デイリー・アップデート

2025年1月17日 (金)

[米国/スーダン] 1月16日、ホワイトハウスはブリンケン国務長官名でスーダン国軍(SAF)を率いるアブドゥルファッターフ・ブルハン主権評議会議長と、SAFへの武器調達に関係する企業・個人に対する経済制裁を決定した。1月7日にスーダンでSAFと交戦を続ける「準軍事組織(RSF)」のダガロ司令官と同氏の関係企業に対するジェノサイド認定および経済制裁に続いての対処となった。米国はブルハン氏に対する経済制裁について、SAFメンバーが民間人への残虐行為を継続し、またブルハン氏が国際和平協議への参加を拒否していることがスーダンの人道支援を阻害していると強く非難した。また、米国としてSAF、RSFのどちらも将来の平和的なスーダンの統治に適していない、との見解を示している。

[資源] Rio TintoとGlencoreが2024年、両社事業の一部ないし全部を統合する案について協議したと各メディアが報じた。両社は憶測にはコメントしないとしており、現在の状況は不明(一部メディアは協議終了と報道)。両社の歴史や企業文化は大きく異なり、石炭事業も、Rioは撤退、Glencoreは原料炭事業買収、と違いが大きいことから、資産分離や売却を伴わない単純な合併の可能性には懐疑的な見方が多い。今回の話が破談したとしても、中国の不動産バブル崩壊と世界のエネルギー転換に対応し、資源大手がポートフォリオの入れ替えや銅資産拡充を図っていることがうかがわれる。

[エクアドル] 2月9日に大統領選挙が行われるが、現職のノボア大統領と野党コレア派のゴンザレス氏との接戦が続いている。どちらの候補者も過半数を獲得し勝利するには十分な票を獲得できておらず、4月13日の決選投票まで持ち込まれる可能性が高い。昨年(2024年)の電力危機が落ち着きを取り戻していることは、現職に有利に働くとみられている。

[中国] 1月17日、国家統計局は2024年の実質国内総生産(GDP)成長率が前年比+5.0%だったと発表した。2023年の同+5.2%から鈍化したが、政府目標である5%前後は達成した。第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は、第3四半期の前年同期比+4.6%から加速し同+5.4%だった。各種財政・金融支援が下支えとなったとみられる。同日発表された12月の小売売上高と鉱工業生産は、それぞれ前年同月比+3.7%、同+6.2%となり、両方とも11月の同+3.0%、同+5.4%から加速した。一方、1~12月の固定資産投資は前年同期比+3.2%と、1~11月の同+3.3%から減速した。

[米国] 商務省によると、2024年12月の小売売上高は前月比+0.4%となり、4か月連続で増加した。市場予想(+0.6%)を下回ったものの、11月(+0.8%)は速報時点から小幅に上方修正された。オンライン(無店舗販売)は前月比+0.2%と11月(+1.7%)から減速、自動車(+0.7%)も減速した一方で、家具(+2.3)は11月(+1.3%)から加速した。小売り売上高全体としては底堅い動きとなったものの、ハリケーンやストライキなどの影響が剥落したり、年末商戦の影響や関税引き上げ前の駆け込み需要があったりするなどさまざまな要因が影響しており、特殊要因を除いた基調を見極めることが難しくなっている。

[シリア/カタール/イスラエル] 1月16日、カタールのムハンマド首相兼外相がシリアの首都ダマスカスを訪問し、先月(2024年12月)アサド政権を倒した反体制派のリーダーで、現在の政権移行期のシリアで暫定的に国のトップを務めているアフマド・シャラア氏との会談を行った。ムハンマド首相兼外相はシリアの電力部門を含むインフラの回復のための支援や資金援助を行うことを約束し、またアサド政権崩壊後にシリアとの緩衝地帯やシリア領内の一部を占拠しているイスラエルに対して、同地から「即時撤退」するよう要求した。

[米国] 1月15日、バイデン大統領はホワイトハウスの大統領執務室にて退任演説を行った。自由の女神像を引き合いに出し、合衆国が依って立つ理念の重要性を改めて国民に訴えた。同時に、超富裕層への権力集中が民主社会の結束を揺るがしかねないこと、ハイテク産業複合体の台頭によって先端技術を効果的に制御できなくなるリスクがあることを指摘。イノベーションの成果を均霑(きんてん)するためにも、人々がガバナンスに関わっていかなくてはならないと述べた。トランプ次期大統領は、1月20日の正午に就任する予定となっている。

[アルメニア/米国] 1月14日、旧ソ連構成国のアルメニアのミルゾヤン外相は、米国ワシントンでブリンケン米国務長官と会談を行い、両国の戦略パートナーシップ憲章に署名した。アルメニアはロシアと同盟関係にあるが、近年はロシアとの不和を背景に欧米への接近を加速させている。今回の憲章の締結も、アルメニアのロシア離れの動きの一環だとみられる。

[中国] 1月16日、中国メディア『経済観察報』は、不動産大手「万科(Vanke)」の最高経営責任者(CEO)祝九勝氏が警察に連行されたと報道した。記事では、深センの関連当局が万科に全面的に介入し、同社は買収あるいは再編される可能性があるとされている。1月3日付の万科の発表によると、2024年の累計契約販売面積は1810.7万平方メートルで、前年比▲26.57%、契約販売額は2640.2億元で同比▲34.59%、売上高では中国第4位であった。2024年9月、ムーディーズは万科の信用格付けをB1に引き下げていた。

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