デイリー・アップデート

2024年5月27日 (月)

[ブルキナファソ] 5月25日、軍事政権は国営放送を通じ、国民協議の結果、民政移管のスケジュールを2024年7月2日から5年間延長することを決定したと発表した。2022年の軍事クーデター以降、大統領代行を務めるイブライム・トラオレ氏は、当初は2024年7月1日までに民政を回復すると口約したが、その後、反政府勢力によるテロ行為が収束していないことから選挙の実施は困難であるとの意見を示していた。今回の決定で民政移行期間の終了後(2029年7月)に行われる選挙にトラオレ氏自身も出馬可能になったと報じられている。同国では特に東部でアルカイダ系組織「JNIM」と治安部隊との衝突が激化している。

[アフリカ] エルニーニョ現象は終息を迎えつつあるとされるが、南半球にはその深い爪痕が残る。国連世界食糧計画は、ザンビアからアフガニスタンまで過去3年にわたる異常気象が、食料生産の大幅な減少と飢餓の急増を引き起こしており、特にアフリカ南部が「危機の震源地」となっていると警告している。被害が大きいのはマラウイ、ジンバブエ、ザンビアで、干ばつにより主食トウモロコシの生産が壊滅的な打撃を受け、数百万人が影響を受けているとしている。支援が必要だが、ガザやスーダンでの紛争もあって、援助能力は限界に達しているとされている。

[ミャンマー] 軍事政権下の観光省によると、2024年1~3月にミャンマーを訪れた外国人客数は約35万人、そのうち中国やタイなどから国境通行証で入国した外国人は約27万6,000人であった。国別では、中国が前年同期比▲13%の2万4,783人で最も多かった。次いでタイが同▲3%の1万2,384人、韓国が同+46%の5,706人、日本が同+29%の4,737人、インドが同+14%の4,016人と続いた。2019年通年の外国人旅行客は約436万人だったが、政情不安が続く中で観光客が戻っていない。

[ユーロ圏] 欧州中央銀行(ECB)によると、2024年第1四半期(Q1)の妥結賃金は前年同期比+4.69%となった。伸び率は2023年Q4の(+4.45%)から拡大し、2023年Q1から4%超の伸び率を継続させている。ECBが目標としている2%の物価上昇率の整合的な伸び率に比べると、妥結賃金の伸び率は依然として高いままだ。賃金設定の頻度の少なさや賃金契約の長さから、賃金の上昇ペースは物価に比べると緩やかなものになるため、2024年も高い伸び率が継続する見通しだ。

[米国] テキサス州の電力消費量が、5月としての記録を連日更新し、電力価格も上昇している。同州の電力網の大半を運営するERCOTによると、5月26日遅くに電力消費量は73,756MWに達し、今月4度目の記録更新となったが、週明けには気温が平年より1か月早く華氏100度(摂氏37.8度)に達する予報で、電力消費量もさらに増える見通し。今夏、従来の記録である85,508MW(2023年8月10日)も上回るとみられている。同州では経済成長と人口増加、気温上昇に加え、データセンター・人工知能・暗号通貨マイニングの電力消費も増加している。

[米国/中国] 5月24日、米通商代表部(USTR)は、通商法301条に基づく対中関税の適用免除を一部延長することを発表した。当初は2024年の5月31日に失効する予定となっており、その扱いが注目されていたところ、2025年5月31日までの延長が明らかになった。今回、延長が認められない品目については、移行期間として2024年の6月14日までは関税が免除される。バイデン政権は、トランプ前政権下で始まった対中301条関税の見直し作業を終え、2024年8月からEVなど一部品目については関税率引き上げに踏み切ることを発表している。

[米国] 2024年2月28日、現在上院共和党指導部を率いているマコネル共和党上院院内総務は、今期限りで米国史上最長の17年間在職している同ポストを辞任する意向を表明している。5月22日、11月の上院議員選挙後に実施される次期共和党上院院内総務選出選挙に、トランプ前大統領にも近いスコット上院議員が出馬表明しており、既に出馬を表明しているスーン共和党上院院内幹事、コーニン前共和党上院院内幹事の計3人が名乗りを上げたことになる。今秋の上院選挙では共和党勝利が有力視されている。

[ロシア/ウズベキスタン] 5月26日、ロシアのプーチン大統領は、中央アジア・旧ソ連諸国のウズベキスタンを訪れ、5月27日に現地でミルジヨエフ大統領と首脳会談を行う予定である。両首脳は、ウズベキスタンとロシアの包括的戦略的パートナーシップと同盟関係のさらなる発展と深化について協議し、約数十件の合意文書に署名する予定である。

[EU] ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」所属議員の問題発言などを受け、5月23日、同政党が欧州議会で所属する極右の政治会派「アイデンティティと民主主義グループ」が、AfDを即時排除することを決定した。正式な除外は6月6~9日にかけて行われる欧州議会選挙後とみられる。

[日本/中国/韓国] 5月26~27日、韓国ソウルで日中韓首脳会談が4年6か月ぶりに開催されている。1日目は参加首脳による二国間会談がそれぞれ開催された。日韓首脳会談では、2025年の国交正常化60周年に向け、二国間関係を一層飛躍させ、2023年に始まったシャトル外交を継続することで一致した。日中首脳会談では適切な時期に日中ハイレベル経済対話や人文交流協議メカニズムなどを開催することで合意したが、中国側は福島原発処理水の海洋放出に関する懸念を改めて表明した。

[イスラエル] 5月24日、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルに対して、ガザ最南部のラファハに対する攻撃の即時停止、イスラエルが封鎖を続けるラファハ検問所の開放、そして国連の調査委員会によるガザへの支障のないアクセスの確保を求める暫定措置命令を出した。2023年12月に「ジェノサイド条約に違反している」として南アフリカがイスラエルをICJに提訴しており、2024年1月と3月には、ICJがイスラエルに対して虐殺を防止するためのあらゆる措置を講じるよう暫定措置命令を出したが、イスラエルは反発し、応じていない。

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