デイリー・アップデート

2025年1月8日 (水)

[ベトナム] 政府は、半導体産業などの投資優遇策を打ち出した。2024年12月31日付けの政令182に基づき、半導体およびAIの研究開発(R&D)プロジェクトを行う企業は、条件を満たせば初期投資コストの最大50%の支援を受けられる。支援対象となるには、税金や予算関連の未払いがないこと、R&D投資プロジェクトがイノベーションエコシステムに好影響を与え、ベトナムの画期的な技術や製品の開発に貢献することが求められる。

[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、2024年12月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.4%となった。上昇率は9月(+1.7%)にECB目標の2%を下回ったものの、それ以降3か月連続で拡大した。内訳をみると、サービス価格が+4.0%とここ数か月4%前後で高止まりしている。また、8月から低下していたエネルギー価格が+0.1%とプラスに転じたことも、物価上昇率の拡大につながった。2024年末にかけての物価上昇率の再拡大は予想されていたため、想定通りと言える。今後、2%に向けてどのようなペースで縮小するかが注目される。

[米国/スーダン/UAE] 1月7日、ブリンケン国務長官は、スーダンで内戦を繰り広げている「準軍事組織(RSF)」が、スーダン国民に対して組織的なジェノサイドを行ったと認定した。これにより、RSFトップのダガロ指令官のほか、RSFに武器を調達したとしてアラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置くRSF所有の7社が、米国の経済制裁の対象となった。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、2023年4月に勃発したRSFとスーダン国軍(SAF)との軍事衝突により、これまで約15万人が死亡し、2,500万人が深刻な飢餓に直面している。ブリンケン国務長官は、「今回のRSF向けの経済制裁は、米国としてSAFへの支持を示すものではない。米国はどちら側も支持していない」との姿勢を強調した。

[米国] 卵の価格が、2024年12月に史上最高値の5.81ドルに達し、その後も上昇が続いている。農務省が1月3日に公表した卵市場週間報告によると、米国最大の生産地の一つである中西部を含む米国の多くの地域で卵の価格が上昇している。ニューヨークでは、卸売価格が1ダースあたり6.06ドル(957円)になっている。卵価格上昇の原因は主に鳥インフルエンザで、産卵鶏に甚大な被害が生じたことで供給量が大幅に減少している。さらに、厳しい寒波を控えていくつかの州で緊急事態が宣言されており、消費者が買いだめに走っている影響も大きいとの指摘もある。

[インドネシア] 1月6日、2025年のBRICS議長国であるブラジルの外務省が、インドネシアはBRICSに正式に加盟したと発表した。ASEANでは初めての加盟国となる。同外務省によればBRICS加盟国は11か国となった。ジョコ前政権はBRICS加盟に慎重な姿勢を示していたが、2024年10月に就任したプラボウォ政権は方針を転換し、同月のBRICS首脳会議で加盟意向を表明していた。ASEANでは、2024年6月にタイ、7月にマレーシアが加盟を申請している。

[シリア] 1月7日、シリアのダマスカス国際空港に、約13年ぶりにカタール航空便が到着した。2024年12月のアサド政権失脚以来、国際商業便が同空港に到着するのは初めて。カタール航空は、2011年のシリア内戦開始以降就航を停止していたが、ドーハーダマスカス便の週3便の運航を開始する。カタール政府は、シリアの空港施設の修復への支援も発表している。シリア航空は、同日UAEへの飛行便の就航を開始。隣国ヨルダンのロイヤル・ヨルダン航空も、ダマスカス便の就航再開に向けて試験飛行を行った。

[カナダ] 1月6日、トルドー首相は、辞任する意向を明らかにした。トルドー氏はカナダ連邦議会の審議再開を3月24日まで先延ばしし、その間、自由党が後任の党首を選出し次第、辞任する意向である。トルドー政権のインフレ対策や住宅価格高騰に有権者の不満が高まり、与党内からも公然と退陣要求が増大する中、退陣に追い込まれた。カナダでは10月までに総選挙が行われるが、野党第1党の保守党の政権奪還が確実視されている。

[ベラルーシ] ロシアの同盟国ベラルーシでは、1月26日に大統領選が実施される予定であり、現在6期目で強権支配を続けるルカシェンコ大統領(70)が7選を目指して出馬する。同国では昨年(2024年)、日本人の拘束事件が2件あったが、1月10日に、7月に「スパイ容疑」で拘束された日本人男性の初公判が行われる予定であり、最長で7年の禁錮刑になる可能性がある。

[オーストリア] 2024年9月末の総選挙で極右政党の自由党が第1党に躍進した中、これまで中道右派の国民党、中道左派の社会民主党、リベラルのNeosによる連立交渉が行われてきた。しかし、1月3日にNeosが協議決裂と交渉からの離脱を発表し、1月4日にネーハマー首相が辞任の意向を発表。1月6日にファンデアベレン大統領が、自由党のキクル党首に組閣協議を要請した。

[中国] 1月7日、国家発展改革委員会は「全国統一大市場の建設に関するガイドライン(試行)」を発表し、地方政府による財源獲得を目的とした”罰金”徴収や、行政または刑事手段を用いての経済紛争への違法な介入、「遠洋漁業」(地域外の企業に対する不当な法執行)による企業の権益侵害などを厳しく取り締まる姿勢を示した。また、国務院も同日、企業に対する行政検査の規範化に関する「意見」を発表した。2024年ごろから、財政難に苦しむ地方政府の企業に対する不当な取り立てが急増し、企業活動を圧迫していることが問題視されるようになっている。

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