2025年1月22日 (水)
[ASEAN/日中韓] 1月21日、国際機関の東南アジア諸国連合(ASEAN)+3マクロ経済調査事務局(AMRO)はASEAN+3(日中韓)地域の2025年の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを+4.2%とした。2024年10月時点の+4.4%から下方修正した。堅調な内需と輸出が同地域の成長を下支えすると見込まれる一方、関税引き上げを含む貿易摩擦の激化が外需を抑制する可能性があると指摘している。インフレ率については、2024年末にかけて世界的なエネルギー価格や輸送コストの上昇が緩和し、2024年はコロナ禍以前の水準に戻り前年比+1.7%、2025年も+2.1%にとどまる見通しを示した。
[ドイツ] ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)によると、1月のドイツ景気期待指数は10.3となり、24年12月から▲5.4ptとなり、市場予想(15.3)を下回った。選挙を控えたドイツ国内政治や、米新政権の経済政策を巡る不透明感の高まりなどから、先行きの景気について「改善」見通しが2024年12月に比べて低下した。特に、個人消費や建設需要などが弱かった。ZEWは、こうした状況が続けば、ユーロ圏各国からさらに遅れをとると懸念している。
[米国/EU] EUは2022年に、2027年までにロシア産化石燃料から脱却する計画を掲げているが、パイプライン経由のガス輸入減少で、2024年にロシア産LNG輸入はむしろ増加し過去最高を記録。2025年に入り、ウクライナ経由のパイプライン輸入停止と気温低下・風量低下など気象条件が重なり、ロシア産LNG輸入はさらに増えている。トランプ米大統領はEUに米国産エネルギー輸入拡大を求めており、EU側にもその意向はあるが、EUにとってロシア産やノルウェー産のほうが安いこと、米国の民間企業はガス生産やLNG輸出をすぐには増やせないこと、ロシア産LNG輸入禁止でEU27か国の足並みが揃わないことなどが課題となっている。
[モザンビーク] 1月21日、2024年10月に実施された大統領選に無所属で出馬したヴェナンシオ・モンドラーネ氏は英BBCの取材に対し、選挙で勝利したダニエル・シャポ大統領がモンドラーネ氏の要求を受け入れるのであれば、抗議活動を止め、シャポ大統領下の新政権に参加する用意があると述べた。モンドラーネ氏は条件として、選挙結果に対して抗議活動を行い警察に逮捕された約5,000名の釈放、デモ活動で死亡した200名以上の家族への補償、抗議活動中の負傷者への無償医療の提供をあげている。シャポ氏もモンドラーネ氏との和解に向けた「検討」を開始していると報じられている。
[米国] 米国地質調査所(USGS)の新たなレポートによると、人口の 8%(2,670 万人)は、水需給の不均衡による慢性的なストレスを抱える地域に住んでいる。今回は米国本土48州全体の水の供給、需要、水質を調査した初めての研究レポートとなる。これによると、国全体としては供給が上回っているが、南西部砂漠、中央および北部高原、中央ロッキー山脈、テキサス州、カリフォルニア州とネバダ州などで需給バランスが悪化している。季節的な干ばつや長期の乾燥もあって需給バランスを維持することはますます厳しい状況となっている。米国干ばつ監視局によると、1月14日時点で西部の67%が異常なほど乾燥している状況で、農地が多く、豊富な帯水層があると認識されているハイプレーンズ地方でもその数字は75%にのぼると指摘している。
[欧州] トランプ大統領が再就任に伴い、欧州各国へ防衛費増額を迫るとみられる中、コスタ大統領がルッテNATO事務総長とスターマー英首相を招待して、2月3日に非公式EUサミットを開催することを発表した。欧州防衛強化の一環で資金の効果的な活用方法が協議されるとみられる。
[台湾] 1月21日、台湾立法院は2025年度中央政府予算案を可決したが、行政院(政府)が提出していた予算案(歳出総額3兆1,325億台湾ドル)から約2兆9,248億台湾ドルに減額され、政府の予算案より約2,075億台湾ドル削減、1,500億台湾ドル以上が凍結されることになった。野党の国民党と台湾民衆党が共闘して予算案削減に動いたためで、削減件数も額も過去最高で、例年の約6倍に相当する。FT紙は国防費についても潜水艦プログラムや軍事活動費、ドローン産業パークなどの予算が凍結されたことで、米台関係に影響が出る可能性を指摘している。
[米国] 1月20日、上院は国務長官人事を承認し、翌21日にルビオ国務長官が就任した。ルビオ氏は14年間にわたり上院議員(フロリダ州選出)を務めた。新国務長官は、国務省職員に対して就任演説を行い、トランプ外交の使命は、国益を損ねることなく世界に平和を確立することであり、より米国を強くするか、より安全にするか、より豊かにするか、という基準に照らして外交を推進すると発言した。21日にワシントンにて日米豪印の外相会談が行われ、自由で開かれたインド太平洋地域の実現に向けて4か国がコミットする旨、共同宣言に盛り込まれた。
[ロシア] ロシア当局は、海外でロシアの資産が差し押さえられた場合、欧米企業や「非友好国」の居住者がロシア国内で保有する資産を損害賠償のために差し押さえができるように、国内の法律整備を進めている。政府の特別委員会は、今後、没収する外国資産のリストを作成し、それを国有に移管する予定である。差押えの決定は、仲裁裁判所を通じて行われ、その資産価値は「特別な手順に従って」決定される。
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