デイリー・アップデート

2024年2月13日 (火)

[日本] 日本銀行の「企業物価指数」によると、1月の国内企業物価指数は前年比+0.2%となり、2023年12月と同じだった。3か月連続で1%を下回っており、川上からの物価上昇圧力は弱まっているといえる。輸入物価指数は、円ベースで同▲0.2%、契約通貨べースで同▲8.8%となり、2023年4月以降、10か月連続のマイナスだった。ただし、マイナス幅は2023年後半の2桁減に比べると、足元にかけて縮小している。

[ケニア] 2月6~9日にかけて、ケニアのウィリアム・ルト大統領が日本を公式訪問した。大統領就任後、初の訪日となった。滞在中に日本貿易振興機構(ジェトロ)で行われたビジネス・フォーラムでルト大統領は、総発電量の約9割を占める再生可能エネルギーのほか、農業、製造業などへの日本企業による投資を呼びかけた。また、同フォーラムでケニア財務省と日本貿易保険(NEXI)は、サムライ債を含む協力促進について覚書を締結した。同国の公的債務はGDP比で7割を超えており、対外債務の返済にあたり国際通貨基金(IMF)からの支援を受けている。

[中国] 2月8日の国家統計局の発表によると、1月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)は、ともに前年同月比でマイナスが続いた。1月のCPIは前年同月比で▲0.8%を記録し、前月の▲0.3%から下落幅が拡大し、4か月連続のマイナスとなった。リーマンショックの影響があった2009年9月以来で最も大きな下落幅となっている。2023年は1月だった春節連休(旧正月)の時期が、2024年は2月へと移動したことが、下落率の拡大に影響したともみられる。1月のPPIは前年同月比▲2.5%と、前月の▲2.7%から下落幅が若干縮小したものの、16か月連続のマイナスであった。

[米国] 米国税関・国境警備局によると、米国は、記録的な不法移民と遭遇したもよう。遭遇は移民数ではなく、当局が関与した逮捕・追放数を指す。2023年10月~12月の遭遇数は、98.8万件と前年同期の86.5万件を大幅に上回る。中南米からの移民が話題になる中で、カリフォルニア州のインド系人口が増加し、同不法移民との遭遇数増加が、全体の遭遇数急増の原因となっているとの指摘がある。一方、メキシコ人はカナダにビザなしで入国可能で、従ってカナダから米国への不法越境問題にも直面しており、カナダ当局がビザ要件付与の導入を検討中とも伝えてられている。不法移民により州・連邦財政の負担が増え、政策の失敗も指摘されており、同問題は、米大統領選・議会選の大きなテーマとなる見通し。

[米国/中国/ガボン共和国] 2月10日、WSJ紙は、2023年8月に中央アフリカのガボン共和国のボンゴ大統領(当時)が訪米した際、ホワイトハウス高官に、中国の習近平国家主席に対し、中国海軍の同国への駐留を秘密裡に約束したことを認めたと報じている。米国では、中国軍が大西洋への足掛かりを求めてアフリカ沿岸国に働きかけているという懸念が従来から存在していた。米国は、中国は赤道ギニアにも海軍基地を設置する働きかけを行っているとみており、ギニア政府は否定しているものの、今後この要求を受け入れる可能性について懸念している。

[米国/中国] 2月8日、米下院の中国特別委員会が、米国のベンチャーキャピタル各社の対中投資について報告書をまとめ、これまで30億ドル以上の投資が、中国のAIや半導体技術育成に振り向けられてきていると指摘した。米国発の資金やノウハウが、中国の技術力向上に寄与し、それら先端技術が中国人民解放軍の軍事能力強化のみならず、市民監視、人権侵害の手段として用いられていると問題視した。同委員会は、人民解放軍、人権侵害に係る企業・組織関係にとどまらず、関連技術分野自体に対する投資規制を提言した。

[米国] 米国議会の今会期(118議会)、下院に設置された下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー下院議員(共和党・ウィスコンシン州第8区選出)は、2024年11月に改選期を迎えるが、2月10日、同氏は今期限りで下院議員を辞任する意向を明らかにした。ギャラガー下院議員は下院共和党の対中強硬派の急先鋒であり、また、共和党の伝統的既成勢力からは、将来共和党を背負っていく政治家と期待されていただけに、各方面に衝撃が広がっている。

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