デイリー・アップデート

2025年1月23日 (木)

[中国/ブラジル] 1月22日、ブラジル農牧供給省(MAPA)はブラジル5社からの大豆輸入について、中国税関当局から植物衛生上の不適合通知を受け取ったことを公表。税関が入着貨物の検疫を行うのは一般的慣行だが、ブラジルではこれから大豆収穫が進み輸出が増える時期であるため、動向が注目される。ブラジル政府は輸出停止の影響を受けるのは当該5社の各1部門のみで、大豆輸出全体への影響は最小限にとどまるとしている。しかし、この措置がトランプ米大統領就任のタイミングと重なったため、中国が大豆を含む米国との貿易協定を結ぶ余地を作るため、との憶測も出ているとロイターは報じている。

[韓国] 1月23日、韓国銀行(中央銀行)は、第4四半期の実質GDP成長率が前期比+0.1%にとどまり、第3四半期と同水準となったと発表した。前年同期比では+1.2%と、第3四半期の+1.5%から減速した。2024年通年では+2.0%となり、2023年通年の+1.4%から加速した。内需が依然として弱く、個人消費は、第3四半期の前期比+0.5%から第4四半期には+0.2%へと減速した。一方、輸出はマイナス成長から回復したが、前期比+0.3%にとどまり、力強さを欠いた。

[日本] 財務省「貿易統計」によると、2024年の輸出額は107兆913億円(前年比+6.2%)、4年連続で増加した。輸出額は比較可能な1979年以降で過去1位、2023年の100.8兆円に続き、2年連続で100兆円台となった。輸入額は112兆4,238億円(+1.8%)、2年ぶりに増加した。2022年の118.5兆円に続いて過去2位、3年連続で110兆円を上回った。差し引きは▲5兆3,326億円と、4年連続の貿易赤字だったものの、赤字額は2023年の9兆5,220億円から大幅に減少した。

[米国/ロシア/ウクライナ] トランプ大統領は大統領選挙運動中、大統領就任後24時間以内、または、大統領就任前にもウクライナ戦争を停戦させると訴えていたが、就任直前には、手戦には6か月の時間が必要と立場を後退させた。1月22日、トランプ大統領はロシアがウクライナ戦争の停戦の取引に応じない場合、関税、制裁等を課す意向をSNSで表明した。ケロッグ特使は1月上旬にキーウを訪問してゼレンスキー政権の高官らと協議する予定であったが、延期が決まった。

[米国] トランプ大統領は電気自動車(EV)を優遇する「不公平な補助金や政府が押し付ける市場の歪みの排除に熱心だという。技術系メディアtecraderは、新政権の対応がEVに及ぼす影響として5点指摘している。①税控除廃止による車体価格上昇、②インフラ補助金プログラム見直しによる充電インフラ設置停滞、③関税による供給制約と消費者選択余地の減少、④エネルギー非常事態宣言を受けて再エネ供給減少によるEV環境メリットの低下、⑤パリ協定離脱による米国自動車メーカーのEV関連材開発意欲の低下。

[日本/中国] 原子力や通信など安全保障にとって重要な「コア業種」に対する海外企業の対日投資について、日本政府は現行の事前審査制度を強化する方針だと日経が報じている。これまでは外国投資家が取締役会に参加せず、重要事業の譲渡・廃止を提案しないなどの条件を満たせば、事前審査を免除されていたが、今後は上場企業株1%以上を取得する場合、免除措置が適用されなくなる。また、法令により外国政府への情報提供が義務付けられている企業や個人を「特定外国投資家」として、コア業種以外も含めた規制対象企業の上場株1%以上を取得する場合、すべて事前届け出を必要とするよう外為法制省令に新規制を追加する。現在のところ「特定外国投資家」に該当するのは中国だけとみられている。

[ラオス] 1月21日、ソンサイ首相が訪日中に石破首相と会談した。石破首相は2024年10月にASEAN首脳会議に出席するためラオスを訪問しており、ソンサイ首相との会談は2回目。2025年は日・ラオス外交関係樹立70周年にあたる。両首脳は2015年に「戦略的パートナーシップ」としていた関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げし、外務次官級と防衛次官級の協議の立ち上げで合意した。石破首相は、ラオスの財政安定化および自律的で質の高い経済発展に寄与するために、クリーン電力供給能力の潜在性発揮、東西経済回廊の補修、教育の質の向上、防災に関する協力、不発弾除去に関する支援を表明した。投資、観光分野での協力の重要性も確認した。ソンサイ首相は、日本からの短期滞在者のビザ免除期間を15日から30日に延長する計画を示した。大阪・関西万博に向けた協力も確認した。

[イエメン] 1月22日、イエメンの反政府勢力であるフーシ派は、2023年11月以来1年2か月にわたって拘束してきた自動車運搬船ギャラクシーリーダー号の乗組員25人を解放したと発表した。オマーンが解放を仲介し、25人はオマーンに移送された。同船は日本郵船がチャーターして運航していたが日本人乗組員はおらず、乗員はフィリピン人やウクライナ人など。フーシ派は1月19日、ガザでの停戦を受けて、紅海周辺での船舶攻撃の縮小を発表しており、イスラエルのガザ攻撃から始まったフーシ派による船舶攻撃も収れんしつつある。

[米国] 1月22日、ルビオ国務長官はプレス声明を発表し、第2期トランプ政権において国務省が取り組むべき施策を明らかにした。国務省は国益増進のために外交を展開するべきであり、特に西半球外交においては不法越境者の流入を止め、彼らの送還について関係国と交渉することを優先すると強調した。そして、社会や組織の多様性確保に関わる諸施策を廃止し、エネルギー分野における米国優位を回復するという大統領のアジェンダを支えていくと述べた。このプレス声明が、大統領から指示があった米国第一主義外交の指針に相当するのか否かは現段階では不明。

[ロシア] 2024年12月末、プーチン大統領がロシアで事業展開するベルギー・トルコ合弁のビール大手ABインベブ・エフェス社に外部管理を導入することを決定する大統領令に署名した。ABインベブ・エフェス社はトルコの飲料大手、アナドル・エフェスの子会社で、収益の柱として、同社の成長のけん引役として期待されていたため、本件を受け株価が急落した。ロシア政府は今回、差し押さえの理由について明らかにしていない。

[EU] 1月1日にEU議長に就任したトゥスク首相(6月末までの任期)が、EU議長国ポーランドの優先政策を発表した。EUの競争力が「危機に瀕している」として、競争力の低下を引き起こしたエネルギー価格高騰の解決策として、グリーンディール政策の見直しを提言した。

[南アフリカ] 1月22日、統計局(STATS SA)は2024年12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比で+3.0%と発表した。住宅・公共料金と食料品価格の上昇が主なインフレ要因となった。前月11月の+2.9%から加速したものの、市場関係者の予測より上昇率は鈍く、また南ア準備銀行(SARB)のインフレターゲットの中間値である+4.5%を下回っていることから、1月30日に開催される予定の金融政策委員会(MPC)において3会合連続となる利下げの観測が広まっている(現在は+7.75%)。なお、国際通貨基金(IMF)は1月18日、南アの2026年の実質GDP成長率は電力供給の改善を背景に+1.6%と、前回2024年10月の予測から0.1ポイント上方修正した。

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