デイリー・アップデート

2025年4月25日 (金)

[お休みのお知らせ] 2025年4月28日(月)のデイリーアップデートはお休み致します。

[英国/EU] ブレグジット(Brexit)以来初めて、EUと英国が参加する首脳会議が5月に開催される。トランプ米政権が欧州の安保への関与を弱めるとみられていることが直接の要因となり、防衛協定を中心に協力体制などが協議されるとみられる。英国スターマー政権は、本音ではEUとの関係修復の先に貿易の円滑化を期待するが、EU側の心理的な抵抗もあり実現は困難とみられる。

[ウクライナ/南アフリカ(南ア)/米国] 4月24日、ゼレンスキ-大統領が初めて南アを公式訪問した。南アのラマポーザ大統領との共同記者会見でゼレンスキ-氏は、ロシアとの間で無条件の停戦に同意する用意があると言及した。同日、米・トランプ大統領とラマポーザ大統領は電話会談を実施。両者はロシアとウクライナの即時停戦の必要性に合意するとともに、実現に向けた直接会談を近く実施するもよう。ラマポーザ大統領は4月21日に、ロシアのプーチン大統領とも停戦交渉に関する電話会談を実施している。G20議長国の南アがウクライナ紛争においてどのような仲介の役割を果たせるのか注目が集まる。

[ドイツ] Ifo経済研究所によると、4月の企業景況感指数(2015年=100)は86.9となり、3月から0.2pt上昇した。市場予想(85.2)に反し大幅に上昇した。内訳を見ると、現況指数は86.4(+0.7pt)へ上昇した一方、期待指数は87.4(▲0.3pt)へと低下した。例えば、接客サービス業や、インフラ投資計画などから建設業の足元の景況感が改善した。ただし、製造業や貿易企業などが先行きへの懸念を募らせおり、Ifoは4月調査を「ドイツ企業は混乱に備えている」とまとめた。

[メキシコ] 4月前半のメキシコのインフレ率は前年同期比4.0%(3月は3.7%)に上昇した。これは、メキシコペソ安によりコア材のインフレ率が上昇した影響が考えられるが、為替レートの落ち着きや、賃金の伸びの鈍化もあり、今後は再びインフレ率は鈍化するとみられている。また、景気の減速感も強いことから、中銀は今後も金融緩和スタンスを維持し、5月にも50bpの利下げが予想されている。

[中国/米国] トランプ米政権が、関税問題について中国との協議が進んでいるとほのめかしていることに対し、中国外交部と商務部の報道官は、協議や交渉は行われていないと全面的に否定した。協議を行うためには、米中は平等かつ互恵的な立場でなければならないと重ねて主張した。他方で、まだ公式には確認されていないものの、中国は一部の米国産半導体に対する125%の関税を停止する内部通達を出したとの報道や、関税除外品リストを作成している最中だとのうわさが出ている。

[インド/パキスタン] 4月22日、ジャンムー・カシミール連邦直轄領の観光地パハルガムで武装集団が観光客らを銃撃し、外国人2人を含む26人が死亡した。パキスタンを拠点とするイスラム過激派「ラシュカレトイバ(LeT)」の分派組織「抵抗戦線(TRF)」が犯行声明を出した。カシミールでの大規模なテロ攻撃は2019年2月以来。23日、インド政府はインダス川の水資源管理を規定するインダス水利条約(IWT)の効力を停止すると発表し、パキスタンとの陸路の国境にあるパンジャブ州のアタリ検問所を閉鎖した。インド政府は2019年8月にジャンムー・カシミール州の自治権を廃止し、10月に同州をジャンムー・カシミールとラダックの2連邦直轄地に分割した。そのため、イスラム教徒の住民やパキスタンから反発が強まっていた。2024年9月、連邦直轄地になってから初めての議会選挙が行われ、BJPは多数議席を獲れなかったが善戦し、連邦直轄化が正当化される結果となった。2019年2月のインドとパキスタンの空爆の応酬以来、イスラム過激派による暴力行為は落ち着き、観光業が勢いを取り戻していた中で、今回の事件が起こった。インドの株式市場は影響を受けず、上昇を続けている。

[米国] 4月23日、ベッセント財務長官は国際金融協会にて講演し、国際通貨基金(IMF)、世界銀行は、設立当初の理念に立ち返り、本来の使命を果たすべきであると発言した。IMFに対しては、世界経済を歪曲する中国の諸政策の是正などを指摘するよう求め、世界銀行は途上国支援のため、化石エネルギーや原子力支援も行うべきと述べた。米国の安全保障パートナー国の方が、より互恵的な経済関係を築きやすいとの認識も明らかにした。また、ロシアの戦争能力を支えた国々は、今後、ウクライナ復興基金を用いた活動に参加できないとも発言した。

[ロシア/ウクライナ] 4月24日、ウクライナの首都キーウで、ロシア軍の弾道ミサイルなど70発のミサイルと145機のドローンによる攻撃があり、ゼレンスキー大統領によると、ウクライナ全土で9人以上が死亡し、80人以上が負傷したもよう。米国のトランプ大統領は同日、自身のSNSに「ウラジーミル、やめろ。ロシアによるキーウへ攻撃に不満を抱いている」と投稿し、和平合意の早期成立を呼びかけた。

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