2025年1月29日 (水)
[タイ] 1月28日、タイ工業連盟(FTA)は、2024年の自動車生産台数が国内販売と輸出の低迷により前年比▲19.6%の147万台だったと発表した。過去4年間で最低の生産台数となった。輸出台数は前年比▲8.8%の100万台だった。地政学的リスク、EVメーカー間での競争激化、複数の国における厳格な炭素排出規制が影響した。国内販売台数は前年比▲26.2%の57万2,675台で、過去15年間で最低水準となった。家計債務が高水準であることを背景に、銀行が自動車ローンの審査を厳格化したことで需要が低迷した。
[モザンビーク] 1月15日に就任したダニエル・チャポ大統領と仏資源大手トタルエナジーズのパトリック・プヤンヌCEOが、1月27日に会談を行った。トタル社が主導する北部カーボ・デルガド州の液化天然ガス(LNG)プロジェクトは、イスラム系反政府勢力による攻撃により2021年から中断しているが、チャポ大統領は「プロジェクトの再開に対するトタル社のコミットメントを再確認した」と述べた。しかし、プロジェクトの再開時期についての言及はなかった。トタル社は2024年10月に、「2024年末までにプロジェクトを再開し、2029年までに生産開始する意向」を示していたが、その10月に行われた大統領選後の暴動と混乱により、再開時期はさらに遅れることとなった。
[中国] 中国企業の動向が話題を集めている。IT分野では、2023年に設立されたDeepSeekが低コストかつ高性能なオープンソースのAIを開発した。R1モデルの開発期間はわずか2か月、コストは600万ドルに満たない上、少ない計算による性能の高さが評価されている。月額20~200ドルのChatGPTとは異なり、ユーザーにプラットフォームを無料で提供している。この分野で先行してきたNVIDIAなど既存AI関連企業の株価は急落。NVIDIAの低性能半導体を活用して開発したとの指摘があり、輸出規制開始前に大量に調達していたとも報じられている。また、自動車分野では、BYD(比亜迪)のピックアップトラックSharkが注目を集めている。ハイブリッドのこのピックアップトラックは、米国市場では投入されていないが、既にオーストラリア、ブラジル、メキシコ市場では投入されている。メキシコでは1台あたり4.4万ドル相当で販売されているが、他社のピックアップトラックと比較すると低価格。バッテリーとエンジンで500マイル以上走行可能とのことで、燃費でも評価されている。
[米国] トランプ大統領は連邦政府の歳出削減を図る行政効率化省(DOGE)の委員長に、SpaceXやTeslaのイーロン・マスクCEOを起用したが、政権発足前後に公表された各種最新世論調査結果によると、マスク氏に対して一般米有権者は否定的見方をしていることが判明した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の最新世論調査結果では、マスク氏に好意的見方をしているとの回答は36%であったのに対し、否定的見方をしているとの回答は過半数を上回る51%に達した。
[米国/エジプト/ヨルダン] トランプ米大統領は、イスラエルの攻撃によって荒廃しきったガザを一掃するために、150万人のパレスチナ人をエジプトとヨルダンに受け入れてほしいと要請している。「パレスチナ人の移住は一時的なものか恒久的なものか」という問いに、「どちらもあり得る」と回答。エジプトとヨルダンは「二国家解決案を支持する」として受け入れ拒否の姿勢だが、トランプ氏はその後、再度両国にパレスチナ人の受け入れを要請し、「おそらく協力してくれる」と、両国の受け入れについて期待を表明している。
[米国] 1月27日、行政管理予算局は、各省庁に対して、あらゆる連邦補助金・融資制度の執行を暫定的に停止するよう指示した。その上で、一連の財政支援制度がトランプ政権のアジェンダと整合的であるか否かを包括的に精査するよう求めた。海外支援のみならず、国内のNGOや民主党が掲げる政策課題に対する連邦支援を見直し対象として想定している模様で、社会政策や環境政策など広範囲に及ぶと見込まれている。停止措置は翌28日から発効する予定だったが、連邦地裁が2月3日までの差し止め命令を出している。
[デンマーク/欧州] 2月3日に欧州の防衛能力強化の協議を目的として開かれる非公式EUサミットを前に、フレデリクセン首相(デンマーク)がショルツ首相(ドイツ)、マクロン大統領(フランス)、ルッテNATO事務総長と会談した。欧州の防衛強化の一環としてフレデリクセン首相は、トランプ大統領(米国)が関心を示しているグリーンランドの問題を提起した。
[中国] 米国の複数の研究者が、中国四川省の綿陽市に大型のレーザー核融合研究施設が建設されていると発表した。衛星写真ではレーザー発振器を収容する4つの外付けのアームと、強力なレーザーで水素同位体を融合させてエネルギーを生成するターゲットチャンパーを収容する中央の実験室が映っている。この施設は、米カリフォルニア州の国立点火施設(NIF)とほぼ同じレイアウトで、NIFより約50%大きいと推定され、中国における核兵器設計の改善や新しい弾頭設計の研究に役立つと同時に、核融合を利用したクリーンなエネルギー源の研究にも寄与する可能性がある。
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