺で激しい抗議デモを展開したが、インフレは前年比で年率300%に達しており、同国経済は危機に直面している。

[米国] 高収入でも豊かではない労働者層をHENRY(High Earners, Not Rich Yet)と表現することがあるという。いま米国では、6桁、つまり年収10万ドルの収入があっても、もはや裕福とは感じられない。住宅価格の高騰が大きな問題で賃金は上がっているが、希望に合った物件は予算を大きく超えてしまう。購入できても住宅ローン金利も上昇しており、住宅保有コストは高水準だ。さらに学生ローンの返済で支出を抑えることになるため、豊かさは遠のく。消費者向け金融サービス会社のBankrateが2023年に実施した調査によると、安定した生活には年23万3,000ドル、裕福だと感じるには48万3,000ドルの収入が必要と回答している。激しいインフレで金利が高止まりしているドルの価値は、間違っているのではないだろうか?

[日本/ウクライナ] イタリア南部プーリア州での主要7か国(G7)首脳会議に参加している岸田文雄首相は6月13日午後(日本時間同日夜)、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援策や協力分野を明確化した2国間協定「日・ウクライナ支援・協力アコード」に署名した。有効期間を10年間とする同協定には、復興・再建での協力も盛り込まれており、日本は2024年、45億ドル(約7,000億円)をウクライナに提供することになる。

[英国] 7月4日に予定されている解散総選挙を前に、英国の市場調査・データ分析会社であるYouGov社が6月13日に発表した世論調査によると、わずか1%のみだが極右のReform UKが与党保守党の支持率を上回る結果が発表された。自由民主党も支持を拡大する傾向にある一方で、労働党が支持を落とすなど、政局が混乱している。

[ドイツ/中国] ドイツのディルク・メスナー連邦環境庁長官は、ドイツが資金を提供する中国での環境保護活動プロジェクトにおける汚職の存在を認めた。輸送業界における法的な気候変動目標を達成するために石油会社が利用する上流排出削減(UER)プロジェクト60件のうち、2件が撤回、2件が中止され、ほかに36件のプロジェクトに深刻な疑念があり調査中だとしている。同プロジェクトは、予定を2年前倒して2024年末に運用が終了されることになった。これらの案件に関わった企業は、45億ユーロの損害を被る可能性がある。

[ミャンマー] 6月7日、軍政が10月1~15日に国勢調査を実施すると表明した。国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーが6月11日に伝えた。治安などの問題によっては、期間を延長する可能性も述べた。軍政は総選挙の前に有権者名簿作成のために国勢調査を行う方針であり、1月に、ミンアウンフライン国軍司令官は、2024年中に国勢調査を実施する考えを表明していた。

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