デイリー・アップデート

2023年8月31日 (木)

[タイ] 2023年上半期(1~6月)の電気・電子産業は堅調に推移し、生産額、輸出額、国内消費額のすべてが前年同期比でプラスとなった。電気・電子産業は、国内総生産(GDP)の20%近くを占める主力産業となる。生産量が輸出量の100%近くを占める集積回路(IC)が、前年同期比+2.2%の47億ドル、ICの付加価値ベース鉱工業生産指数(MPI)も113~122の間で高止まりしており、好調さが特に目立った。自動車の電動化やIOT機器向けの需要拡大が背景にある。

[日本] 経済産業省によると、7月の鉱工業生産指数は前月比▲2.0%となり、2か月ぶりに低下した。15業種中、輸送用機械など5業種が上昇、生産用機械など10業種で低下した。基調判断は「一進一退」と下方修正された。また、7月の小売業販売額は前月比+2.1%と2か月ぶりに増加した。基調判断は「上昇傾向にある」とされた。生産と小売の方向の相違が目立った。

[中国] 日本とオランダによる対中半導体輸出規制の実施を控えた2023年6月から7月にかけて、中国の半導体製造装置の輸入額が急増し、過去最高を記録した。中国への先端半導体製造装置の輸出規制は、米国が先駆けて2022年10月から実施しており、それに続いて、日本は7月23日から実施、オランダも9月1日から実施する予定となっている。中国税関総署のデータによると、2023年6~7月の半導体設備の輸入額は計50億ドルとなり、前年同期の29億ドルに対し+72%となった。

[米国/中国] 8月30日、レモンド商務長官は4日間の訪中予定をこなし、帰国の途に就いた。中国訪問中、商務長官は首相、副首相、商務部長、文化観光部長、上海市党委書記等との会談を実施。一貫して米中対話チャンネルを確保することの重要性、在中国米企業に対する公正な扱い、法・規制の透明性ある適用などを中国側に訴えた。また、気候変動対策、麻薬性鎮痛薬の規制など、利害が一致する分野で米中協力を進めることも働きかけた。6月から国務長官、財務長官、そして今回の商務長官と、バイデン政権閣僚による訪中が相次いだが、一連の外交努力が習近平国家主席の11月の訪米につながるか否かが注目される。

[ロシア] ロシア連邦統計局によると、7月の失業率は過去最低の3.0%を記録した。ウクライナ侵攻に伴う西側制裁で落ち込んだ経済が持ち直す中、労働市場のひっ迫が浮き彫りになった。企業は従業員を確保するために給料を引き上げざるをえない状況となっている一方、経済制裁等の影響で労働生産性が上がらないため、国内における物価高とインフレが加速する恐れがある。

[中国] 8月29日、華為技術(ファーウェイ)が予告なしに新型スマートフォン「Mate 60 Pro」の販売を発表し、同製品の5G半導体テクノロジー搭載の可能性について話題になっている。ファーウェイ側は、CPUや5Gへの接続可否について明らかにしていない。ファーウェイの半導体設計部門であるハイシリコンが開発したKirin9000シリーズのプロセッサーを中芯国際集成電路製造(SMIC)が製造したとみられており、米国から先進的な半導体やソフトウェアが入手できなくなった後、自社の先端半導体設計ツールを利用して、国内で5G半導体を調達することが可能になったかと憶測を呼んでいる。

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