デイリー・アップデート

2024年2月19日 (月)

[モザンビーク/フランス/イタリア] 2月12日、独立系メディア・ジタマールは、モザンビーク北部のカーボ・デルガド州において20数人の国軍兵士が反政府勢力により殺害されたと報じた。同州では、複数の液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトが存在しているが、2021年から治安の悪化を受けて、仏トタル・エナジーズらが進める陸上のエリア1鉱区開発は開発停止が続いている。他方で、南部アフリカ開発共同体(SADC)軍やルワンダ国軍の派兵により治安は回復傾向にある。イタリア・エネルギー大手ENIらがコンソーシアムを組む洋上のエリア4鉱区では、浮体式LNG生産施設(FLNG)からの輸出が2022年に開始されていた。

[マレーシア] 2月16日、中央銀行は2023年の実質国内総生産(GDP)成長率が+3.7%だったと発表した。前年の+8.7%から減速し、政府の目標である+4%および統計局が1月に発表した暫定値の+3.8%を下回った。中銀は、外部環境(主に世界貿易の鈍化、グローバルな技術産業の循環サイクルにおける鈍化期間、地政学的緊張、金融引き締めなど)の厳しさの中で成長が減速したが、新型コロナウイルス感染症の流行に対応した景気刺激策の終了後も、経済活動と労働環境の回復が内需を支えたと指摘した。第4四半期は前年同期比+3.0%と、第3四半期の+3.3%から減速した。

[日本] 内閣府「機械受注統計」によると、2023年12月の民需(除く船舶・電力)の受注額は前月比+2.7%と、2か月ぶりに増加した。非製造業(除く船舶・電力)が▲2.2%と2か月連続で減少した一方で、製造業が+10.1%と2か月ぶりに反発した影響が大きかった。また、10~12月の民需(除く船舶・電力)の受注額は前期比▲1.0%と、3四半期連続のマイナスだった。2023年度の設備投資計画は高めの数字だったものの、2024年上半期にかけて人手不足などから設備投資が計画通りに進まない状況が続きそうだ。

[米国] 米国天然ガス先物(期近)は1.55ドル/mmbtuと2024年初来38%安。2020年のパンデミック直後の一時期を除くと1995年以来の安値水準。米国は温暖化とエルニーニョの影響で記録的暖冬となり、暖房需要は低調。LNG輸出も設備容量の制約と生産障害で2023年末のピークを下回る。ガス掘削リグ数は横ばいだが、生産性向上・原油の随伴生産でガス生産は高水準。在庫は暖房シーズン終了時点でも平年を大きく上回る見通し。投機筋は既に大幅な売り越しだが、価格安定には需給改善が必要。

[米国] 多くのテック企業を取り巻く業界では、効率化を目的とした人員削減が行われてきたが変質しつつある。採用に苦労した経験則から積極雇用が目立っていたテック企業では、人員削減に重きを置く状況が常態化しつつあるが、このような経営方針の変化により株価は上昇し、配当も増加。株式保有する従業員にとっては利益にはなる一方、企業の提供する無料ランチ・ドリンクの質の低下、急なプロジェクト中止、人員削減優先の経営方針により、業績好調でも突然の解雇が心配である、といった不満や不安も従業員から漏れ伝わっている。ZIRP(Zero Interest Rate Phenomenon)は、このように変質した職場を表す略語となっている。Wondering what happened to the free lunches and merch in Big Tech? ZIRP.""

[米国/欧州] 2月16日、ドイツ・ミュンヘンにて国際会議に参加していたハリス米副大統領は、米国による国際関与の重要性を説く演説を行った。ウクライナ支援をめぐる法案審議が米国内で滞り、米国の国際的指導力に対する国際社会からの疑念の存在を認識するも、国際協力は米国自身の国力の源泉の一つであり、バイデン政権の方針は揺るがないと説明した。ハリス氏は、ゼレンスキー大統領とも会談し、ウクライナ支援をめぐり、米国内では超党派多数の支持があると伝えた。バイデン大統領の高齢問題が従来以上に取り沙汰される中で、同氏の動静についての関心が高まっている。

[米国] 2月13日、米議会上院は、600億ドル規模の対ウクライナ追加軍事支援を含む対外支援法案を賛成70票、反対29票の圧倒的賛成多数で可決し、共和党上院議員22人も賛成票を投じた。他方、下院共和党のジョンソン下院議長は、下院での対ウクライナ追加軍事支援予算可決のための条件として、国境の安全確保のためのより厳格な措置を求めるとの立場から、下院での審議を拒否。下院は現在、3月4日までの長期休会に入っている中、拒否継続の行方について下院共和党への圧力が強まりつつある。

[ロシア] 2月16日、ロシアの反対制派指導者ナワルヌイ氏(47)が収監先の刑務所で死亡したと、ロシア当局が発表した。同氏の死因について当局は「突然死症候群」だと発表した。ナワリヌイ氏を追悼する動きはロシア各地で2月17日~18日にかけて続いた。人権団体「OVDインフォ」によると、献花などをした400人以上が当局に拘束されたもよう。

[中国] JETROのレポートによると、中国におけるグリーン水素を用いた新しいエネルギーシステムが注目されている。中国の水素供給量に対するグリーン水素の比率は、2030年までに15%、2060年までに75%に達する見込み。2022年3月に国家発展改革委員会が発表した「水素エネルギー産業発展中長期規画(2021~2035)」をはじめとして、グリーン水素の製造と利活用を推奨し、脱炭素を見据えた政策を次々と打ち出している。外資導入も奨励され、日本、ドイツ、米国などが「水素ガスの調合、貯蔵、輸送」、「燃料電池自動車」などの分野に進出している。

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