2025年1月14日 (火)
[米国] 12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月から25.6万人増加した。11月(+21.2万人)から増加ペースをさらに拡大させ、市場予想(+16万人)を上回った。失業率は4.1%となり、11月(4.2%)から小幅に低下した。また、平均時給は前年同月比+3.9%であり、上昇率を11月(+4.0%)からやや縮小させた。こうした結果を受けて、雇用環境が概ね底堅く推移していることが確認されたため、市場では2025年の利下げ観測が後退した。
[エチオピア] 1月10日、首都アディスアベバにエチオピア証券取引所(ESX)が開設された。ESXの設立株主は政府系投資ファンドのエチオピア・インベストメント・ホールディングス(EIH)ら公的機関が25%、残りの75%は英国政府が支援するNPO法人・FSDアフリカや、国内の民間銀行・保険会社などの投資家が含まれる。アビィ・アハメド首相も出席した開所式では、国内中堅銀行のウェガゲン銀行1社の上場が発表された。ESXは今後5年間で約50社の上場を見込んでいると報じられている。目下、国内通信最大手でEIH傘下のエチオテレコムの今後の上場に注目が集まっている。
[中国] 1月13日、中国税関当局が2024年通年と2024年12月単月の貿易統計を発表した。2024年通年の貿易黒字は前年比+21%の9,921億ドルとなり、過去最大を更新した。輸出は+5.9%の3兆5,772億ドルで、自動車や家電、パソコンなどの輸出が好調だった。特にASEAN(+12.0%)、米国(+4.9%)、欧州(+3.0%)向けの輸出が成長をけん引した。一方で輸入は+1.1%の2兆5,850億ドルと国内景気の低迷を反映し伸びが低かった。12月単月では、貿易黒字が1,048億ドル、輸出が前年同月比+10.7%の3,356億ドル、輸入が+1.0%の2,307億ドルだった。
[米国] バイデン政権は1月13日、AIチップの輸出を制限する措置を発表した。中国企業が開発したDeepSeekがMetaのLlamaシリーズを上回るオープンソースAIモデルをリリースしたことは、中国がAI開発で遅れをとっていると考えていた安全保障からAI開発者までの多くの関係者を驚かせることになった。2022年に、中国への先進チップ輸出を禁止する措置が取られた中でも、中国勢がAI開発で躍進していることから、その試みを阻止するため、バイデン政権は対応を急いだとみられる。トランプ政権がこの措置を撤回しなければ、120日以内に発効することになる。エヌビディアは、この規則は「ホワイトハウスの大幅な権限の拡大」であり、「主流のゲーム用パソコンや消費者向けハードウェアですでに利用可能な技術」も取り締まることになるだろうとのコメントを発表した。また、データセンタープロバイダーのオラクルは今月(1月)初めに、規則により「世界のAIとGPU市場の大半が中国の競合他社に渡る」ことになると主張している。
[米国] 1月12日、ABC Newsの日曜政治討論番組「This Week」で、第2期トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題)に就任するマイク・ウォルツ下院議員(共和党-フロリダ州第6区選出)が取材を受けた。ウォルツ氏は、ウクライナ政府は新兵の確保の点で厳しい状況に置かれており、現在の徴兵年齢は18才ではなく、26才であり、最前線の安定化のためにも徴兵年齢の引き下げをウクライナ政府に対して求める可能性を示唆した。また、すべての領土奪還を断念するようウクライナ側に一部譲歩も求めた。
[マレーシア/インドネシア] 1月9~12日、石破首相がマレーシアとインドネシアを訪問した。国際会議出席のための訪問以外では初の外国訪問となる。マレーシアは2025年のASEAN議長国。 マレーシアでは10日にアンワル首相と会談し、安保、半導体や資源のサプライチェーン、脱炭素等における協力強化で一致した。インドネシアでは11日にプラボウォ大統領と会談し、安保分野での協力の強化に向けて高速警備艇を供与することや、外務・防衛の閣僚協議を年内に開催することで合意し、給食の普及に向けた支援を表明した。
[米国] 1月13日、バイデン大統領は、国務省を訪れ、この4年間の政権の外交成果を振り返り、米外交官に対して謝意を表明した。大統領は、インフラ整備や半導体産業への投資促進などの国内政策を基盤として、同盟国、友好国との関係強化を図った結果、米国の国際的立場は強化されたと発言。さらに、対ロシア・イラン・中国外交に言及した後に、米軍のアフガニスタン撤退を挙げ、アフガニスタンへの関与を次期政権に引き継ぐことなく、終結に導いたことは政権の重要な成果であり、歴史的にも評価されるはずだと述べた。
[米国/ロシア] 1月10日、米バイデン政権は、ロシアの石油・天然ガス収入を標的とする大規模な制裁措置を発動させた。対象にはロシア石油大手ガスプロムネフチとスルグトネフテガスが含まれており、貨物輸送に関連する重要な保険会社や商社などが含まれる。さらに、石油タンカーに対する制裁も拡大させた。制裁強化は1月20日に発足するトランプ次期米政権とウクライナの和平交渉力を強めることが狙いとみられる。
[オーストリア] ネハンマー首相の辞任に伴い、1月10日、シャレンベルク外相が暫定首相に就任した。シャレンベルク暫定首相は、1月13日のEU幹部らとの会談で、EUの信頼できるパートナーであり続けることを主張。しかし、政権樹立の連立交渉を主導する自由党のキクル党首は、親ロシア路線を強調するなど、EUの主流派にとって予断を許さない状況が続く。
[中国] ここ数年、資金繰りに窮した中国の不動産デベロッパーが、債権者に対する支払いを売れ残ったマンションの引き渡しで対応する事例がみられたが、中国の地方政府も債務支払いに同様の手段を取る事例が出てきているとWSJ紙が報じている。2024年8月に、新彊ウイグル自治区の「新彊東方環宇燃気(Xinjiang East Universe Gas)」が昌吉市内の数社の国有企業が滞納していた2,500万ドルのガス料金の代わりに、顧客が開発中の260戸のアパート(未完成)を事実上引き受けることになった。東方環宇はアパートが完成した時点で第三者の企業に売却を依頼し、その売却益を返済に充てる予定としている。
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