デイリー・アップデート

2024年2月20日 (火)

[エチオピア] 2月8日、アビィ・アフメド首相は内閣改造を行い、副首相、外相、保健相の3名を交替した。新たに副首相となったテメスゲン・ティルネ氏は、国家情報安全保障局(NISS局長)やアムハラ州知事を歴任した人物。治安の悪化を受け、2月2日に非常事態宣言の延長が発表された同州の治安安定に尽くすとみられる。また、タイエ・アツケ新外相はエチオピア国連常駐代表を務めたベテラン外交官であり、隣国ソマリアとの間で係争が続く国連未承認国家ソマリランドのエチオピアによる一方的な承認意向に関する問題をはじめ、周辺国との外交関係の調整に注力するとみられる。

[タイ] 2月19日、国家経済社会開発委員会(NESDC)が発表した2023年通年の実質国内総生産(GDP)成長率は、+1.9%となり、輸出の不振などが響いた結果、2022年の成長率+2.6%から減速した。アジア開発銀行(ADB)の見通しの+2.5%を大きく下回った。パンデミック前の2019年と比較しても、成長率はわずか+1.3%にとどまっており、これは近隣諸国で最も遅い回復だといえる。2023年第4四半期(10~12月)のGDPは、前年同期比+1.7%となり、第3四半期の+1.5%から加速したが力強さを欠き、前期比では▲0.6%縮小した。

[ドイツ] 連邦銀行が発表した「月報」によると、ドイツ経済は2024年当初も停滞しており、実質GDP成長率が2四半期連続のマイナス成長になる恐れがある。雇用・所得環境の底堅さが個人消費を下支えする一方で、金利上昇によって設備投資への下押し圧力が継続している。高金利に加えて、悪天候も建設投資の重石になった。海外経済の減速もあって、受注の減少を背景に引き続き製造業を中心に生産が鈍い。先行きの回復の兆しはまだ明確に見えていない。

[韓国] 韓国政府が発表した大学医学部の定員増に反対し、研修医らが集団で辞表を出したり、職場を離れたりしている。保険福祉部が大型病院100か所を点検した結果、2月19日午後11時の段階で、研修医の55%を占める6,415人が退職届を出していた。病院側は退職届を受理せず、政府は診療の持ち場を離れてはいけないという「診療維持命令」を出したが、医療現場では混乱が続いており、手術や入院、診療が先延ばしされる患者らが出てきている。

[ブラジル/イスラエル] ブラジルのルーラ大統領が、イスラエルが現在ガザで行っている軍事作戦をヒトラーのユダヤ人大虐殺になぞらえたことを受け、イスラエル政府が強く反発している。ルーラ氏は訪問先のアジスアベバで行った会見で、「現在ガザで、ヒトラーがユダヤ人を殺す決断をしたとき以外には歴史上行われなかったようなことが行われている」と発言。これに対しイスラエル外務省は、駐イスラエル・ブラジル大使を呼び出して正式に抗議。しかし、ブラジル外務省も駐ブラジル・イスラエル大使を呼び出して抗議し、駐イスラエルの大使を本国に呼び戻した。

[米国/ブラジル/アルゼンチン] ブリンケン米国務長官は2月20日から4日間の日程でブラジル、アルゼンチン両国を歴訪し、ブラジルでルーラ大統領、アルゼンチンでミレイ大統領と、それぞれ会談を行う予定。また、2月21日にはブラジル・リオデジャネイロでG20外相会談が開催されるためブリンケン氏も出席するが、2023年12月からブラジルはインドからG20議長国を引き継いでおり、ブラジルのルーラ大統領としては、グローバル・サウスの代表格として、貧困撲滅、労働者の権利拡充、環境政策に重点を置いたアジェンダを提案している。

[米国] ラボグロウンダイヤモンド(人工ダイヤ)ブームに陰りが見えている。人工ダイヤはその安さから人気が高まったが、既に市場の2割を占めるまで成長したことで、今後は伸び悩むとの見通しが目立つようになっている。人工ダイヤは、環境や倫理面に配慮されたものとして若者層から好まれる傾向にあり、市場拡大の期待もある。しかし、中国やインドでは「黒いダイヤ」と称される、石炭由来の電力を大量に使用して生産されたものが人工ダイヤ生産の主流であって、エコでもエシカルでもないという批判的な指摘もみられる。

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