2024年2月22日 (木)
[南アフリカ共和国] 南ア鉱業は、不安定な商品価格、インフラ老朽化、電力不足などにより脆弱性が増している。GDPに占める鉱業の寄与度は10年前の8.3%から6.2%に低下、納税額も急減。鉄道輸送のボトルネックで鉄鉱石増産も困難。2023年来の白金族価格の暴落を受けて、鉱山会社は人員削減や投資縮小を進めており、5月29日に予定される総選挙・地方選挙を前に逆風となる。予算前提となる2024-26年の商品価格はプラチナ・パラジウム・石炭は下落、鉄鉱石は2025年以降下落、金は上昇を想定している。
[南アフリカ共和国] 2月21日、イノック・ゴンドワナ財務相は、2024/2025年度(2024年4月~2025年3月)予算案を発表した。厳しいマクロ経済環境や電力不足の継続等を受け、同会計年度の歳入見込みは2兆366億ランド(約16兆891億円)、歳出見込みは2兆3,690億ランド(約18兆8,809億円)で、GDP比4.5%の財政赤字となるとした。2024/2025年度の公的債務はGDP比で74.1%に悪化するが、中銀の緊急準備金1,500億ランド(約1兆1,955億円)を取り崩して対外債務返済に充てると発表。これにより一時ドル安ランド高が進んだ。なお、5年に一度の国民総選挙の実施は5月29日と発表された。
[中国] 2月20日、中国人民銀行は、信用需要を刺激し不動産市場を活性化させるため、最優遇貸出金利(LPR)の5年物を4.20%から3.95%とし、25bp引き下げた。2019年の貸出金利のメカニズム見直し以降で、最大の引き下げ措置となった。新たな5年物LPRは引き下げ後の金利で直ちに発効するが、その影響を受ける住宅ローン金利の見直しは年単位で行われる。一方、1年物LPRは3.45%で据え置かれた。
[米国] 連邦準備理事会(FRB)は2月21日、1月31日~2月1日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を以下のとおり発表した。①FOMC参加者は、政策金利が引き締めサイクルのピークに達した可能性が高く、利下げは物価上昇の目標2%に向けた鈍化に大きな確信を持つ必要があるということに同意した。②大半の参加者が早すぎる利下げのリスクを指摘した。③多くの参加者が、量的引き締めについて、次回3月会合で詳細な議論を始めることが適切と判断していた。
[米国] 2月21日、バイデン政権は、国内港湾施設のサイバーセキュリティ強化に向けた施策を発表した。米沿岸警備隊に対してサイバーセキュリティに係る権限を付与し、沿岸警備隊は港湾施設、船舶に求めるサイバーセキュリティ基準案を発表した。今後5年間で、200億ドルを投じて港湾インフラ改修を進める予定で、また港湾ガントリークレーンに関するサイバーセキュリティ確保に向けた調査活動を開始していることも明らかにした。中国製クレーンの使用が増えている中、国産化を促す狙いがあるとみられる。
[米国/ロシア] ロシアがウクライナに本格的に侵攻を開始してから2月24日で2年が経過する中、2月20日、バイデン大統領は、2月23日に対ロシア追加制裁措置を発表することを明らかにした。サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、ロシアの軍需産業やウクライナ侵攻の財源となっている資金源が、追加制裁措置の対象になるとの見解を示した。2月16日、ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が収監中の刑務所で死亡したことを受け、西側諸国は追加制裁措置を発動している。
[米国/欧州] 出生率低下は北東アジア固有の問題から世界的な課題へと拡大しつつある。平均的な米国人女性の出産は1.6人と、人口を安定させるために必要とされる2.1人を大幅に下回っている。イタリアでも出生数の低下が続いており、現在5,900万人の人口は、2070年には4,800万人に激減すると見込まれる。スペインの女性一人当たりの出産数は1.19人と、10年間で25%減少しており、出産年齢もまた高齢化している。解決策として移民受入れが唱えられているが、経済向けの対症療法で、少子化対策の本質を見失う恐れも。
[ロシア/アフリカ] ロシア国防省が民間軍事会社ワグネルに替わる「アフリカ部隊」を創設し、アフリカでの権益維持に乗り出している。リビアやアフリカにおけるワグネルの拠点や権益がロシア軍、参謀本部報総局(GRU)の管理下に移され、ロシアは引き続き、アフリカでの影響力を拡大し、米欧の排除を進める狙いがあるとみられる。
[イスラエル/パレスチナ] 2月20日、国連安全保障理事会において、非常任理事国のアルジェリアが、アラブ諸国の支持を受けて、ガザにおける人道的即時停戦を求める決議案を採決にかけたが、米国が拒否権を行使し否決された。日本を含む13か国が同決議案に賛成し、英国は棄権した。米国連大使は、現在米国がカタールやエジプトと進めている仲介交渉の妨げになるとして拒否権を行使したが、カタールとエジプトは同決議案を支持している。米国は対案として、「即時」ではなく「実行可能な限り速やかに」一時停戦を求める別の決議案を安保理に提出している。
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