デイリー・アップデート

2024年5月15日 (水)

[フィリピン] 5月6日、マルコス大統領は、2019年2月14日の米自由化法(共和国法11203)を改正し、国家食糧庁(NFA)に再びコメの輸入と国内販売を許可する下院法案を緊急に認定すると述べた。政府は同法で、NFAがコメの輸入数量管理をするという役割を廃止し、地元農家から籾を購入して国内の米備蓄を維持する役割とすることに重点を置いた。最近食料価格が上昇する中、貧困層の家計支出の20%を占める主食(コメ)の価格を下げるための措置となる。2019年の法律以前は、NFAが高値で外国のコメを買い、低値で売っていたが、その結果、2018年に1,405億ペソ(25億ドル)の損失を出していたため、NFAの輸入数量管理の役割を廃止していた。

[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)によると、5月の景気期待指数は47.1となり、4月(42.9)から上昇した。上昇は2023年8月以降、10か月連続している。足元の状況を表す現況指数は▲72.3と、4月(▲79.2)からやや回復したものの、依然として足元の状況は悪い。主要な輸出先であるユーロ圏と中国経済の改善とともに、ドイツ経済の回復の兆しが見えていると総括されており、先行きへの期待は強まっている。

[マダガスカル] 5月10日、アフリカ開発銀行(AfDB)はマダガスカルの「国別戦略ペーパー(CSP)2022-2026」の中間レビューを実施し、プロジェクトの進捗が「ポジティブ」だと評価した。2030年までに同国を「新興国」入りさせる目標を基に、AfDBは灌漑地の開発、道路建設、コメ増産など総額8億ドル強の支援をコミットしている。4月に世界銀行が発表した「マクロ貧困見通し」によると、同国の2023年の一人当たりGDPは546ドルで、1960年の約6割の水準に留まっているとし、経済成長が人口増加に追いついていないと指摘している。世銀は2024~2026年の平均成長率は貿易、観光の回復、通信、鉱業分野の投資を受けて4.6%に回復すると予測している。

[米国/中国] 5月14日、バイデン政権は通商法301条に基づく対中関税の一部を引き上げることを決定した。同時に、米国内で使用される太陽光発電関連の製造機器については、関税免除が認められるため、米通商代表部(USTR)が、今後その審査プロセスを公表する予定。トランプ政権時に設定された対中関税を、バイデン政権は継続、拡充するとともに、リチウムイオン電池などについては、調達先の分散を図るための移行期間を設けている点などが注目点の一つとなる。

[米国] 5月13日、New York Times/シエナ大学は、米国大統領選挙の帰趨を決すると見られるアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの6州の有権者を対象に実施した最新世論調査(4月28日から5月9日までの12日間で実施)の結果を公表した。バイデン対トランプの直接対決の場合、ミシガン州以外の5州でトランプ氏が優位を維持し、バイデン氏は有権者別では若年層、ヒスパニック系、アフリカ系の十分な支持を確保できていない状況が浮き彫りとなった。

[ロシア/中国] ロシア大統領府は、プーチン大統領が5月16~17日の日程で中国を訪問し、習近平国家主席と会談すると発表した。5月7日に大統領として通算5期目に入った後の初外遊となる。この訪問には、今週新任となったベロウソフ国防相やショイグ安全保障会議書記、マントゥロフ第一副首相などの新閣僚などが同行する。中ロの経済協力などについて話し合うことが焦点になると思われる。

[ドイツ] 5月13日、ノルトライン=ヴェストファーレン州の高等裁判所が、ドイツ国内の諜報機関(連邦憲法擁護庁)によるドイツの極右政党AfDを潜在的な過激派と分類していることの是非を問う裁判が行われ、連邦憲法擁護庁の分類を支持することを発表した。

[トルコ/ギリシャ] 5月13日、ギリシャのミツォタキス首相がアンカラを訪問し、トルコのエルドアン大統領との会談を実施した。両者の会談は過去5か月間で2回目、過去10か月間で4回目となる。二国間関係は特に2020年以降悪化していたが、2023年2月に発生したトルコ南東部大地震(5万人が死亡)直後にギリシャが救援に駆けつけたことから関係が改善。隣国同士である二国間には長年にわたってさまざまな解決困難な問題が存在するが、両者は今後もコミュニケーションチャンネルを維持していくこと、貿易額を倍増し経済関係を強化することなどで合意した。

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