デイリー・アップデート

2025年1月7日 (火)

[米国/日本] 1月3日、バイデン大統領は、日本製鉄によるUSスチール買収計画について米国の国家安全保障並びに米国の重要サプライチェーンに対してリスクが提起されるとの理由から買収阻止命令を下した。1月6日、同買収計画に断固反対してきたトランプ次期大統領は、自らのSNS上に同買収計画には改めて反対する内容の投稿を行っており、関税の導入によりUSスチールをより収益性の高い価値ある企業にする方針を明らかにした。

[ベトナム] 1月6日のベトナム統計総局(GSO)の発表によると、2024年通年の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比+7.09%となり、2023年の+5.05%を上回り堅調だった。アジアで最も強い台風の影響を受けたにもかかわらず、世界的な消費の回復の恩恵を受け輸出が好調となり、海外直接投資も拡大し、成長を後押しした。同年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前年同期比+7.55%に達し、2022年第4四半期以降の9四半期で最も高かった。2024年の一人当たりGDPは1億1,400万ドン(4,700ドル、約73万9,000円)となり、前年から377ドル増加した。

[ドイツ] ドイツ連邦統計庁によると、12月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.9%となった。上昇率は11月(+2.4%)から拡大、市場予想も上回った。内訳をみると、食料品(+2.0%)が上昇した一方で、エネルギー(▲1.7%)は低下した。足元にかけて、エネルギーの下落率が縮小していることと、サービス(+4.1%)の上昇率が高止まりしていることが、物価のけん引役になっている。想定外に物価上昇率が拡大したため、欧州中央銀行(ECB)の利下げペースが鈍化するという見方も一部に広がった。

[中国/アフリカ] 1月5~11日の日程でアフリカ4カ国を訪問中の王毅外相は、1か国目の訪問先ナミビアでナンディ=ンダイトワ次期大統領と会談を実施。2024年11月に実施された総選挙で、ナミビア初の女性大統領に選出されたンダイトワ氏に祝意を示した。中国外相による年初のアフリカ訪問は、35年連続の恒例行事となっている。王毅外相はナミビア訪問後、2024年9月に北京で開催された「第9回中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」で共同議長国に就任したコンゴ共和国、その次にサヘル地域に位置するチャド、そして最後にアフリカ最大の人口を有するナイジェリアを訪問する予定。

[シリア] 1月1日、シリアのシャイバニ外相、アブカスラ国防相、ハッターブ総合情報局長らは、シリア移行政府の閣僚による最初の外国訪問としてサウジアラビアを訪問した。サウジ側カウンターパートらとの会談を行い、シリアの政権移行期における政治行程などについて協議した。また、同じシリア政権閣僚らは、1月5日以降にカタール、UAEを訪問しており、UAEの後にはヨルダンも訪問予定。シリア政府は、14年間にわたる内戦で荒廃したシリアの再建・復興のため、湾岸諸国からの投資や地域諸国との関係改善を求めている。

[米国] 1月6日、ブリンケン国務長官は韓国を訪れ、外相、国会議長、そして大統領権限を代行する副首相と会談を行い、米韓同盟の一層の強化について協議を行った。国務長官は、さらに日本、フランス、イタリア、バチカンを訪れて、今次の外遊を締めくくる予定。米紙のインタビューに応じた国務長官は、バイデン政権の4年間を振り返り、同盟関係の強化、民主主義の擁護に努めたバイデン外交の成果を誇っている。

[アゼルバイジャン/ロシア] 1月6日、アゼルバイジャンのアリエフ大統領は、2924年12月下旬にカザフスタン西部で38人が死亡したアゼルバイジャン航空の旅客機墜落について、「責任はロシアの代表者らにあると確信を持って言える」と述べ、ロシアのプーチン政権を批判した。アゼルバイジャン側はロシアによる誤射が原因だという見方を示している。旧ソビエトのアゼルバイジャンはロシアの友好国だが、今回の墜落をめぐってはロシアに対する批判を強めている。

[フランス] 2024年12月23日に大統領府が新内閣の閣僚人事を発表した。2025年1月14日のバイル首相による施政方針演説で、新内閣の政策プログラムが発表される予定。ルコルニュ国防相やバロ外相などが留任するなど、バルニエ前政権からの継続性による安定が目的とみられる。

[米国/中国] 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国ハッカー集団による米政府関係者や米国内インフラに対するサイバー攻撃について報じており、1月7日に新たな特集記事を報道した。それによると、2023年秋にホワイトハウスで開かれた非公開の会議で、サリバン大統領補佐官は通信・テクノロジー企業幹部らに、中国のハッカー集団は米国の港湾、送電網、その他インフラターゲットを数十か所、自由にシャットダウンする能力を獲得したと警告したとしている。かつて、中国のハッカーは主に企業秘密や消費者個人情報を狙っているとみられていたが、現在は地政学的紛争が発生した際の武器として、より隠密かつ長期にインフラに潜むようになっていると指摘し、複数の具体的事例を紹介している。

[ミャンマー] 2024年12月31日、軍政が同年10月に実施した国勢調査の暫定結果を公表した。総人口は5,131万6,756人とされたが(2014年の調査から約20万人減少)、実際に把握できたのは3,219万1,407人で、残りの約1,913万人はリモート調査や専門家の協力による推計という。軍政は調査で作成した有権者名簿を基に今年総選挙を実施する方針。1月4日、ミンアウンフライン国軍司令官は独立記念日に合わせた談話を発表し、選挙実施の意思を改めて強調したが、具体的な日程は示されなかった。

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