デイリー・アップデート

2022年12月5日 (月)

[インド/豪州] 11月30日、インド政府はオーストラリアとの暫定的な自由貿易協定(FTA)となる「インド・オーストラリア経済協力・貿易協定(AI-ECTA)」が12月29日に発効すると発表した。オーストラリアからの対インド輸出関税が完全に撤廃される一方、インドからの対豪輸出では輸出額の9割超相当で関税が免除される。報道によると、インド国内で100万人の雇用が創出されたり、インド人のヨガ講師や料理人がオーストラリアのビザの年間割当枠を取得できるようになるという。

[米国] 米労働省によると、11月の非農業部門雇用者数は前月から26.3万人増加した。娯楽・接客業や教育・ヘルスケアなどの部門で雇用者数が増えた一方で、小売や輸送・倉庫業では雇用者数が減少した。失業率は3.7%となり、前月比で横ばいとなった。3月以降、3.5~3.7%で推移しており、安定している。平均時給は前年同月比5.1%上昇となった。前月比は+0.6%であり、前月の+0.5%から小幅加速した。これらを踏まえると、雇用環境は底堅く推移しているといえる。

[中国] 12月3日、国際金融フォーラム(IFF)2022年世界年次総会で、スタンダード・チャータード銀行の中国・北アジア地区チーフエコノミストの丁爽氏は、ゼロコロナ政策規制緩和後の見通しなどについて、以下趣旨のコメントをした。◇今後の規制緩和は、多少の揺り戻しがあっても、緩和の方向性には歯止めがかからない ◇当面、より重要なのは次の規制緩和に向けた条件整備であり、高齢者へのブースター接種は必須 ◇オミクロン株の毒性が低いことを大衆に認知させる世論誘導が必要 ◇2023年末には規制のほとんどが撤廃され、同年下半期の消費を顕著にけん引する見込み。

[韓国] 全国民主労働組合総連盟(民主労総)の公共運輸労組貨物連帯本部が11月24日に開始したストによる物流への影響が回復しておらず、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12月4日の閣僚会議で、トラック運転手らへの業務開始命令を発動できるように指示を出した。政府は11月29日に、セメント業界の運送従事者に対し業務開始命令を出した。ストの影響で、全国で売り切れのガソリンスタンドが出るなどの影響が見られる。

[米国] 米国内では、中国製品を通じた中国政府による技術盗用やスパイ活動に対する警戒が強まっている。2022年10月にバイデン政権は、半導体の対中輸出規制の強化を発表し、11月には米連邦通信委員会(FCC)がファーウェイ等の中国IT企業5社の通信機器・サービス等の米国への輸入、米国内での販売を禁止している。12月2日、ミシガン大学公共政策大学のイベントにレイFBI長官が出席し、動画共有アプリTikTokが米国の国家安全保障上にもたらしている懸念を表明した。

[ロシア] 12月4日、ロシアのノバク副首相は、主要7か国(G7)などが12月5日からロシア産原油への上限価格を発動することに対して、「上限価格を設定する国には原油を輸出しない」と述べた。上限価格の設定は「非市場的で非効率であり、世界貿易機関(WTO)のルールなど自由貿易の規範に反する市場への介入」と強調し、減産も辞さない構えを見せた。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。