2024年2月14日 (水)
[米国] 労働省によると、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.1%となり、上昇率は2023年12月の+3.4%から縮小した。食品は+2.6%と上昇した一方で、エネルギーは▲4.6%と下落した。食品・エネルギーを除く財は▲0.3%だった一方で、エネルギーを除くサービスは+5.4%と上昇し、+6.0%の住居費を含めたサービス主導の物価上昇になっている。市場では5月の利下げ観測が後退し、6月以降という見方が広がった。
[ナイジェリア] 2月9日、国際通貨基金(IMF)理事会は融資後評価(PFA)の結果、ナイジェリアのIMFへの返済能力は十分にあると発表した。IMFによるナイジェリア向けの融資残高は、2023年末時点で約24億ドルで、2025年に完済が必要となっている。特にIMFは、2023年に就任したボラ・ティヌブ大統領による燃料補助金の撤廃と、外国為替レート統一の改革を高く評価した。他方で、これらの改革の結果、国内ではインフレ率が上昇し、通貨ナイラ安の進行が続いているため、ナイジェリア中銀による金融引き締めの継続を促した。
[米国] 2月10日、トランプ前大統領は南部サウスカロライナ州での政治集会で、NATO加盟国が適切な防衛費の負担を行わない場合、同氏が大統領在任中、米国はそれらの国の防衛はしない方針を加盟国元首に伝えた上で、ロシアが望むままに攻撃することを促すような発言があったことを明らかにした。バイデン政権や欧州のNATO加盟国の首脳からは、トランプ氏に対する非難が相次いでいる中、米統合参謀本部のブラウン議長も、創設75周年となるNATO同盟の重要性を改めて指摘した。
[インド] 農民の抗議デモに対しインドの地元警察が催涙弾を使用し、抗議デモ参加者の身柄を拘束したことが大きく報じられている。ハリヤナ州北部とパンジャブ州で行進を始めた農民は、すべての農作物に最低支援価格の保証、所得倍増とローン減免などを求めている。政府は、解決策を模索するために委員会を設置し、会合を開催したものの進展はなく、合意を得られることはなかった。2月9日、農民や一部労組は、全国規模のストライキ実施を発表した。総選挙を控えたこの時期の、影響力の強い農民による「デリー・チャロ」と呼ばれる行進の行方は、インド人民党にとって政策運営において大きな課題となりそうだ。
[米国] 2月13日、懸案となっていた対外支援法案が上院を通過した。賛成70票、反対29票で、野党である共和党からも22名が賛成票を投じ、超党派の支持を得ての可決となった。対外支援予算は総額953億ドルで、うち600億ドルがウクライナ支援に充てられ、そのほかにイスラエル支援141億ドル、インド太平洋地域の安保強化に20億ドルを割く内容となっている。今後、審議の場が下院に移るが、下院多数党の共和党が、ウクライナ支援に反対するトランプ前大統領の意向を汲み、法案に反対するとみられており、共和党内の動きが注視される。
[ロシア/中国/トルコ] 2024年に入り、ロシア企業とトルコ、中国の金融機関の間での問題が表面化している。中国の国有銀行は1月から、ロシア顧客の資金調達に対する制限を強化し、中国の浙江稠州商業銀行(Chouzhou Commercial Bank)は2月、ロシアおよびベラルーシのすべての組織との関係を停止すると顧客に通知した。一方、トルコではロシア企業の口座が閉鎖する動きが起きており、2024年初に、ロシア企業は、両国間での決済停止に直面したまま、現在も口座が凍結された状況が続いている。
[中国] 2024年1月の国内乗用車販売台数は203.5万台で前月比▲13.9%、新エネルギー車(NEV)は66.8万台で同▲29.5%、EVは37.6万台で同▲37.2%と、全体的に大きく落ち込んだ。ただし、レンジエクステンダー(発電用エンジン)付EVとプラグインハイブリッド車(PHV)は比較的好調であった。PHVのNEV全体に占める割合は43.5%となり、2023年通年での33.5%に対し増加した。業界内では、PHVを含むハイブリッド車(HV)を見直す動きもあり、「今後EVの成長率は大幅に鈍化し、中国市場は今後2~3年で、HV:40%、EV:30%、ガソリン車:30%の比率になるだろう」との見方がある。
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