デイリー・アップデート

2025年1月27日 (月)

[国連/コンゴ民主共和国(DRC)] 1月26日、ビントゥ・ケイタ国連特別代表は、緊急開催された安全保障理事会において、DRC東部で活動する反政府勢力「M23」の攻撃により、国連平和維持部隊の数名が死亡したと報じた。隣国ルワンダが支援していると指摘されている「M23」は、DRC国内での希少鉱物の違法採掘を資金源に攻勢を強めており、東部最大都市のゴマを占拠したとも報じられている。ケイタ代表は紛争解決に向け、当事者であるDRCとルワンダ政府による政治的解決が急務であると強く対話を促した。これまでルワンダ政府は「M23」への支援を否定し続けているが、DRCは1月26日未明、ルワンダとの国交を断絶した。

[フィリピン] 1月24日、フィリピン統計庁(PSA)が発表した貿易収支統計によると、2024年12月の輸出額は前年同月比▲2.2%の56億5,710万ドルだった。4か月連続でマイナスとなった。輸出額全体の5割を占める電子製品が▲17.1%の28億ドルと大幅に減少した。輸入額は▲1.7%の98億ドルだった。輸入額全体の2割強を占める電子製品は+0.9%だった。

[インドネシア/インド] 1月25日、プラボウォ大統領がインドの共和国記念日式典に主賓として招かれてデリーを訪問中、モディ首相と会談した。両首脳は共通の武器プラットフォームのメンテナンスや沿岸警備用の造船等、防衛製造とサプライチェーンの開発協力推進で合意した。インドがロシアと共同開発した超音速巡航ミサイル「ブラモス」の供与についても協議されたと伝えられているが、公式な発表はなかった。実現すればインドから東南アジアへのブラモスの供与は、フィリピンに次ぐ2か国目となる。両国はグローバルサウスを代表する大国であり、トランプ米政権のアジア関与が不透明であること、中国への警戒、BRICSでの連携(反西側化の抑制)において共通の利益がある。

[イスラエル/パレスチナ] 1月25日、ハマスはガザに捕らえていたイスラエル人の人質4人を解放した。4人は全員2023年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲時に捕らえられた女性兵士。4人の解放に対応して、イスラエル側は200余人のパレスチナ人の囚人を釈放した。しかし、イスラエル側は、民間人女性の人質を優先的に解放するという約束を破ったとしてハマスに抗議し、ハマスは1月30日に追加的に民間人女性を含む3人の人質を解放することを約束した。2月1日にも予定通り3人の人質が解放される予定。

[米国/サウジアラビア(サウジ)] 1月25日、トランプ大統領は大統領専用機の中で記者団の取材に応じて大統領就任後の初外遊先がサウジになる可能性に言及した。第1期トランプ政権の初外遊先もサウジであった。トランプ氏は1月22日に就任後、初の外国リーダーとの電話会談をサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と行っており、中東情勢の安定化や米・サウジの互恵的経済関係に向けた取り組みについて協議を行った。

[米国] この週末には不法移民の送還を巡り、米国とコロンビアの対立が伝えられた。トランプ政権下の不法移民追放により米国の労働力低下が懸念されているが、大きなダメージを受ける産業の一つとして農業が挙げられている。米国農務省によると、2017年から2022年にかけて、全体の7%にあたる14万2,000軒の農場が減少した。異常気象、鳥インフルエンザ、飼料や肥料など生産費の上昇に直面している。また、既に農業従事者の3分の2以上は外国生まれで、季節労働者向けのH-2Aビザで入国したが、期限切れなどで不法移民となっているケースもあると見られており、農業従事者の42%が不法移民との推計もある。送還による労働力の喪失は中長期的には生産量の低下を通じて、世界的な価格上昇につながるリスクも意識される。

[ベラルーシ] 旧ソ連のベラルーシで1月26日まで行われた大統領選の暫定結果が中央選挙委員会より発表され、現職のルカシェンコ大統領(70)が86.8%の支持を獲得し、当選した。1994年から強権統治を続けているルカシェンコ氏の7選が確実となった。今回の大統領選にはルカシェンコ氏のほか、政権に従順な4人が形式的に立候補していた。

[EU/シリア] 2024年12月にシリアのアサド政権が崩壊したことを受け、カラス外交・安全保障政策上級代表が1月27日のEU外相会合で、シリアに対する制裁解除に関する何らかの政治的な決定が下されると発表した。ただし、制裁解除には「段階的」なアプローチがとられ、シリア新政権が、EUが考える「正しい」方向に進まない場合は、制裁復活があると発表されている。

[中国] 1月中旬に上海で開催された「両会」(人民代表大会と政治協商会議)において、医師や医療専門家など20人の上海市政協委員が、公立病院での使用が義務付けられている集中調達されたジェネリック医薬品の品質の低さを指摘したことについて、1月20日に中国国家医療保障局が調査を行うと発表し、中国国内では大きな関心が寄せられている。中国では2020年1月に実施された医薬品集中調達施行計画により、世界大手製薬会社の特許切れ医薬品がより安価な国内メーカーのジェネリック医薬品に置き換えられた。これらは臨床使用においてしばしば効果が劣り、効能が不安定であると医師らが指摘している。

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