デイリー・アップデート

2023年8月8日 (火)

[英国/中国] 英銀行HSBC幹部のジェラート・カウパー=コールズ氏が、6月にロンドンで開催されたイベントで、「中国との取引を減らせという米国の要求に屈した英国政府は弱腰だ」と発言したことに対し、イアン・ダンカン・スミス議員やティム・ロートン議員、アリシア・カーンズ議員らから批判が起こり、同氏はHSBC広報とともに謝罪した。HSBCは、かつてHuaweiの孟晩舟副会長の拘束に関して中国から批判を受けていたこともある一方、今年6月には、英国議会の外交特別委員会と米下院の中国特別委員会からも中国寄りだとして批判を受けていた。欧米と中国の双方から板挟みになりやすい立場となっている。

[台湾] 8月7日、半導体を中心とした成長産業を対象に法人税を優遇する台湾版CHIPS法が施行された。この法案は、産業創新条例の改正案で、先端技術研究費の25%(従来は15%)に相当する金額を法人税から控除するなど優遇の拡大が盛り込まれている。台湾経済部は、「台湾の企業が前向きで革新的なプロジェクトに従事することを奨励するための税制優遇措置であるが、台湾域内に投資する外国企業にも適用する」と説明しており、蘭ASMLや米Micron Technologyなどが台湾での新規投資を表明している。

[日本/イラン] 8月7日、イランのアブドラヒアン外相が就任後初めて日本を訪問し、林外相との会談や岸田首相への表敬訪問などを実施し、核合意を巡る状況やロシアのウクライナ侵略に関する意見交換などを行った。ロシアがウクライナ侵略で使用している攻撃型無人機をイランが供与しているとされる問題に関して、アブドラヒアン外相は改めてこれを否定した。また、イランの核開発拡大に対する日本側の懸念に対しては、交渉を通じた核合意の復活を望むと答えた。双方は今後も二国間対話を続ける方針で一致した。

[ブラジル] 8月3日、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は、2023年7月のブラジル国内のアマゾン熱帯雨林での森林伐採は、前年同月比▲66%もの大幅な減少となり、過去6年間でも最低水準となったとの暫定統計を公表した。ボルソナロ前政権ではアマゾン熱帯雨林の先住民居住地域での金などの鉱物開発により森林伐採が横行し、国際社会からも批判を受けていたが、この統計により、アマゾン熱帯雨林の保護を公約に掲げて2023年1月に始動したルーラ政権の具体的成果が明示された。

[日本] 厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、6月の名目賃金(現金給与総額)は前年比+2.3%となり、5月(+2.9%)に続いて2%超の伸びになった。基本給(所定内給与)は+1.4%、残業代(所定外給与)は+2.3%、ボーナス等(特別に支払われた給与)は+3.5%と増加した。一方で、消費者物価指数(除く持家の帰属家賃)が+3.9%と上昇したこともあって、実質賃金は▲1.6%と、15か月連続マイナスになっており、実質購買力が失われている。

[ロシア/欧州] 欧州の大手企業はロシア事業撤退・縮小で、少なくとも1,000億ユーロ(約15.6兆円)の直接的な損失に見舞われたと英FT紙が報じている。欧州企業600社の年次報告書や2023年の決算報告書を調査したところ、176社がロシア事業の売却や閉鎖および縮小をしており、損失には、資産の減損・損失、為替関連の損失、その他の一時費用が計上されていることが分かった。

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