デイリー・アップデート

2022年12月13日 (火)

[米国/イラン/ロシア] 米国務省は、ロシア軍が強化している、ウクライナ国内のエネルギー関連施設を標的とした攻撃で使用しているイラン製無人機(ドローン)のロシアへの移転に関与した3つのロシアの団体に対し、制裁を発動した。12月9日の記者会見で、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、ドローンの対ロシア供与という関係を超えて、ロシアとイランが本格的な防衛協力を拡大しつつあると警戒感を示した。

[米国] NY連銀の『消費者期待調査』によると、11月の1年先の期待インフレ率(中央値)は+5.2%となり、10月の+5.9%から低下した。6月の+6.8%をピークに低下傾向が続いている。ただし、2021年4月までは2~3%台を推移していたため、まだ高い伸び率といえる。ただし、3年先は+3.0%、5年先は+2.3%とともに前回から▲0.1ptと低下しており、3年先については物価が高騰する前の2~3%台に戻っている。これらより、消費者の物価見通しが落ち着きつつある様子がうかがえる。

[南アフリカ] 国営電力会社エスコムは、老朽化した石炭火力発電所のメンテナンスの継続と補助発電所のディーゼル燃料確保の問題から、計画停電のステージを8段階中の6まで再び引き上げると発表した。ラマポーザ大統領の汚職疑惑に関わる騒動はいったん落ち着いたが、不安定な状況は変わっておらず、債務処理計画の遅れなどが懸念されている。

[中国] 12月9日、習近平国家主席は、中国-GCC協力委員会サミットにおける基調演説の中で、今後3~5年で中国とGCC諸国がエネルギーの協力における新たな枠組みを構築し、中国国内の上海石油天然ガス取引センターのプラットフォームを十分に活用して人民元建ての石油・天然ガスの貿易取引を展開すると述べた。12月12日付の「財新網」が報じた。この報道では、GCC諸国側の反応については一切伝えておらず、国内研究機関などが示した中国とアラブ諸国との経済構造上の強い補完性や、人民元決済推進に伴う双方のメリットなどへの言及にとどまっている。

[インド/中国] 12月13日、複数のメディアが、インド国防当局関係者の話として、12月9日にアルナーチャル・プラデーシュ州のタワン地区で、中印の軍が衝突し、約20人のインド人兵士と「それより多くの」中国人兵士が軽傷を負ったと報じた。その後、事態の鎮静化のため司令官レベルの会議が行われたとしている。タワンには1683年にダライ・ラマ6世が誕生したタワン僧院があり、ダライ・ラマの後継者問題が浮上するにつれ、同地域の係争が中国にとってより高い優先順位になる可能性があると指摘する声がある。

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