デイリー・アップデート

2024年2月16日 (金)

[原油] 主要3機関(OPEC、IEA、EIA)の2月月報が出揃った。1月は北米産油地域を襲った大寒波による生産停止とOPEC+の減産強化で、需要低迷下でも需給は引き締まった。地政学的緊張も価格上昇に寄与。1月から自主減産を表明したOPEC+加盟国のうち、イラクとカザフスタンは生産枠に対し過剰生産。2024年の世界需要は、OPECは3年連続で前年比日量200万バレルを超える増加を見込む一方、IEAは伸び幅が前年比半減と予想。

[ロシア/ウクライナ] ロシア軍はウクライナ東部・ドネツク州アウディイウカ村の制圧を急いでおり、同地のウクライナ軍の主要な補給路を遮断したもよう。米ワシントンポスト紙(電子版)は、ウクライナ軍の兵員の一部がアウディイウカから撤退を開始したと報じた。2月15日、米国防総省のジョン・カービー報道官も、アヴディイウカが近々、ロシアの支配下に陥る可能性があると強調した。

[中国/台湾] 2月14日に台湾の金門島の周辺海域で、不審な漁船が台湾海巡署(海上保安庁に相当)に追跡され転覆し、乗船していた中国人2人が死亡、2人が拘束された件について、中国政府は、台湾当局の取り締まりに問題があったと非難した。台湾海洋委員会の管碧玲主任委員はこれに対し、「(台湾側は)悪質な取り締まりはしていない」と反論した。中国側がこの件について台湾への圧力を強めすぎると、台湾野党も中国に批判的な立場を取らざるを得なくなる可能性もある。今のところ大きな反応は示していない中国の今後の動向が注目される。

[韓国/日本] 2月15日、サムスン電子が、日本のAI企業であるPreferred Networks(PFN)と最先端半導体2nmプロセスの受託生産契約を締結したことが明らかになった。PFNは、2014年設立の深層学習やロボティクスなどの研究開発を行う企業で、トヨタ、NTTなど計10社の企業から出資を受けている。一方、サムスン電子は、先端半導体の開発において台湾TSMCに後れを取る傾向があったものの、GAAと呼ばれる新構造を適用した3nmプロセスを、2022年6月に世界に先駆けて量産し、これらの技術の蓄積により2nmプロセスの量産化においても優位に立つ目標を掲げている。

[インド/UAE] 2月13日、インドとアラブ首長国連邦(UAE)は、中東を経由してインドと欧州を海上・鉄道で結ぶ貿易回廊に関する協定に調印した。この合意は、インドのモディ首相がUAEを訪問し、ムハンマド大統領と会談した際に発表された。2023年9月にニューデリーで開催されたG20サミットに合わせて発表されたこの貿易回廊構想は、インドからアラビア海、UAE、サウジアラビアを超え、ヨルダン、イスラエルを経由して欧州に至る回廊計画となっている。また両国は、ドバイで「バーラトマート」を立ち上げることにも合意した。「バーラトマート」は、中国の「ドラゴンマート」と同様の機能を持つとされ、インドの中小企業や輸出業者がドバイで取引を行ったり、湾岸国で製品を展示したりするための統一プラットフォームとして機能する施設となる予定である。

[ユーロ圏] 欧州委員会が発表した冬季経済見通しによると、2024年のユーロ圏の経済成長率は前年比+0.8%となり、前回11月時点の+1.2%から下方修正された。2023年(+0.5%)から加速するも、力強さは見られない。2025年は+1.5%と、前回から▲0.1ptの小幅下方修正。2024年の消費者物価指数(HICP)は前年比+2.7%と、2023年から上昇率が半減、2025年には+2.2%と2%目標に近づく見通しになっている。

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