デイリー・アップデート

2022年9月8日 (木)

[米国] 9月7日にFRBが発表した『地区連銀経済報告(ベージュブック)』によると、7月から8月にかけての米国経済は、横ばいで推移した。全12地区の内、5地域ではわずかから緩やかな成長が、他の5地域から減速や成長の鈍化などが報告され、地域による差が見られた。物価高によって個人消費の減速傾向が目立ち始めた。ただし、9地区から物価上昇ペースが落ち着く兆しが見えはじめたという報告もあった。先行きについて、今後半年から1年間で需要がさらに鈍るという見方が広がっている。

[米国/中国] 米アップル社が、iPhone14のNAND型フラッシュメモリのサプライヤーリストに中国の長江存儲科技有限責任公司(YTMC)を追加したと報じられている。2022年3月から、アップルが調達先の多様化のため、中国企業を含めた新たなサプライヤーを検討していることが噂されていた。アップルはこれまでサムスン、SKハイニックス、キオクシアからNAND型フラッシュを調達してきた。フォーブス誌によれば、2021年の時点で、51社の中国企業がアップルに部品を供給している。

[豪州] 9月7日、2022年4-6月期の実質GDP成長率は前期比+0.9%、前年同期比+3.6%だったと発表された。消費と輸出(特に資源輸出)が堅調な拡大を続けた。一方、エネルギー価格の上昇を受けてインフレが高進し、4-6月のCPI上昇率は前年同期比+6.1%に上昇した。中銀は5月から9月まで5会合連続で利上げを行い(現在の政策金利は2.35%)、今後もさらなる引き締めが予想される。輸出は中国経済の減速の影響が懸念される。

[イラン/アルバニア] 9月7日、アルバニアのラマ首相は、7月15日に発生したアルバニア政府関連ウェブサイトなどに対するサイバー攻撃にイラン政府が関与していた確たる証拠が発見されたとして、イランとの国交断絶を発表した。断交は即時発効し、駐アルバニア・イラン大使館職員などに対し24時間以内の国外退去を求めた。米国家安全保障会議(NSC)も声明で、アルバニア政府への支持を表明し、サイバー攻撃を実施したイランを非難。イラン外務省は根拠が無いとして、アルバニア政府による断交の決定を非難している。

[中国] 9月7日、税関総署は8月の貿易統計(ドル建て)を発表した。8月の輸出は3,149億ドルで、7月の前年同月比+18%から同+7.1%に、輸入は2,355億ドルで、7月の同+2.3%から同+0.3%と輸出入とも伸びが鈍化した。輸出は、外需の伸びの鈍化と製造業・輸出拠点である浙江省義鳥市などでのロックダウンによる生産への支障が影響した。また、一部の省や市では干ばつと猛暑により電力不足に陥り、工場への電力供給の停止や制限が行われた。輸入は内需の低迷が響いた。

[ロシア] 9月7日、プーチン大統領は極東ウラジオストクで開催中の第7回東方経済フォーラムの全体会合で演説を行った。プーチン氏はウクライナ産穀物が貧困国に渡っていないとして、輸出を再度制限する考えを示唆した。また、ウクライナ侵攻については「何も失っていない。むしろ主権を強化した」と強調し、欧米の対ロシア制裁に屈しない姿勢を改めて示した。

[中国] ◇9月1日以降ロックダウンが続く四川省成都市では、5日から一部団地内の一部の棟の住民全員を症状の有無にかかわらず、まるごと市内のホテルや「招待所」に7日間集中隔離(解除後3日間自宅隔離)する厳格な対策が取られている。なお、6日24時間の新規感染者数は無症状の48人を含め121人。◇9月7日付「第一財経」は、最近の中国・東アジアから米西海岸までの海上運賃がUS$4,787/FEUで本年1月よりも60%下落しているなどと報じた。原因として、欧米荷主が買いだめしたスペースの過剰、インフレによる需要減退、港湾混雑度の低下などを挙げた。

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