デイリー・アップデート

2022年12月15日 (木)

[ペルー] 12月14日、政府は、カスティージョ前大統領罷免を受けて抗議デモが各地で拡大する中、30日間の非常事態を宣言した。国内で長く続いていた政治的緊張が加速したかたちであり、デモにはカスティージョ氏を支持する声や、新たな総選挙と議会の解散を求める声もある。このような事態を受け、次期大統領選は来年に早まる可能性も出てきた。

[アジア太平洋] 12月14日、アジア開発銀行(ADB)は、アジア・太平洋地域の開発途上国の経済見通しを下方修正し、2022年が+4.2%、2023年が+4.6%とした。前回9月時点の見通しでは、2022年は+4.3%、2023年は+4.9%だった。世界各地での金融引き締めや、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中国での新型コロナウイルス感染症拡大が景気回復の足かせとなっている。中国の経済見通しは、2022年が+3.0%(前回+3.3%)、2023年は+4.3%(同+4.5%)に引き下げられた。

[米国] FRBは12月14日にFOMCの結果を発表、政策金利(FF金利)の誘導目標レンジを0.5%引き上げて4.25~4.5%にすることを決定した。3月以降の累計で4.25%分の利上げとなった。前回までの0.75%から利上げ幅は縮小した。また、FOMC参加者の見通しでは、政策金利は2023年末に少なくとも5.1%まで引き上げる。前回9月時点の4.6%から上方修正された。また、2023年末に実質GDP成長率は0.5%と停滞する一方で、失業率は4.6%と、2022年から上昇する見通し。

[中国] 12月15日、『人民日報』は、過去3年間の新型コロナウイルスに対する政策を成功体験として振り返り、現在の緩和政策は「戦略的な決意と勝利への確固たる自信」によるもので、更なる人民の成功に至る道だと強調する長文(原文で約12,000字)の論評を掲載した。「この3年間、予防・制御を行いながら、ウイルスの毒性が低下するのを待っていた」として、現在の緩和策は予定されていたことだったという書き方をしている。また、習近平総書記に「人民の領袖(りょうしゅう)」という呼称を用い、その指導力を称賛する内容となっている。

[米国] ルビオ上院議員らは米国内でも人気の動画投稿アプリTikTokについて、利用者のデータが中国政府に入手され、スパイ活動に流用されるとの懸念を示していた中、12月13日に超党派の議員グループらと米国内でのTikTokの利用を禁止する「反社会的中国共産党法案」を提出した。ルビオ上院議員らは、中国国内法ではTikTokの親会社のByteDanceが中国政府に対して利用者のデータ提供を義務付けられており、中国共産党の管理下にあるアプリの排除を訴えている。

[ロシア/中国] ロシア有力紙「ベドモスチ」は外交筋の話として、プーチン大統領と中国の習近平国家主席が12月下旬に会談すると報じた。大統領府関係者によると、対面ではなく「オンライン形式になる」という。ロシアが侵攻したウクライナ情勢などを話し合うもようである。

[中国] 共産党中央と国務院は、「内需拡大戦略計画綱要(2022-2035年)」を公布し、各地方の関係部門に対し実情に沿った真摯な実行を求めた。各紙が12月14日に報じている。文書は2万字を超える大作。計画の目標として、内需規模の画期的拡大実現、分配構造の改善による格差の縮小、供給の質的向上・需要のより良い充足、市場システムの改善によるさらなる内需喚起などを定めている。施策は、モノ・サービスの消費からオンライン消費、シェアリングエコノミーやグリーン・低炭素消費、製造業への投資支援強化、各種情報インフラの弱点の整備、都市化や地域間の協調的発展など、広範囲にわたって触れられている。

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