2024年2月15日 (木)
[セネガル/米国] 2月13日、ブリンケン米国務長官は、セネガルのマッキー・サル大統領と電話会談を行い、セネガル大統領選挙の延期に伴う同国内の政治状況に対して「深刻な懸念」を伝えた。またブリンケン氏は、セネガルの憲法に従い選挙スケジュールを元に戻すよう促した。2月25日に予定されていた同選挙は、野党議員・支持者らの反発を受けて、セネガル議会により12月15日への延期を決定したが、国内ではその後もデモ隊と治安部隊との衝突が続いている。国際人権団体・ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2月9~10日に発生したデモで少なくとも3人が死亡し、271人が逮捕されたと発表している。
[米国/欧州] 2月14日からブリンケン国務長官は、アルバニアとドイツを訪問する。2022年に米・アルバニア外交関係100周年を迎えたことを受け、さらなる二国間関係強化、西バルカン情勢などについて協議し、ドイツでは民間主催の国際会議、ミュンヘン安全保障会議にハリス副大統領とともに出席する。国務省によれば、ブリンケン氏はミュンヘンで、ウクライナ支援、中東情勢、台湾海峡、国際協力の重要性などについて提起する予定。また、トランプ前大統領のNATO関連発言を巡る欧州側の反発を受け、同氏は改めて米欧同盟の重要性を強調するとみられる。
[ブラジル] 2月8日、ブラジル連邦警察は、2023年ブラジル大統領選挙結果を無効にするため画策していたとしてボルソナロ前大統領や右派政党・自由党(PL)幹部ら側近に対して家宅捜索を行った。ボルソナロ氏は、民主主義を守るためとして、同氏支持者らに対して2月25日に街頭デモに参加するよう訴えている中、同氏が逮捕されれば懲役刑が下される可能性が浮上している。同氏支持の右派勢力は政治的魔女狩りであるとして反発しており、政治分裂が深まることは確実である。
[宇宙開発/環境保護] Googleは、環境防衛基金(EDF)と提携し、宇宙からメタン発生を追跡する計画を発表した。EDFは3月、二酸化炭素よりも約80倍の影響があるとされる強力な温室効果ガスであるメタンの排出を追跡する衛星MethaneSATを打ち上げる予定で、Googleは既存のマップ作成技術とAIを活用した汚染源の確定に向け、新たな地図を作成する。同技術がメタンの効率的な抑制につながれば、より短期間で温暖化を抑える効果を得られることが期待される。なお、データはMethaneSATのWebサイトやGoogle Earth Engineを通じて、研究者や政策立案者に公開される予定。
[日本] 内閣府によると、2023年第4四半期の実質GDP成長率は前期比▲0.1%だった。第3四半期(同▲0.8%)に続いて、2四半期連続のマイナスになった。内訳をみると、外需(寄与度+0.2pt)が下振れた内需(同▲0.3pt)の影響を穴埋めできなかった。個人消費は前期比▲0.2%、企業設備投資は同▲0.1%といずれも3四半期連続マイナスになった。物価高騰に伴う実質購買力の低下が個人消費の重石になり、資材高や人手不足が企業設備投資の進捗を遅らせる要因になったようだ。
[LNG] Shellが「Shell LNG Outlook 2024」を公表した。同見通しによると、2023年のLNG世界貿易量は4億0,400万トンと、前年比700万トン増加。価格・ボラティリティは2021-22年よりは安定したが、以前の水準と比べると高止まり。2040年の世界需要は前年予測から若干下方修正したが、なお6億2,500~8,500万トンと5割以上の増加を予想。中国の産業の脱炭素化や南アジア・東南アジアでの需要伸長を見込む。また欧州のエネルギー安保でも重要な役割を担うと予測している。供給増の中心となる米国の政策などにリスク。
[ロシア/エクアドル] 2月に入り、ロシア政府は南米のエクアドル産バナナに害虫が検出されたとして、同品の輸出を扱う一部のエクアドル企業からの輸入停止を決定した。1月、エクアドルのノボア大統領が、同国が保有する旧ソ連時代の兵器を米国経由でウクライナに供与すると決めたことが契機となり、ロシアは、このエクアドルからウクライナへの間接的な武器の供与に憤慨し、今回、報復措置を取ったものとみられる。
[中国/韓国/日本] 韓国の二次電池を主体とする調査会社であるSNEリサーチによると、2023年、中国CATL(寧徳時代)の動力電池車両搭載量は259.7GWhに達し、世界シェアは36.8%、前年比+0.6ptで首位をキープした。新エネルギー車1台あたりの標準的な搭載電力量は50kWhであり、CATLの電池は約520万台の新エネルギー車に搭載されたことになる。世界シェア第2位(15.8%)はBYD(比亜迪)で、111.4GWh、前年2位の韓国LG Energy Solutionは95.8GWh、世界シェア13.6%で3位に陥落した。日本企業では、パナソニックが44.9GWh、世界シェア6.4%で4位にランクインした。
[インドネシア] 2月14日、大統領選が実施され、民間調査機関の開票速報によれば、プラボウォ・スビアント国防相が57~59%の票を獲得した。選挙管理委員会の最終集計は3月20日までに公表される予定だが、プラボウォ氏は5割以上の支持を獲得し、6月26日の決選投票を待たずに当選する可能性が高い。次期大統領は10月20日に就任する。プラボウォ氏はジョコ大統領の路線の継承を掲げている。
[トルコ/エジプト] 2月14日、トルコのエルドアン大統領が12年ぶりにエジプトを訪問し、エジプトのシシ大統領と会談を実施した。2013年にシシ大統領(当時国防相)がクーデターを起こして退陣させたムルシー前大統領と関係が深かったエルドアン大統領が、同クーデターに反発して以降、両国の外交関係は悪化していた。2021~2022年頃から両国関係には改善がみられていたが、今回のエルドアン氏の訪問により、大きな転機を迎えた。両氏は、貿易、観光、防衛関連の合意文書に署名し、ともにガザでの即時停戦を訴えた。
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