デイリー・アップデート

2024年5月21日 (火)

[南アフリカ] 5月20日、憲法裁判所は、5月29日に実施される総選挙にジェイコブ・ズマ前大統領は立候補できないとの判決を下した。ズマ氏は2023年12月に結成されたMK(民族の槍)党の党首として選挙戦を繰り広げてきたが、憲法裁判所は2021年に同氏は法廷侮辱罪で15か月の実刑判決を受けたため、憲法上、選挙に参加する資格がないと裁定した。MK党にとっては大きな痛手となる。南アのシンクタンク「ソーシャル・リサーチ・ファンデーション」の世論調査によると、5月17日時点で与党・アフリカ民族会議(ANC)に投票するとの回答は46.3%(投票率60%の場合のモデル)で、1か月前の38.1%から上昇している。

[タイ] 5月20日、国家経済社会開発委員会(NESDC)が発表した第1四半期(1~3月)の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比+1.5%と、前期の+1.7%からさらに減速した。予算執行の遅れや輸出の低迷が響いた。観光需要の持ち直しを背景に、宿泊・外食などのサービス業が高い伸びだったが、製造業の低迷が続いている。セター政権は経済を下支えするため、中央銀行に対して政策金利の引き下げを引き続き要請するとみられる。

[南米] 南米全体として、経済成長は鈍化するとの見方が強まっている。各国ごとに状況は異なるが、メキシコとブラジルは、多少の減速はあるにせよ、2024年も成長が見込まれる。チリは銅価格の回復もあり、上方サプライズ。一方、コロンビアとペルーは下振れしている。アルゼンチンでは景気減速が続いており、2024年は4.0%の縮小が見込まれている。

[イラン] 5月20日、イラン政府はヘリコプターの墜落によるライーシ大統領の死を公式に発表した。故大統領らはアゼルバイジャン国境沿いに新設されたダムの開所式典に参加し、現場からヘリで戻る途中に悪天候によるものとされる事故に遭遇した。アブドラヒヤン外相含む同乗者8人全員が死亡。イランは5日間の喪に服す。今後、モフベル第一副大統領が大統領代行となり国政を取り仕切る。また、バーゲリ・キャニ外務次官が外相代行となる。新たな大統領を選出する大統領選挙は、6月28日に実施されることが発表された。

[米国/ウクライナ] バイデン政権はウクライナに対する長距離ミサイルの供与の条件として、ロシア領内を標的として使用することを禁止する政策を2022年12月のウクライナ戦争開始直後から導入、維持している。ウクライナ北東部のハルキウ州にロシア軍が攻勢をかける中、ゼレンスキー政権やウクライナの議員らからは、そうしたバイデン政権の政策を撤廃し、自衛目的でロシア領内の武器貯蔵施設などを攻撃できるようにすべきとの声が高まってきている。

[米国] 米国経済について、エコノミストの多くは堅調であることを主張している。ミネアポリスに本社を置く小売業のターゲットは、米国では消費者の多くは支出へ注意を払いお買い得品を探し回っているため、この夏、おむつから牛乳まで1,500品目の日用品を値下げする計画とし、最終的には値下げの対象を5,000品目まで拡大するとしている。同社は、1月に衣類から電化製品まで多くの商品が10ドル以下、中には1ドル以下で購入できるコレクションラインを立ち上げた。米国マクドナルドは、売上の伸び悩みと価格上昇に対する顧客の不満への対応から、5ドルのミールセットを導入予定と発表した。金融市場では市場参加者のインフレ懸念が燻っているが、消費市場では消費者が上昇し続ける物価への対応に苦労している。

[ウクライナ/ロシア] 5月20日、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、5年間の任期の満了を迎えた中、戒厳令下で選挙は禁じられており、職務を継続することになる。一方、ロシアは、ゼレンスキー大統領が権力保持の妥当性を失ったと情報戦を仕掛けており、ウクライナ国内では、長引く紛争に不満も募っている。

[スペイン/アルゼンチン] スペインの極右政党Voxが主催した大規模集会に参加したアルゼンチンのミレイ大統領が、スペインのサンチェス首相とサンチェス首相夫人を侮辱する発言をしたことから、スペイン政府が抗議した。アルバレス外相は、駐アルゼンチンスペイン大使を無期限で呼び戻し、適切な措置や対応を協議すると発表。

[中国/米国/台湾] 5月20日、中国商務部は台湾への武器売却を行ったとして、「信頼できない企業リスト」に米国の航空機企業(General Atomics Aeronautical Systems、General Dynamics Land Systems、Boeing Derense, Space & Security)を加えたと発表した。台湾総統就任式当日の発表で、米国をけん制する意図があると見られる。また、すでに同リストに入れられていた企業(Lockheed Martin, Raytheon Missiles & Defense)を助けたとして、米Caplugs社と取引を行う中国国内企業に警告を発している。

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