2024年2月1日 (木)
[サブサハラ] IMFは1月30日に発表した「世界経済見通し」において、サブサハラの2024年の実質GDP成長率を3.8%と予測した。世界全体の成長率3.1%を上回るものの、新興国市場全体の4.1%を下回る。また、IMFはサブサハラの2024年の成長率を2023年10月時点の予測から0.2ポイント引き下げた。この理由についてIMFは、域内2位の経済規模を有する南アフリカ共和国の運輸・物流部門の制約が域内の経済活動に負の影響を与えているとした。IMFは同国の2024年の成長率を2023年10月時点の予測から0.8ポイント下方修正し、1.0%に留まると予測している。
[イスラエル/パレスチナ] バイデン政権がガザ戦争の出口戦略の一環としてパレスチナ国家を承認する可能性について考え始めている、と米メディアAxiosが報じた。イスラエルのネタニヤフ首相は以前から二国家解決案には反対しており、米政府もこれまでパレスチナ国家を承認することには反対してきた。また、ガザでの一時停戦とハマスが捕えている人質の解放を巡る交渉も進んでいる。1月28日に米、イスラエル、カタール、エジプト政府の代表者がまとめた一時停戦案について、今週ハマスの政治局長がエジプトを訪問し内容を検討する。
[米国/EU] 1月30日、米EU貿易・技術評議会(TTC)の第5回閣僚会合がワシントンで開催された。TTCは気候変動対策、先端技術ガバナンス、経済安全保障など広範な課題について、米EU間で政策協議を行うための枠組みで、2021年に立ち上げられている。新たな政策合意の発表は無かったが、AI技術に関するルール構築や次世代ネットワーク構築などについて協議を進めたと米商務省が発表。シンクタンクにて講演を行ったレモンド米商務長官は、米EU間でAIルール策定を進めること、中国を巡り米EU間で協働することの重要性に言及し、中国製EVの対欧州輸出に対する懸念も表明した。
[フィリピン] 1月31日に統計庁(PSA)が発表した2023年の実質国内総生産(GDP)成長率は、+5.6%だった。コロナ禍からの正常化に伴い、46年ぶりの高成長を記録した前年の+7.6%からは鈍化した。海外での出稼ぎ労働者からの送金は増加したものの、物価高の影響で個人消費が伸び悩み、政府支出も減少したことが背景にある。また、2023年10~12月期の実質GDP成長率は、前年同期比+5.6%と、7~9月期の+6.0%から鈍化した。政府は、2024年の実質GDP成長率を2023年12月の6.5~8.0%から下方修正し、6.5~7.5%になる見通しを示している。
[米国] 連邦準備理事会(FRB)は31日まで連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利(FF金利)の誘導目標レンジを5.25~5.5%に据え置くことを決定した。据え置きは4会合連続。声明文には、「物価上昇率が持続的に2%に向かっている確信がさらに強くなるまで、利下げが適切とは考えない」と明記された。パウエルFRB議長も記者会見で、3月利下げが基本シナリオではないという認識を明らかにした。
[中国] 1月31日、Huawei(華為技術)とJAC(江淮汽車)が共同開発した最初のモデルは、販売価格が100万元(20百万円)クラスの高級セダンで、本年第4四半期に発売されることが明らかになった。安徽省の新エネルギー車スマート産業パーク内で、次世代ハイエンドスマートEVとして製造される。2022年2月、Huaweiは新戦略を打ち出し、「複数の自動車メーカーと提携し、Huaweiが主導する『ブランド連合』のエコシステムを作り上げる」と発表しており、重慶小康工業集団(中堅商用車メーカー)、Chery(奇瑞汽車)に続く3社目のパートナーとの共同開発案件となった。
[中国] 1月31日、中国共産党中央政治局会議が開催された。「新時代の中国の特色ある社会主義に関する習近平の思想の全党教育」や「(同上)全党教育の成果の集約と拡大に対する意見」、「中国共産党巡視工作条例」などが議論されたと発表されたが、注目されていた「三中全会」に関する言及はなかった。2月は春節の連休があり、3月には両会(政治協商会議と全人代)が開催されるため、3中全会は4月以降に延期される可能性が出てきた。
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