デイリー・アップデート

2025年1月16日 (木)

[モザンビーク] 1月15日、2024年10月に実施された大統領選で勝利した、ダニエル・シャポ新大統領の就任式が首都マプトで開催された。シャポ大統領は就任演説において、最貧国のひとつである同国の国民生活改善のために、「省庁や政府高官ポストの削減を図り、政府をスリム化する」と述べた。また、10月の選挙結果が不正に操作されたとして、抗議デモを主導してきたヴェナンシオ・モンドラーネ氏との「対話」に臨む姿勢を示している。シャポ大統領は週内に組閣を行うとみられ、閣僚ポストに野党議員を加えることで事態収拾を図ろうとするとの見方もある。これまで一連の抗議デモで300人以上が死亡、就任式当日も各地で抗議活動による死者が生じたと報じられている。

[インドネシア/韓国] 1月15日、インドネシア中央銀行は政策金利(7日物リバースレポ金利)を0.25%引き下げ、5.75%とした。利下げ理由として、経済成長の支援を理由に挙げた。ロイターの調査では30人のアナリスト全員が据え置きを予想していた中、この決定は大きな驚きであった。今回の利下げは、2024年9月以来だった。一方、韓国銀行(中央銀行)は16日、政策金利(7日物レポ金利)を3.00%に据え置いた。ロイターの調査では34人のアナリストのうち7人のみが据え置きを予想しており、当初多くが3回連続の利下げを予想していた。韓国の政治危機が経済に影響を及ぼしており、利下げの再開による経済刺激が期待されるが、危機が解消したとしても経済成長率の回復は容易ではないとみられている。

[米国] 労働省によると、2024年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.9%となった。上昇率は11月(+2.7%)から拡大、7月以来の大きさだった。一方で、物価の基調を表す食品とエネルギーを除く、いわゆるコア指数の上昇率は+3.2%となり、11月(+3.3%)から小幅に縮小した。前月比の伸び率も+0.2%と、11月(+0.3%)からやや減速した。物価の基調が緩やかに落ち着きつつあるという見方から、市場では6月の利下げ観測がやや強まったようだ。

[米国ほか] 1月15日、欧州外交問題評議会はオックスフォード大学と共同で実施した世論調査「米国大統領選後のEUと世界世論」の結果を発表した。トランプ米政権に対して各国の民衆がどのように見ているかの調査で、欧州や韓国など米国の同盟国(※この調査では日本が含まれていない)はトランプ政権に対して悲観的である一方、大多数の国の民衆は、トランプ氏は米国にとって良いだけでなく、ウクライナ、中東、米中関係に平和をもたらしたり緊張を緩和したりすると捉えており、特にインド、中国、トルコ、ブラジルなどではトランプ氏が自国にとって良い影響を与えるとする回答が悪い影響を与えるとの回答を上回った。

[ベトナム] 1月14日、チン首相がロシアのミシュスチン首相とハノイで会談した。両首相は経済、貿易、原子力発電を含むエネルギー分野等で協力を進めるとし、複数の協力文書に署名した。ロシアの国営原子力企業ロスアトムと国営ベトナム電力公社(EVN)が原子力分野の協力強化に合意した。ベトナムの国会は2009年に国内初の原発をニントゥアン省の2か所に建設する計画を承認し、第1原発はロシア、第2原発は日本がパートナーとなって建設に向けた準備が進められたが、2011年の東京電力福島第1原発事故を受けた安全対策の見直しによるコスト増などを理由に、2016年の国会で白紙撤回されていた。その後、現政権で再始動が進められ、2024年11月、国会が原発の建設計画の再開を承認していた。

[イスラエル/パレスチナ] 現地時間1月15日夜、イスラエルとハマスの停戦・人質解放交渉を仲介するカタールのムハンマド首相兼外相が、交渉に関する合意が成立したことを発表した。停戦合意の発効は、トランプ次期米大統領の就任前日となる1月19日で、合意は3段階に分けて実施される。第1段階は42日間で、初日からの停戦とともにイスラエル軍の段階的撤退の開始、ハマスがとらえている人質33人(主に女性、子供、50歳以上の民間人)の解放と、パレスチナ人の囚人数百人の釈放などが行われ、大規模な人道支援も再開する。第2、第3段階の詳細については、停戦合意発効後16日目以降に協議が開始される。

[米国] 1月14日、上院軍事委員会はトランプ次期大統領が指名したヘグセス次期国防長官の指名審査公聴会を開催した。スキャンダルが表面化したヘグセス氏に対し民主党議員は厳しい質問をして公聴会は5時間にも及んだ。上院軍事委員会所属の共和党上院議員らはヘグセス氏支持を表明し、指名審査公聴会終了後に態度を留保していたアーンスト上院議員(共和党)が支持を表明したことで上院本会議での指名承認は確実視される。

[アルゼンチン] 中央銀行は、インフレ率が落ち着きを見せていることを受けて、為替レートを小刻みに調整するクローリング・ペッグ制によるペソ切り下げ幅を2月から月2%から1%に減速すると発表した。ミレイ大統領は、今後、公約している通貨規制の解除を目指すことになる。

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