デイリー・アップデート

2024年5月17日 (金)

[銅] チリ政府の銅委員会(Cochilco)が2024~25年の銅需給・価格予測を公表。2024年の銅平均価格の予想を前回予測の1ポンド3.85ドルから4.30ドル(約9,480ドル)に引き上げた。2025年予測は1ポンド4.25ドル。銅価格は2023年11月初の1ポンド3.64ドルから、生産障害や中国銅製錬の協調減産報道などを受け急騰したが、足元の相場急騰は投機的要素も強いと指摘。しかし2024年の世界需給バランスは▲36.4万トン、2025年は▲27.8万トンの供給不足が見込まれ、マクロ経済情勢の悪化がなければ銅価格には上昇バイアスがかかるとした。2024年の銅鉱山生産(リサイクル除く)は、前年比+2.5%の2,250万トン。首位チリは+5%の550万トン。2位はコンゴ民主共和国で3位ペルーを引き離す。2024年の需要は2,678万トンで、中国は+2.5%の1,517万トン、その他地域で+5.1%の1,161.6万トン。

[メキシコ] メキシコへの海外直接投資(FDI)は2024年第1四半期に過去最高を記録し、前年同期比9%増加の203億米ドルとなった。しかし、そのうち、新規投資はわずか3%(約6億ドル)と縮小している。新規投資の割合は、2022年にはFDIの50%、2023年にも13.4%を占めていた。

[モザンビーク] 5月16日、第4次拡大クレジットファシリティ(ECF)のレビューのため同国を訪問していた国際通貨基金(IMF)チームは、同国の経済成長は底堅く、2024年の成長率は+4.3%に加速すると発表した。また、インフレ率は3%台で安定している一方、依然として政策金利が15.75%に高止まりしていることが民間部門への信用供与の減少を招いているとし、金融緩和の実施を促した。北部のカーボ・デルガド州で天然ガス開発プロジェクトを進める米石油大手エクソンモービルは、2025年末に最終投資決定を行うと発表したと報じられているが、同州では5月10日に数百名ものイスラム過激派勢力(15歳未満の子どもを含む)と治安部隊との間で衝突が発生。治安情勢は不安定な状況が続く。

[米国] 労働省によると、4月の輸入物価指数は前月比+0.9%となり、2022年3月以来の高い伸びとなった。また、5月11日までの1週間の新規失業保険申請件数は22.2万件となり、前週から▲1.0万件と3週ぶりに減少した。これらのデータは物価上昇と雇用環境の底堅さを表しており、FRBの物価抑制の取り組みがまだ終わっていないことを示唆する内容だったと、市場に受けとめられたようだ。

[中国] 5月17日、国家統計局が発表した4月の小売売上高は前年同月比+2.3%となり、前月の+3.1%から減速した。一方、鉱工業生産は+6.7%となり前月の+4.5%から拡大した。1~4月の固定資産投資(都市部)は前年同期比+4.2%となり、1~3月の+4.5%から減速した。中国経済は、内需が不動産市場の低迷などで伸び悩んでいる一方、外需の高まりにより輸出が回復基調にある。中国人民銀行(中央銀行)は、内需を押し上げる目的で、5月17日より1兆人民元(約1,400億ドル)の超長期特別国債の発行を開始する。しかし、この支出は国主導のインフラ投資を後押しする一方で、民間消費や投資にはほとんど影響を及ぼさない可能性がある。

[米国] バイデン政権が対イスラエル軍事支援の一部輸送を差し止めていることに対し、5月16日、下院は弾薬輸送を速やかに実施するよう規定した法案を可決した。賛成224票、反対187票で、下院少数党である民主党議員が投じた賛成票は16票にとどまった。上院は民主党が多数を押さえているため、法案が成立する見込みは無いものの、対イスラエル政策について踏み絵を民主党に強いることで、共和党はバイデン政権・民主党批判を強めていこうとしている。

[中国/ロシア] 北京で中ロ首脳会談が実施された後に発表された共同声明は、「アジア太平洋における米国の中距離ミサイル・システムの配備」や「中ロに対する米国の非建設的かつ敵対的な『二重封じ込め』政策」に反対し、それに対抗するため中ロの協力を強化するとしており、60年代の中ソ対立以降、最高レベルでの安保協力を謳っている。昨年(2023年)の共同声明には存在した「すべての核保有国は領土外への核兵器の配備を控え、領土外に配備された核兵器を引き上げるべき」という文言がなくなった。

[ベトナム] 5月16日、ベトナム共産党が臨時の中央委員会総会を開催し、チュオン・ティ・マイ党書記局常務・中央組織委員長の辞任の申し出を了承した。中央委員会が同氏の党規定違反を認定したことを受け、同氏自身が辞職を申し出ていた。違反の詳しい内容は明らかになっていない。党書記局常務は書記長、国家主席、首相、国会議長に次ぐ党序列5位の要職。3月にトゥオン国家主席、5月2日にフエ国会議長が辞任しており、2か月間で党序列2位、4位、5位が相次いで辞任する異例の事態となった。

[中東/パレスチナ] 5月16日、バーレーンの首都マナーマで、アラブ連盟の第33回首脳会議が開催され、サウジアラビアのムハンマド皇太子、カタールのタミーム首長、エジプトのシシ大統領、パレスチナ自治政府のアッバス大統領、シリアのアサド大統領に加え、グテーレス国連事務総長も参加した。会議の最後には、二国家解決が実現するまでの間のパレスチナ自治区への国連平和維持軍の展開と、二国家解決案に沿ってパレスチナ問題を解決するための国際会議の開催を求めるマナーマ宣言を採択した。

[中国/ロシア] 中国を訪問しているロシアのプーチン大統領は、5月16日に北京で習近平国家主席と首脳会談を行い、両国間で貿易や投資などを促進する共同声明に署名した。石油や天然ガス、原子力といったエネルギーのほか電子産業、人工知能(AI)、農業を含む幅広い分野で協力のレベルを引き上げるとした。プーチン大統領は5月17日、黒竜江省の省都ハルビンに到着し、中ロ企業が出展する「中ロ博覧会」の開幕式や地域間協力フォーラムに参加する予定である。

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