デイリー・アップデート

2024年5月31日 (金)

[原油] 6月2日、OPECと、「協力宣言(DoC)」を行っている非加盟産油国から成るOPECプラスは、半期に一度の閣僚級会合をオンラインで開催する。ウイーンで対面開催予定だった6月1日から変更されている。OPECプラスとしての生産計画は2024年末まで決定済みで、多くの国が2024年1月から自主的追加減産も行っているが、原油市場になお需給の緩みが見られることから、7月以降も自主減産を継続する公算。既に2025年の生産計画に向けた議論も始まっており、生産割当を決めるため、各国の生産能力に関する第三者評価が6月末までに完了予定。多くの加盟国は生産枠の引き上げを求めており、今後再び議論が紛糾する可能性もある。

[ブラジル/パラグアイ] ブラジルとパラグアイが、両国国境パラナ川にあるイタイプダムからの売電協定で新たな合意に達し、売電価格を15.4%引き上げる。これによりパラグアイは、2024年から2026年の間の売電収入が年12.5億ドルに増加する。2027年以降は、発電コストに見合った売電価格になることから収入減が懸念されるが、政府は工業化、投資の誘致などにより電力需要を増やし、売電ではなく電力を自国で消費することを見込んでいる。

[中国] 5月28日、国際通貨基金(IMF)は、2024年の実質GDP成長率の見通しを5%とし、4月時点の4.6%から引き上げた。これは、2024年初めの力強い景気拡大と政府の追加支援を反映したものである。IMFはこうした勢いが続くと見込み、2025年の成長率も4.5%とし、4月時点の4.1%から引き上げた。中国国家統計局が発表した2024年第1四半期の成長率は、前年同期比+5.3%と市場予想を上回る結果だったが、長期にわたる住宅市場の低迷が引き続き内需を圧迫している。IMFは、住宅市場の回復に向け、中央政府が販売済み未完成住宅の買い手を保護し、こうした住宅の完成を加速させ、資金繰り難に陥っている不動産開発業者を救済することを優先すべきであると指摘している。

[日本] 経済産業省によると、4月の鉱工業生産指数は前月比▲0.1%となり、2か月ぶりのマイナスだった。全15業種中、輸送機械(▲13.4%)や汎用・業務用機械(▲3.2%)など7業種が減少した一方で、生産用機械(+4.1%)や金属製品(+6.4%)など8業種が増加した。鉱工業生産は5月に増加に転じると見込まれるものの、6月に再び減少に転じる見通しだ。基調判断は「一進一退ながら弱含み」に据え置かれた。4月の小売業販売額は前月比+1.2%と、2か月ぶりに増加した。小売業販売額の基調判断は「一進一退」だった。

[米国] 5月23日、ワシントンの有力調査機関であるピュー・リサーチ・センターは、全米における米国成人8,638人を対象として5月13日から19日まで実施した「米国の現状や米国経済の現状に関する最新世論調査」の結果を公表した。現在の米国経済は「素晴らしい、あるいは、良好な状態にある」との回答はわずか23%との結果になった。米国が直面している最も重大な問題として「インフレ」が62%と第1位になり、米国民の間でネガティブな要因と認識されていることが改めて判明した。

[ブラジル/米国] 濃縮冷凍オレンジジュースの価格は猛暑や病気の影響でオレンジの生産量が大幅に減少した影響を受けて暴騰し、この1年間で90%も値上がりした。足元ではようやく一服しつつあるが、オレンジの最大の生産国であるブラジルでは、生産量が昨年比2割減、フロリダやカリフォルニアでも収穫が減少しているということもあって、即座に値下がりは期待できない。飲料メーカーの一部では、ブレントに使用するオレンジジュースを減らし、りんごや梨といったほかの果実へと切り替えたり、オレンジジュースそのものの生産から手を引いたりといった対応を余儀なくされている。日本のポンジュースも、1年前との比較で25%ほど小売価格が値上がりしている。世界の柑橘類愛好者にとっては、かつてなく厳しい状況となっている。

[ウクライナ/米国] ウクライナ情勢を巡って、ゼレンスキー大統領が提唱する和平案「平和の公式」を協議する「世界平和サミット」が、6月15~16日にスイスで開かれる予定。バイデン大統領は、世界平和サミットを欠席する憶測が強まっていることに対し、ウクライナ側からの不満が高まっているが、ウクライナと米国が安全保障協力に関する二国間協定を近く締結するという報道が一部でみられる。協定締結により、米国がウクライナを支える意志を示し、両国間の緊張を和らげる狙いがあるとみられる。

[南アフリカ] 5月29日に実施された総選挙の開票が進む。選挙管理委員会(IEC)の集計によると、5月31日の日本時間午前11時時点で開票率は51.29%。政党別得票率では、与党・アフリカ民族会議(ANC)が42.57%、最大野党・民主同盟(DA)が23.27%、2023年12月に結成された民族の槍(MK)党が10.62%、極左政党の経済的開放の闘志(EFF)が9.63%、愛国同盟(PA)が2.84%と続く。事前の予想どおりANCは過半数を下回る見込みで、1994年の民主化以降、国政で初となる連立政権の組成が現実味を帯びる。最終的な選挙結果は6月2日までに発表される予定。

[フランス/ロシア] 4月、フランスが、6月6日に行われるノルマンディー上陸作戦80周年記念式典に、プーチン大統領の招待は否定しながらもロシア代表団の招待に言及したことについて、西側諸国は非難をしていた中、5月30日にフランス大統領府が、ロシアを式典に招待しないことを発表した。「ロシアがウクライナに対して繰り広げている侵略戦争」が激化していることを理由として挙げている。

[豪州/中国] 5月30日、オーストラリアのワット農相は、中国が輸入を差し止めていた豪州の食肉処理施設7か所のうち、大手を含む5か所の措置が解除されたと発表した。なお中国の李強首相は6月にオーストラリアを訪問する予定と報じられている。

[トルコ/中国] トルコは自国の電気自動車(EV)産業を発展させるために、中国のEV企業およびEV技術企業と協力することで、トルコを重要なEV生産拠点にしようと考えている。中国のEVメーカーの急増とこれら企業の生産台数の増加によって、EUは中国からのEV車の欧州市場へのアクセスを制限する措置を検討しており、中国EVメーカーはトルコに生産拠点を作ることでトルコとEUの関税同盟を活用することができ、またトルコにとっても自国のEV事業の発展にプラスの影響が見込まれると考えている。

[米国/韓国] 5月30日、労働省は韓国現代自動車のアラバマ州における現地法人、その部品供給子会社、人材派遣会社の3社が児童労働に関わったとして、アラバマ州連邦地裁に提訴した。下請け会社における違法な児童労働に対して、その親会社の責任を労働省が問うのは初めてのこととなる。2021年7月から2022年2月にかけて、13歳の少女を週50~60時間にわたって雇用した疑い。現代自動車は、米南部を中心に多くの投資を行っているところ、全米自動車労組は現代自動車工場における労組結成を目指している。

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