デイリー・アップデート

2025年4月24日 (木)

[アルゼンチン/米国] 米財務長官は、アルゼンチンの経済回復が危うくなった場合に、特定のクレジットラインを提供する用意があると述べた。これにより、ミレイ政権の新たな後ろ盾ができ、同政権継続への確度を高めることになる。同時にペロン主義などのポピュリズムが再び台頭するという懸念を後退させ、アルゼンチン国家の成長への安心材料となっている。

[EU] EUの企業がロシア産LNGの新規契約への署名を禁じる法律を制定することや、既存のガス供給契約についても、罰則を受けることなく破棄出来るようにする方法を、欧州委員会が模索していると報じられている。しかし、代替手段の欠如を理由に、複数の国が反対しており、問題は先送りされる可能性もあり、見通しは不透明な状況となっている。

[原油/中国] 中国は国営石油会社を通じて積極投資を行い、2015年から数年続いた生産縮小を反転させた。近年は生産を着実に伸ばし、2025年3月の産油量は過去最高の1,903万トン(日量約450万バレル)と、世界第5位の座をイラクと争う。米国では政府が「掘りまくれ」と号令をかけても、民間企業は株主への責任もあり収益性を重視するが、中国国営企業は利益よりエネルギー安全保障を優先。まだ国内消費量には遠く及ばないが、EV・LNGトラック普及で需要が抑制される一方で生産を増やし、緩やかに自給率を高めている。

[米国] 4月23日、連邦準備理事会(FRB)は、「地区連銀経済報告(ベージュブック)」を公表した。経済活動は、前回報告からほとんど変わっていないと総括されたものの、関税政策を巡る不確実性の広がりが指摘された。また、経済活動が縮小した地区数は、前回の1地区から4地区に増加していた。企業は、関税引き上げによって原材料コストの上昇を予想しており、すでに価格引き上げの通知を受け取ったという報告もあった。そのようなコスト増の消費者への転嫁について、特に対個人サービスなど需要が弱い分野では難しく、マージンの圧縮も予想されている。

[米国] 出生率が低下している米国で関税措置は子育て費用がかさむ親にとって悩ましい問題でもある。ベビーカーだけでも軽く1,000ドルを超える(!)ことがあり、子どもが成長するにつれて必要となる新しい服、ミルクや食べ物、保育料の上昇もまだ見ぬ負担だ。自動車に設置する子ども用安全シートも同様だ。こうした多くの商品は輸入されており、そこに関税が加わることもあって、将来に負担が軽くなる兆しはない。政府から5,000ドルのベビーボーナスが、すべての出産した人に支給されるとも伝えられているが、物価全般があがっているところに、保険でカバーされていなければ出産費用が1万~1万5,000ドルとなると、その請求書の対応だけで精一杯。このままだと関税の影響でアメリカ社会での子育てはより困難となっていく。

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