デイリー・アップデート

2023年8月17日 (木)

[日本] 財務省『貿易統計』によると、7月の貿易収支は▲787億円と2か月ぶりの赤字になった。輸出額は8兆7,250億円、前年同月比▲0.3%と29か月ぶりに減少した。輸出では、自動車(+28.2%)が増加したものの、半導体等製造装置(▲26.6%)や半導体等電子部品(▲14.8%)などが減少した。一方、輸入額は8兆8,037億円で、4か月連続減少となる▲13.5%だった。輸入では、石炭(▲44.8%)や原粗油(▲29.7%)、液化天然ガス(▲42.3%)の減少が目立った。

[ケニア] 政府は、原油価格の上昇から消費者を守るため、8月から9月にかけて燃料価格を安定させるため燃料補助金を一部復活させると発表した。IMFの勧告に従い、政府は2022年後半から燃料補助金の段階的な廃止を開始し、2023年5月までに完全に廃止していた。国民の不満の高まりや、それを政治的に利用とする野党の動きが、今回の復活に影響したとみられる。

[リビア] 8月14日夜、首都トリポリにおいて2つの異なる民兵勢力の衝突が発生し、55人が死亡、146人が負傷した。2つの民兵勢力は特別抑止部隊(SDF)と444部隊で、双方ともトリポリを中心とする国民統一政府(GNU)を支持する勢力。今回の騒動は、SDFが444部隊のハムザ司令官をトリポリの空港で拘束したことがきっかけ。拘束の理由は明確にはされていない。ドゥベイバGNU首相や別の民兵勢力の仲介で、8月15日夜にはハムザ司令官が解放され、双方が停戦に合意した。リビア情勢は依然不安定な状態が続いている。

[米/イラン] 米国政府とイラン政府は、両国間の緊張緩和やイランの核開発進展を抑制させる目的で、中東のカタールとオマーンで間接協議を断続的に継続している。先般、両国はそれぞれが拘束している捕虜を交換することで合意に達した。西側政府とイラン政府の関係者らは、この間接協議では、米国がイランに対して、ウクライナ戦争で使用されているロシア向けのイラン製攻撃用無人機(ドローン)の供与を停止するためのさらなる具体的措置を講じるよう要求したことも明らかになっている。

[フィリピン] 8月10日に統計庁(PSA)が発表した2023年第2四半期(4~6月期)の実質国内総生産(GDP)成長率(速報値)は、前年同期比+4.3%だった。物価高で個人消費の勢いが弱まり、伸びは3四半期連続で鈍化した。2023年第1四半期は同+6.4%だった。前期比(季節調整済み)では▲0.9%となっており、前期の同+1.0%からマイナスに転じた。内訳をみると、消費支出が前期比で▲1.0%となり、特に衣料品やレストランへの支出が減少した。高金利と輸出の低調さが引き続き経済への足かせとなるとみられる。

[ロシア] ロシアの通貨ルーブルが、8月14日の取引で1ドル=100ルーブル台に下落した。これを受け、ロシア中央銀行は8月15日に緊急会合を開催し、主要政策金利を3.5%ポイント引き上げ12%とした。これを受け、8月16日の取引では、対ドルで2.34%高の94.81ルーブル、対ユーロで2.89%高の102.95ルーブルと、それぞれ上昇した。ただ、緊急利上げはルーブル相場の下落を遅らせているにすぎないとの見方が出ており、厳格な資本規制の再導入の必要性が高まっている。

[中国/米国] 8月16日、米インテル社は、イスラエルの半導体企業タワー・セミコンダクターの買収を断念すると発表した。契約期限内に、中国規制当局からの承認を得られなかったため。インテル社は2022年2月、ファンドリー事業強化のためにタワーの買収を発表したが、中国の独占禁止法は、中国で活動している企業が合併する場合、2社の売上が1億1,700万ドルを超えると、国家市場監督管理総局の承認が必要と定めている。米国の対中技術規制への報復として、2023年5月、中国は米マイクロン社の製品調達を禁止したが、今回の買収阻止も、自国の独占禁止法を通じた報復とみられている。

[中国] 8月16日、国家統計局は、7月の住宅価格の変動状況について、価格が下落した都市の数が過去最多の水準と同レベルになったと発表した。2023年第1四半期は、ゼロコロナ政策と春節休暇により滞っていた需要が喚起され、販売が回復した。しかしながら第2四半期に入り回復の勢いが頭打ちとなり、以降は販売が減少し住宅価格は下落を続けている。7月に新築分譲住宅と中古住宅の価格が前月比で下落した都市数の割合は、それぞれ70%と90%に達した。この状況は過去最も低迷していた2021年と同水準になっている。

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