デイリー・アップデート

2024年2月26日 (月)

[欧州中央銀行(ECB)] 2月22日、ECBは、理事会(1月25日)の議事要旨を発表した。それによると、理事会で利下げについて討議することは時期尚早という幅広いコンセンサスがあった。また、早期に利下げを実施することは、利下げが遅れることよりもリスクがあるとの議論がされた。また、ディスインフレのプロセスが依然として脆弱であり、早期に利下げすることでこれまでの進展を台無しにしかねないため、全体としての継続性、慎重さ、忍耐が依然として必要とされることも参加者から示されていた。

[天然ガス] 2月25日、カタール国営Qatar Energyは、North Fieldガス田の西方で新たに大規模なガス埋蔵を確認し、新たなLNG拡張プロジェクト「North Field West」(年産1,600万トン)を進めていると発表した。これによりカタールのLNG生産能力は2030年時点で年1億4,200万トンと現行比+85%となる。また同日、サウジアラビアは国営サウジアラムコのJafurahガス田で新たなガス・コンデンセートが確認されたとして、確認埋蔵量を更新。非在来型ガス開発としては世界有数の規模となる可能性がある。

[ニジェール] 2月24日、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は臨時首脳会議を開催し、加盟国で、軍事政権下にあるニジェールに課していた制裁の一部解除を決定した。この制裁にはナイジェリアをはじめとするほかの加盟国との間の国境の閉鎖や金融取引の停止、またニジェール向けの電力供給の停止が含まれていた。ECOWASはクーデターにより軍事政権が続くニジェール、マリ、ブルキナファソの国民の社会経済状況や人道的問題に懸念を示すとともに、1月28日に同3か国が宣言したECOWASからの即時脱退について再考するよう求めた。

[米国] 2月24日に共和党大統領候補指名獲得争いの「序盤州」の1つである南部サウスカロライナ州の共和党予備選挙で、トランプ前大統領がヘイリー元国連大使に対して得票率で20ポイントの大差をつけて勝利し、アイオワ州党員集会から5連勝となった。今後の焦点は、2月27日のミシガン州予備選挙と、3月5日の「スーパーチューズデー」(合計15州が一斉に予備選挙等を実施)となる。ヘイリー氏は「スーパーチューズデー」までは選挙戦を継続する意向を表明している。

[中国] 2月23日、李強首相が主宰する国務院(中央政府)常務会議が開催され、2024年の重点経済政策として外資企業の誘致を強化する方針が示された。市場参入の拡大や公平な競争環境の整備などを進める方針。中国国家外貨管理局が公表した2023年の国際収支統計によれば、外資企業による直接投資は前年比▲82%の330億ドルと、30年ぶりの低水準となったため、政策面で強化を図るとみられる。地政学的リスクの高まりや改正反スパイ法の施行により、新規投資の落ち込み、撤退、事業縮小が相次いでいた。

[イスラエル/パレスチナ] イスラエルと、ガザを実効支配するハマスとの間の停戦および人質解放に関する交渉が続いている。2月23日からフランス・パリで、イスラエル、米国、エジプト、カタールの4者協議が行われた。2月25日からはカタール・ドーハで協議が継続しており、ハマス代表団との意見調整も行われる。その後エジプト・カイロでさらなる詳細がまとめられる予定。3月10日頃に始まるラマダン(イスラム教の断食月)までの停戦開始を目標としている。なお、2月27日~28日にカタールのタミーム首長がフランスを初めて公式訪問し、マクロン仏大統領と同問題について協議を行う予定。

[米国] 米連邦政府の暫定予算が3月1日、8日と、順次期限を迎える予定となっており、連邦議会は政府閉鎖を避けるべく、調整を重ねている。バイデン大統領は、2月27日に上下両院の指導部をホワイトハウスに招き、2024年度予算とウクライナ等に対する対外支援予算について協議する予定。上院では2月13日に953億ドル規模の対外支援予算法案を承認したが、下院を通過する見通しは立っていない。下院共和党の右派は、人工妊娠中絶や移民に係る自党の政策実現や連邦省庁予算の一律削減を求めており、妥協が成立しなければ、3月1日からは一部省庁が閉鎖に追い込まれる。

[ウクライナ/ロシア] 2月25日、ゼレンスキー大統領は、ロシアによる軍事侵攻が3年目に入ったのに合わせて記者会見を開き、ロシア軍が2024年5月にも大規模な攻撃を仕掛ける準備を進めているなどとした上で、「戦争がどのように終わるかは、本年にかかっている。転換の年だ」と述べた。また、2年間の全面軍事侵攻の結果、「3万1千人の兵士が殺された」と語り、ウクライナ兵の死者数を初めて公表した。

[米国/中国] BGI(華大基因)グループやMGI Tech社、コンプリート・ゲノミクス社、Wuxi APP(無錫薬明康徳)など、中国のバイオテクノロジー企業に対して米国人の遺伝子情報の提供を制限したり、連邦政府機関が対象企業と契約を結ぶことを禁止したりする法案が1月末に提出されたが、2月23日、マイク・ギャラガー米下院議員は、法案の成立について「比較的楽観的に考えている」と述べ、特にBGIとWuxi APPの活動について懸念していると述べた。これらの企業は、ファイザー、アストラゼネカ、グラクソ・スミスクラインなど欧米の製薬企業とも提携実績がある。

[中国] 広州汽車集団の曽慶洪董事長は、「自動車分野の『CASE』の研究開発において人材不足に直面している」と指摘し、「2025年までにこの分野で100万人以上が不足する」と予測している。工業情報化部が発表した「製造業人材発展計画ガイドライン」においても、2025年までに自動車業界ハイレベル分野における人材不足が103万人に達すると見込まれる。一方、2022年、華南理工大学がスマート自動車工学など3つの自動車関連の学科を新規開設、2023年、全国高等専門学校1,545校のうち、新エネルギー車関連学科を新規開設した学校は716校に達した。

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