デイリー・アップデート

2024年12月3日 (火)

[ガーナ] 12月2日、国際通貨基金(IMF)理事会は、同国の財政支援向けとなる3.6億ドルの融資を承認した。IMFはガーナ当局による債務再編等のマクロ経済安定化に向けた取り組みを評価しつつ、12月7日の総選挙(大統領選、国会議員選)後も改革を継続すべきと強調した。インフレ率は依然として+20%台と高止まりしていることから、中銀は金融引締めサイクルを緩めず、11月29日に政策金利を+27.0%に据え置いた。大統領選についてはデフォルトや高インフレを招いた現政権への不満から最大野党・国民民主会議(NDC)党首のジョン・マハマ前大統領が勝利するとの見方が強い。しかし、仮に政権交代が行われたとしても、経済政策や外交方針などに大きな変更はないとみられる。

[米国/カナダ] 11月25日、トランプ次期大統領は、カナダとメキシコからの輸入製品に対して大統領就任1日目に一律25%の関税措置を課し、不法移民と違法薬物の米国への流入が停止するまで導入すると自らのSNS上に投稿した。11月29日、カナダのトルドー首相は急きょフロリダ州のトランプ氏邸宅を訪れ、夕食をしながら約3時間会談した。カナダ政府は今後、国境の安全強化策としてドローンや警察ヘリの追加導入等についてトランプ氏に説明した。

[フィリピン] 11月25日、米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは、同国の長期信用格付けの見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。これにより、現在「BBB+」で据え置かれている長期信用格付けが、24か月以内に「A-」に引き上げられる可能性がある。見通し引き上げの理由として、過去10年間にわたる効果的な政策立案を挙げた。さらに、財政改革やインフラ整備により、経済成長が堅調さを維持していることを評価した。また、外部要因として、外貨準備高の増加および外部債務の低さが、同国の信用力を強化していると分析している。

[ロシア/ウクライナ] ロシア保守派の大物実業家で大統領府とも深い関係を持つコンスタンチン・マロフェーエフ氏(50)は、トランプ次期米大統領が仲介するいかなるウクライナ停戦案も、ロシア政府は拒否する可能性が高いとインタビューで述べた。戦況についてロシアの優勢が見られ、ロシアにとって現時点の停戦は「何の得にもならない」と話し、トランプ氏と最終的に合意する可能性は「五分五分」だとも語った。

[フランス] 12月2日にバルニエ首相が、2025年社会保障予算案を巡って、国民議会の採決を経ずに強行採決するという憲法第49条3項手続きを適用した。反発した新人民戦線(左派連合)と国民連合(極右)は政府不信任決議案を提出することを発表した。12月4日にバルニエ政権の崩壊が予想されている。

[ミャンマー/タイ] 11月30日、タイ政府によると、タイとミャンマーの国境付近の海域で、タイの漁船がミャンマー軍の船から発砲を受け、漁船の乗組員1人が死亡した。ミャンマー軍は多数の漁船を拿捕(だほ)し、乗組員31人が拘束された。12月2日、ミャンマー軍政は同国領海でタイの漁船を拿捕(だほ)し、31人を拘束したと発表した。死傷者はいないとしている。

[米国] 感謝祭休暇が明けた米国では、上院、下院が順次審議を再開する。議会は、12月20日に失効するつなぎ予算(CR)の更新を行い、連邦政府閉鎖を回避する必要がある。また、通例に照らしてみれば、国防授権法案の年内可決が見込まれる。さらに、任期末を迎えたバイデン政権は連邦裁判所の裁判官指名も急ぐ意向と伝えられ、裁判官人事の承認は上院で行われる。限られた日程の中で、どこまで議会が議事を処理するのかが注目されている。

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