2025年1月9日 (木)
[ガーナ] 1月7日、2024年12月に実施された大統領選で勝利し、2017年に退任後8年ぶりに大統領に返り咲いたジョン・マハマ氏の就任式が行われた。式典にはナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領をはじめアフリカ各国首脳が参加した。マハマ大統領は就任演説において、①マクロ経済の安定化、②ビジネス環境の改善、③ガバナンス改革、④汚職撲滅の4つの重点分野を掲げた。2022年に債務不履行に陥ったガーナは2024年に債務再編を完了し、金の好調な輸出を背景に経済は上向き傾向にあるが、1月9日に発表された消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+23.8%と4か月連続で上昇。高いインフレ率は国民生活に打撃を与えている。
[ASEAN] 1月6日、国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる米国の調査会社ユーラシア・グループは、毎年恒例の10大リスク(2025年版)を発表した。その中で、ASEANは特に強調されているわけではないものの、同レポートで指摘されているいくつかの主要な地政学的動向が、ASEAN地域に大きな影響を与えると指摘されている。特に10大リスクのうち、第3位の「米中決裂」、第4位の「トランポノミクス」、第7位の「世界経済への負の押し付け」は、ASEANに直接的な影響を及ぼすとの見解を示している。
[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、11月の名目賃金(現金給与総額)は前年同月比+3.0%だった。上昇率は10月(+2.2%)から拡大、6月(+4.5%)以来の大きさになった。ただし、酷暑乗り切り緊急支援の影響が剥落したこともあり、消費者物価指数(除く帰属家賃)が10月(+2.6%)から11月(+3.4%)へ上昇率を拡大させたため、実質賃金は▲0.3%となり、4か月連続でマイナスになった。ボーナスの影響で一時的にプラスに転じた6~7月を除くと、2022年4月以降、実質賃金の低下傾向が続いている。
[アルゼンチン] 政府は、5つの国際金融機関との10億米ドルのレポ契約の締結を発表した。これにより、中央銀行の外貨準備高が増加する。既存債務の元本や利子の支払いが控えるが、現在協議中とされる国際通貨基金(IMF)との新プログラムを含めて、資金調達への懸念はいったん和らいだ形になる。
[米国] 1月7日、トランプ次期大統領は、フロリダ州の邸宅で1時間以上にわたる記者会見を行った際、米国が1999年12月にパナマ政府に返還したパナマ運河とデンマークの自治領であるグリーンランドを、武力行使により所有することを排除しないと発言したことに関係国は反発し、波紋が広がっている。カナダについても、米国の経済力を用いて併合するとの発言があり、メキシコ関連では、現在の「メキシコ湾」から「アメリカ湾」への改称を目指すと述べた。
[日本] 2019年以来、ミラーフェイスと呼ばれるハッカー集団が政府機関や企業、個人などを標的に攻撃してきたとの警告を日本政府(警察庁・内閣サイバーセキュリティセンター)が発表したことが、海外メディアでも取りあげられている。政府のHPによれば、マルウェアを含むファイル送付、VPN機器の脆弱性や何らかの手段で得た認証情報、Windows Sandboxの悪用といった具体的な手口が紹介されている。また、過去からの交信先が悪用されているケースもあるため、メールに違和感があれば添付ファイルを開かない、安易に「コンテンツの有効化」をクリックしないといった基本的だが手許操作で対応可能なリスク緩和策を紹介している。2023年に米ワシントンポスト紙は、米国国家安全保障局が2020年に中国軍のハッカーが日本の最も機密性の高い機密防衛ネットワークの一部に侵入したことを発見したと報じているように、問題は一段と深刻化している。
[ポーランド] 1月8日、ドゥダ大統領の任期満了に伴い行われる大統領選挙の日程が発表された。第1回投票が5月18日に行われ、得票率50%を超える候補者がいなかった場合、2週間後の6月1日に決選投票が実施される。正式な選挙キャンペーンは1月15日に開始される予定。
[中国] 著名なエコノミストである安信証券の高善文氏は、2024年12月に米ワシントンDCの会議で、中国のGDP成長率と経済運営について疑問を呈し、公の場での発言を禁止されたとWSJ紙が報じている。ピーターソン国際経済研究所と中国シンクタンクが共同で開催したフォーラムで、高氏は中国の本当の成長率は不明であり、過去2~3年の実質成長率は平均して2%程度だろうと述べ、さらに、成長促進に必要な措置を講じる中国政府の能力について否定的な見解を述べたことが習近平氏を激怒させたとされている。
[EV] S&P Global Mobility(2024/12)によると、2024年の世界自動車販売台数は前年比+1.7%の8,820万台、うちバッテリー電気自動車(BEV)1,160万台でシェア13.2%。2025年は各8,920万台・1,510万台の予想。各種統計によるとBEV販売の伸びは低下も、ハイブリッド(PHEV、HEV)が伸長。中国国家発展改革委員会は1月8日、消費財買い替え支援制度を更新し、古い車から新エネルギー車への買い替えには、2025年も最大2万元の補助金が支給される。英FT紙は、中国では政府目標より10年早く、NEV販売が内燃機関車を超えて自動車販売の過半になる可能性があると報道。英国はゼロエミッション車販売義務率達成のため年末に販売が伸び、EV販売でドイツを抜いて世界3位に浮上したが、法人車・値引き販売依存で、2025年の義務率28%は厳しい目標となっている。
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