デイリー・アップデート

2022年9月30日 (金)

[南米] 9月29日、メキシコとコロンビアはそれぞれ75bpと100bpの利上げをおこない、政策金利を9.25%、10.00%とした。ブラジルが利上げを停止するなど、インフレの加速がピークを迎えたと考えられる国も出ているが、前述の両国ではインフレへの懸念が根強い。チリも来月利上げを継続するとみられている。

[北朝鮮] 9月29日、北朝鮮が前日に続き、日本海に弾道ミサイル(SRBM)2発を発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。北朝鮮は25日、28日にも弾道ミサイルを発射しており、5日間で3回のミサイル発射を行ったことになる。米韓海上軍事合同演習(26日~29日)やハリス米副大統の訪韓(29日)、日米韓合同対潜水艦訓練(30日)などに対する北朝鮮側の牽制とみられる。北朝鮮は5月にバイデン大統領が日韓を訪問した際にも大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを発射した。

[レバノン] レバノンの財務大臣は、10月31日からレバノン・ポンド(LBP)の米ドルペッグ制の固定為替レートを、現行のUS$1=1,507LBPから、US$1=15,000LBPに約90%切り下げると発表した。レバノン政府は現在IMFとの融資交渉を行っているが、その中でIMFはレバノンに複数存在する為替レートの統一を求めており、今回の措置はその一歩となる。しかし、LBPは2019年以降下落が激しく、現在市場ではUS$1=39,000LBP程度で取引されているため、さらなる切り下げが必要との見方もある。

[米国/ロシア/ウクライナ] ウクライナの東部・南部4州で実施したロシアへの編入の是非を問う住民投票結果に基づき、ロシアのプーチン大統領は9月30日に同4州の編入を行う。こうした動きについてバイデン政権は「絶対に認められない」との立場を鮮明にするとともに、金融・エネルギー分野を対象に対ロシア追加制裁措置を発動する方針を複数のバイデン政権関係者らが説明している。とりわけ、ロシア政府の歳入源となっているエネルギー分野を対象にした政策に焦点が当てられることになる。

[ベトナム] 9月29日、統計総局(GSO)は2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比+13.67%だったと発表。対米輸出が前年と比べ2割以上のペースで拡大し、個人消費も伸びている。また、前年同期に新型コロナの流行により各地でロックダウンが実施され、経済活動が大幅に制限されていたことの反動も影響している。足元では新型コロナ流行が一服し、衣服や履物の製造などを中心に生産が活発になっている。米中対立が深まる中、中国からベトナムへの生産拠点の移管の動きも続いている。

[日本] 経済産業省によると、8月の鉱工業生産指数は前月比+2.7%となり、3か月連続の増産となった。生産用機械や鉄鋼・非鉄金属など、全15業種中10業種が増産だった。基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」と前月から上方修正された。8月の小売業販売額は前月比+1.4%と2か月連続で増加し、基調判断は「緩やかに持ち直している」とされた。また、総務省によると、8月の完全失業率は2.5%と4か月ぶりに低下しており、雇用環境は底堅く推移しているといえる。

[ロシア/ウクライナ] 9月29日、プーチン大統領は、ウクライナ南部のヘルソン州とザポロジエ州のロシアへの正式編入に向けて同2地域を独立国家として承認する法令に署名した。30日には東部の2つの州と合わせて4つの支配地域をロシアに併合する文書に調印する構えである。一方、プーチン大統領は先週、みずから踏み切った予備役の部分的な動員について「誤りがあったとすれば正さなければならない」などと述べ、動員の過程で誤りがあったことを認めた。反発や混乱が広がる中、世論に配慮する姿勢を示すことで社会の不安定化を避けたいものとみられる。

[中国] 9月29日付「財新」網によると、ドル高の影響などで中国の輸出入貨物量が減少している。本年上半期、中国がコンテナで輸入した貨物量は前年同期比で11.6%減少した。人民元の対ドル下落は本来中国からの輸出にプラスだが、ドル高が世界の購買力に影響し、中国からの輸出量も減少を続け、8月、中国を中心とする極東~米西海岸航路の貨物量は同9.9%減少、極東~米東海岸航路も同12.1%減少した。米国の小売在庫が拡大し、本来ピークの8、9月の北米向けも貨物量が減少。9月23日の上海輸出コンテナ運賃指数は、前週比10.4%減、年初より約6割減となった。

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