デイリー・アップデート

2025年1月28日 (火)

[パキスタン] 1月27日、金融政策委員会(MPC)は、政策金利を100bpt引き下げ12%とし、1月28日より適用することを決定した。MPCは、インフレ率が想定通り低下を続け、12月には前年比4.1%に達したため、利下げに踏み切った。しかし、インフレ率は1月にさらに低下した後、今後数か月でやや上昇すると見込まれている。MPCは、2024年6月以降、政策金利を計1,000bpt引き下げてきており、この利下げが経済活動を下支えしているとの判断を示している。MPCは、2024/25年度のインフレ率が5.5~7.5%の範囲内に収まると予想している。

[ドイツ] Ifo経済研究所が発表した2025年1月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は85.1となり、2024年12月(84.7)から0.4pt上昇した。振り返ると、企業景況感指数は2021年半ばをピークに緩やかに低下に転じ、2023年上半期と2024年上半期にやや持ち直す動きがあったものの、足元にかけて水準を切り下げている。足元の状況を表す現況指数は86.1(+1.0pt)と12月から上昇した一方で、向こう半年程度の先行き見通しを表す期待指数は84.2へと小幅に低下した。

[原油] 1月26日、南米コロンビアが米国からの不法移民強制送還の受け入れを拒んだとしてトランプ米大統領が高関税や制裁に言及して威嚇する場面があった。コロンビアやカナダ・メキシコへの関税導入は米国の製油所が必要とする重質原油の供給減少リスクとなりうる。トランプ氏の原油増産の呼びかけに石油会社やOPECは目立った反応を見せていない。OPECプラスが4月に予定通り段階的な減産緩和を開始すると、石油市場の需給は緩むとの見方が多い。生産割当未達が続いたナイジェリアで増産が進展、たびたび超過生産を行っているカザフスタンではTengiz油田拡張部の生産が開始しており、OPECプラス参加国の生産枠順守違反が需給を乱す可能性が指摘される。

[ホンジュラス] 先月、IMF(国際通貨基金)による融資に関する定期審査は無事終えたが、2025年11月の大統領選を控え、経済政策と外交関係が潜在的なリスクとなっている。米国トランプ新政権による経済・移民政策の不透明性に加え、カストロ大統領が米国に対する強硬姿勢を強めることが懸念されている。

[サブサハラ] 1月27日、モザンビーク中銀は金融政策委員会(MPC)を実施し、政策金利を7会合連続の利下げとなる+12.25%とした。また、同日に西アフリカのガーナ中銀もMPCを実施し、政策金利を2会合連続で維持し、+27.0%とした。サブサハラ・アフリカでは14会合連続で利上げを行っているナイジェリア(+27.0%)のような金融引締サイクルにある国もあるが、全体的には維持・緩和の方向に向かっている。1月に「世界経済フォーラム」が発表した「チーフエコノミスト達の見通し」によると、2025年のサブサハラの金融政策について、67%が「維持・変化なし」、33%が「緩和」と予測している。

[米国] 1月24日、上院本会議でトランプ大統領が次期国防長官に指名したFox Newsの司会者ピート・ヘグセス氏の指名承認採決を行い、賛成、反対が同数の50票となったが、下院議長を兼務するバンス副大統領が賛成票を投じて賛成51票、反対50票となり、同氏は国防長官に就任した。共和党からは3人の上院議員は反対票を投じたが、女性に対する性的暴行疑惑などが発覚したヘグセス氏の指名承認プロセスに終止符が打たれた。

[欧州] 1月27日のEU外相会合で、1月31日で期限が切れるEUの対ロシア制裁の6か月延長が決定された。ウクライナがロシア産エネルギーのパイプラインの動きを止めたことに対して、直前まで本制裁延長に対する拒否権を行使すると主張していたハンガリーだったが、欧州委員会が、「エネルギーインフラの完全性はEUの安全保障にかかわる問題」として、EU加盟国への尊重を示し、ハンガリーの懸念に配慮したことが理由とみられる。

[インド/米国] 1月27日、インドのモディ首相と米国のトランプ大統領が電話会談を行った。米ホワイトハウスによると、両首脳は協力関係の拡大と深化のほか、インド太平洋や中東、欧州の安全保障を含む地域情勢について話し合った。トランプ大統領は、インドが米国製の武器調達を増やし、公平な2国間貿易関係に移行すべきだと主張した。2023年のデータでは、インドは米国にとって11番目の財貿易赤字国となっている。モディ首相の訪米や米印の戦略的関係の強化、2025年後半にインドで開催するクアッド首脳会議についても話し合った。

[イスラエル/レバノン] 2024年11月27日に発効したイスラエルとヒズボラによる停戦合意は、発効から60日間以内でイスラエル軍とヒズボラがそれぞれレバノン南部地域からの撤退を完了する取り決めだったが、1月26日、イスラエルからの要請により、仲介国であるアメリカが撤退完了期限を2月18日まで延長することを発表した。レバノン政府は延長を受け入れたが、ヒズボラは「合意違反」であると反発している。レバノン南部では、自宅への帰還を求める住民とイスラエル軍が衝突し、レバノン人26人が死亡、147人以上が負傷した。

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