デイリー・アップデート

2025年4月21日 (月)

[米国/欧州] 4月18日、ルビオ国務長官は訪問先のフランスにて、ロシア、ウクライナや欧州関係国に対して停戦合意に向けた枠組みを提示したことを明らかにした。同時に、停戦は実現しないと見定めれば、米国政府は仲介努力をやめることを示唆した。国務長官は、ルッテNATO事務総長や、ロシアのラブロフ外相との電話会談も行い、関係各国が、米国が提示した枠組みに賛同することを願うと述べた。

[米国/メキシコ] 政府はメキシコとのトマト輸入協定を終わらせるプロセスを開始すると発表した。この協定は、直近では2019年に署名されているが2025年7月に終了する予定で、その時点でメキシコ産トマト輸入の最低価格合意はなくなる。そのため、協定が切れる7月14日からは20.91%の関税が課せられことになると商務省は述べている。メキシコの輸出業者は米国国内のトマト価格が上昇する可能性が高いと警告している。小売り業者からレストランまで価格を引上げる中、トマトの少ない(または無い)サラダやサンドイッチを提供することになりそうだ。400社を超える企業が協定の維持を促す文書をすでに提出したという。

[日本] 4月の「月例経済報告」(内閣府)によると、景気の総括判断は「緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる」だった。3月の「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」から8か月ぶりに表現が変更された。米関税政策の影響が出る前の景気自体は、緩やかな回復で据え置かれた。この判断が、米国の関税政策の影響などを考える出発点となり、ここから米国の関税政策と他国・地域の報復措置によってどれだけ下振れを見込むかということになる。

[コロンビア] コロンビア政府は、コロンビア革命軍(FARC)の派閥のひとつFARC-EPとの停戦を先週一時停止すると発表した。停戦は2023年12月から実施されており、これまでも何度か延長されてきた。今回、停戦の期限までに延長合意が間に合わなかったが、政府側としては、今後も和平路線を続けるとみられる。ゲリラとの和平成立と治安の改善は、ペトロ大統領の重要な公約の一つだが、最近はむしろ治安の悪化がみられている。

[米国/アフリカ] 4月20日、米ニューヨークタイムズ紙は、独自に入手した大統領令の素案において、米国務省アフリカ局や、アフリカ6か国を含む在米の10の大使館と17の総領事館の廃止が盛り込まれていると報じた。マルコ・ルビオ国務長官は自身のSNS上で、この報道を「フェイクニュース」と一蹴している。対象となるアフリカの国は中央アフリカ共和国、エリトリア、ガンビア、レソト、コンゴ共和国、南スーダン。同草案には、アフリカをはじめHIV/AIDS対策プログラムを主導してきた「米グローバルエイズ調整官室」の廃止も含まれていると報じられている。

[ロシア/ウクライナ] プーチン大統領は4月20日の復活祭(イースター)に合わせ、モスクワ時間の19日午後6時から21日午前0時までの30時間、ウクライナ侵攻地域ですべての軍事行動を停止すると一方的に発表した。だが、ウクライナもロシアも停戦違反を報告しており、復活祭停戦は事実上十分に機能していない。一方、ロシア・ウクライナ両政府は4月19日、アラブ首長国連邦(UAE)が仲介し、合計で500人を超える規模の両国間捕虜交換を行ったことを明らかにした。

[中国/韓国/米国] 中国の『環球時報』紙が、米韓関係に関する論評を掲載し、その中でトランプ政権は韓国を最も弱い(交渉)相手として認識しており、さらに韓国大統領が不在のこの時期をチャンスとみて、今週行われる米韓関税調整交渉において「より多くの利益を搾取しようとする」と記述している。中国は米中関係の悪化を受けて周辺国との関係安定化を進めている最中であり、韓国で政権交代が起これば、中国にとってより望ましい環境になると捉えているが、米韓がこのタイミングで安全保障や貿易の問題で(中国が歓迎しない)合意をしないか懸念しているとみられる。

[インド] 4月15日、インドの2024/2025年度(2024年4月~2025年3月)の新車販売台数は525万8,519台(前年度比+1.4%)だったとインド自動車工業会(SIAM)が発表した。4年連続のプラス成長だったが、伸びは前年度(同+6.9%)から大きく鈍化した。中国と米国に次ぐ世界3位を3年連続で維持した。メーカー別ではマルチ・スズキがシェア41%で首位を維持した。生産台数は609万3,809台(同+2.1%)、輸出台数は85万1,350台(同+15.4%)だった。

[米国/イラン] 4月19日、イタリアのローマにあるオマーン大使公邸で、米・イラン両政府代表団による第2回核協議が行われた(第1回は4月12日にオマーンで開催)。今回も米政府代表団はウィトコフ中東特使が、イラン側はアラグチ外相が代表団を率い、協議の仲介も引き続きオマーンのバドル外相が実施した。4時間にわたる協議の後、アラグチ外相は協議が前向きであったとコメントした。次回は4月23日に技術面に関する専門家会合が、4月26日には、第3回米・イラン協議が再度オマーンで開催される予定。

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