2025年1月31日 (金)
[米国/カナダ] トランプ米大統領は、2月1日付でカナダ・メキシコからの輸入品に25%の関税を課す方針を改めて表明。米国は原油の純輸入国で、カナダからの輸入が全体の6割、メキシコは1割弱を占めるため、関税対象から石油を除外するか検討中だという。カナダは2024年5月のTMXパイプライン開通で中国向け原油輸出が増え、米国依存が若干低下。カナダのオイルサンド由来の原油は米国やアジアの製油所が選好する油種で、制裁対象でなく、価格も安く、海上チョークポイントも通らないため需要は高い。米国の関税の脅威はあるが、カナダ原油の値下がりは限定的にとどまっている。
[メキシコ] 2024年第4四半期のGDPは前期比0.6%減と大幅に下落した。2024年通年のGDP成長率は1.5%増にとどまった。米国が今後数日の間に輸入関税を発動しなければ、来週の中央銀行の会合では50bpの追加利下げが実施され、政策金利は9.50%となる可能性が高まった。
[南アフリカ] 1月30日、準備銀行(SARB)は金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を25bp引き下げ7.50%とした。利下げは3会合連続となった。レセチャ・クガニャゴSARB総裁は、利下げの理由について、食料品や燃料価格の低下によって2024年通年のインフレ上昇率が+4.4%と目標の中間値である+4.5%を若干下回っており、短期的にはインフレは十分抑制されているとした。また、今後数年間の政策金利は+7.25%付近で推移すると、さらなる利下げの意向も示しつつも、今後米国の関税が世界的に10%上昇する場合はインフレの上昇や通貨ランドの下落が続くと予想され、金利の見通しも上振れする可能性があるとした。
[フィリピン] 1月30日、統計局が発表した2024年第4四半期(10~12月)の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+5.2%となり、伸び率は第3四半期と変わらなかった。前期比では+1.8%だった。業種別では、農業生産は台風や干ばつの影響を受け、前年同期比で▲2.2%となり、3四半期連続でマイナスとなったが、減少ペースは鈍化した。需要別では、家計消費は前年同期比+4.7%と前四半期の+5.2%から減速し、一方で政府消費は+9.7%と前四半期の+5.0%から加速した。2024年通年の実質GDP成長率は前年比+5.6%となり、政府目標の+6.0?6.5%には届かなかった。
[欧米] 米商務省によると、米国の2024年第4四半期の実質GDP成長率は前期比年率+2.3%となり、2022年第2四半期以降、11四半期連続のプラス成長になった。設備投資が減少した一方で、個人消費が成長のけん引役となった。一方、EU統計局(Eurostat)によると、ユーロ圏の2024年第4四半期の実質GDP成長率は前期比0.0%と横ばいにとどまった。ドイツ(▲0.2%)やフランス(▲0.1%)がマイナス成長、イタリア(0.0%)が横ばいとなるなど、スペイン(+0.8%)を除く域内主要国に成長が見られなかった。
[米国] 1月29日、トランプ大統領はキューバ南東部のグアンタナモ米海軍基地に、不法移民を収容可能な施設建設を国防総省と国土安全保障省に対して指示する大統領覚書に署名した。トランプ氏は大統領就任1日目にメキシコとの国境付近に国家緊急事態を宣言するとともに、米兵士1,500人を追加派遣した。メキシコやコロンビアへの不法移民の本国強制送還オペレーションでは米空軍機を利用しているなど、不法移民対策として米軍施設や米軍兵士の利用が見られる。
[ロシア] 1月29日、ロシア検察庁は、首都モスクワの主要空港の一つであるドモジェドボ空港の国有化を求めて起訴した。利権を持つ空港のオーナーらが「外国の支配下」にあり、収益を海外に移転していた疑いがあると主張している。ロシアはここ数年、民間企業に対する産業統制を強めており、没収した民間企業の資産を政権側に近い人に分配するケースも目立つ。
[米国] 1月29日、行政管理予算局は、あらゆる連邦補助金・融資制度の一時停止を指示した行政文書の撤回を発表した。ただし、海外支援、人工妊娠中絶、社会・組織の多様性確保などに関わる分野については、現行の補助金・融資制度が政権方針と整合的であることが確認できるまでは執行停止することを明らかにした。指示文書の撤回は、連邦地裁による差し止め命令の無効化を狙ったものと受け止められている。なお、国務省は、海外支援措置は一時停止するものの、人命に関わる人道支援については継続を認めると発表している。
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