デイリー・アップデート

2024年2月29日 (木)

[バングラデシュ] 2月22日、繊維産業のオーナーと労働者からの代表が参加する公式機関である最低賃金委員会は、未熟練労働者の最低月給を平均65%引き上げることを政府に提案した。現行の最低月給(5,990~7,170タカ(55~64米ドル))は、2018年に見直されたもので、それ以降変更されていなかった。提案のとおり決定されれば、賃金上昇により繊維商品の価格を上げざるをえなくなることに加え、外需の弱さと紅海における地政学的緊張による物流の混乱で輸出が抑制されることが予想される。しかし、政府は、財政への負担がかからないこの提案を受け入れ、繊維労働者の賃金の引き上げを支持するとみられる。

[日本] 経済産業省によると、1月の鉱工業生産指数は前月比▲7.5%と、2か月ぶりに減少した。全15業種中、14業種が減産した。特に自動車は同▲17.8%と大幅に減少した。一部メーカーで認証試験の不正などから、工場生産が停止した影響が大きかった。生産の基調判断は「一進一退ながら弱含み」へ下方修正された。製造工場生産予測調査によると、生産は2月に同+4.8%、3月に同+2.0%と持ち直すものの、1月の減産分を回復させるには時間がかかりそうだ。

[ザンビア] 2月25日、ハカインデ・ヒチレマ大統領は国営放送(ZNBC)を通じて、中国とインド政府が公的債務の返済スケジュールの繰り延べに合意した旨を発表した。詳細は明らかになっていない。2020年に債務不履行に陥った同国は、中国、インド、パリクラブらで構成される「G20共通枠組み」の下で債務再編の調整を続け、2023年10月に約63億ドルの公的債務の再編に関し基本合意に至っていたが、強制力を持たせるには個別二国間での署名が必要だった。ヒチレマ大統領は、2023年11月に公的債権者団体の反対により暗礁に乗り上げた約30億ドルの民間債務の再編成に関する交渉も直にまとまる見込みと述べた。

[EU/中国] 2月28日、EUは、サプライチェーンで強制労働が行われていないか、環境破壊を引き起こしていないかをチェックすることを大企業に義務付ける新しい規則(人権・環境デューディリジェンス義務化指令案、CSDDD)についての合意の形成に失敗した。13の加盟国が棄権し、1か国が反対票を投じて、欧州議会での最終投票に先立ち必要なEU15か国の支持が得られなかった。EU理事会と欧州議会は昨年(2023年)末には暫定的な政治合意に達したと発表したが、今年に入って2回目の支持取り付けも不調に終わり、実現が疑問視されるようになっている。

[イラン] 3月1日、イランで議会選挙と専門家会議選挙が実施される。議会の議員の任期は4年間で、290の議席に対して15,200人(うち、女性は1,713人)が立候補している。ただ、護憲評議会による事前審査で、改革派や穏健派の立候補者の多くが候補から落とされてしまったため、国民の選挙に対する関心は低く、今回の投票率も前回2020年の選挙時に記録した42.6%という低い投票率と同程度になると予想されている。専門家会議は、最高指導者の任免権を持つ88人の宗教家から成る会議で、今回の選挙には144人が立候補しているが、ロウハニ前大統領は事前の資格審査で落とされた。

[米国] 2月28日、2007年から上院共和党指導部を率いてきたマコネル共和党上院院内総務(ケンタッキー州選出)は、今年11月に同ポストから身を引くことを明らかにした。米国史上最長となる上院院内総務在任期間を誇ってきたが、2025年1月に召集される第119議会第1会期では新たな共和党上院議員が同党の上院院内総務に就任することになる。マコネル氏はトランプ前大統領と対立しており、上院院内総務退任の決断は同党にも多大な影響を及ぼすことは必至である。

[ロシア] 流出したとされるロシア軍の機密文書によると、ロシアは世界大国との紛争の初期段階で戦術核兵器の使用を訓練していたことが分かった。中国による侵攻に備えた訓練シナリオも含んでおり、実際、ロシアの戦術核兵器使用の基準(敷居)はロシア当局が公式に述べている内容よりも低く設定されているということも分かった。

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