デイリー・アップデート

2023年2月15日 (水)

[米国] 労働省によると、1月の消費者物価指数は前年同月比+6.4%となり、2022年12月の+6.5%から伸び率を縮小させた。6月以降縮小傾向が継続しており、2021年10月以降で最小となった。前月比でみると+0.5%となり、12月の+0.1%から加速、10月以来の伸び率になった。家賃が+0.7%、ガソリンが+2.4%と伸びた。これまで金融政策が引き締められている状況ではあるものの、物価上昇圧力が根強いとみられる。

[エチオピア] 今週、新たにエチオピア資本市場庁(ECMA)が設立された。エチオピアで計画されている証券取引所創設にあたり、金融仲介サービス業者の設立と運営を規制する。証券取引所は2024~25年の設立を目指しており、国営企業の民営化や、海外からの投資を促進し、経済を成長させることを目的としている。

[香港] 2月14日、李家超・行政長官は記者会見で、香港基本法の第23条が制定を義務付けている「国家への反逆などを禁じる条例の制定」について、香港国家安全維持法や国家安全教育も普及した中、今年は経済回復を優先すべき(条例制定は優先事項ではない)という香港内の意見も聞かれるが、今年中か、遅くても来年の制定を目指す意向を明らかにした。国家の安全保障リスクは刻々と変化しており、様々な側面から国家の安全保障の仕組みを固める必要があると述べた。

[中国/イラン] 2月14日、イランのライーシ大統領は大統領就任後初めて北京を訪問し、習近平国家主席との会談を実施し、包括的戦略パートナー関係の強化で合意した。イランの大統領が中国を訪問するのは約20年ぶりで、6人の大臣や中央銀行総裁、核合意再建交渉の担当者なども随行している。中国はイランにとって最大の貿易相手国であり、イラン産原油の最大の輸出先でもある。2021年に開始したイラン核合意(JCPOA)再建交渉は現在とん挫しており、欧米からの厳しい制裁を受けるイランにとって中国との関係構築は重要となっている。

[ブラジル] ボルソナロ前大統領は2022年末から米国フロリダ州に滞在しており、ブラジルに帰国した場合、1月8日に首都ブラジリアで発生したボルソナロ支持者による大統領府等の襲撃事件を扇動した罪で起訴されるリスクに直面している。2月15日のWall Street Journal紙単独取材では、ボルソナロ氏は3月にブラジルに帰国し、ルーラ政権に対抗する勢力を統率する用意があることを明らかにしている。産業界寄りの政策等の推進を目的として、議会や州政府の支持者と連携する方針である。

[インド] 2月13日、統計・計画実施省は2023年1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比+6.52%だったと発表した。伸びは、前月の+5.72%から加速。インド準備銀行(中央銀行、RBI)のインフレ目標値2~6%を、2022年10月以来3か月ぶりに上回った。CPIの品目ウエートで40%近くを占める食品価格が同+5.94%と前月の+4.19%を上回ったことが響いた。都市部より農村部の上昇率の方が高い状態が続いており、農村部が同+6.85%(前月から0.80pt加速)、都市部が同+6.00%(前月から0.61pt加速)となっている。

[ロシア] 制裁対象となっていないロシアの原子力産業の輸出が好調である。2022年のロシア産核燃料と原子力関連技術の海外への輸出売上高が、前年比2割増となった。欧米は燃料となるウラン製品の2割程度をロシアに頼っており、原子力発電分野での「脱ロシア」が難航している。

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